マンチェスター大学院のMSc Digital DevelopmentをDistinctionで卒業するための戦略(入学前)
本記事はマンチェスター大学でDigital Developmentの修士課程に入学する後輩、そしてイギリスの大学院で社会科学系の勉強する方々でDistinction(最優秀)の成績で卒業を目指す方に向けて書いています。私がマンチェスター大学のDigital Developmentの修士課程で実際に行ってきた戦略は、私の母校マンチェスター大学で学ぶ方々だけではなく、イギリスの他の大学院で学ぶ方々にとってもイギリスの大学院で好成績をとる一助になると考えています。
イギリスの成績制度
まず初めにイギリスの大学院では日本の一般的な大学とは違いGPAという指標で成績評価が行われていないです。代わりに一番上の成績からDistinction(最優秀)、Merit(優秀)、Pass(合格)、Fail(不合格)の4段階で評価が行われています。Distinction(最優秀)では70%以上、Merit(優秀)は60%以上、Pass(合格)は50%以上、Fail(不合格)は40%以下の成績に付けられます。
Distinction(最優秀)で卒業するとどんなメリットがあるのか?
Distinction(最優秀)で卒業することのメリットは二点あります。一点目は自身の専門分野の知識が十分にある証明になるとともに、海外就活の際にリクルーターに良い印象を与えることです。日本の就職では履歴書に大学の成績を載せることは少ないと思いますが、海外就職の際には自身の履歴書(CV)に自身がどのランクで卒業しているのか載せることができます。Distinctionで卒業することで少しばかり就職の際に有利になる可能性があります。
二点目は博士課程に進む際に奨学金や行きたい研究室に行く際のアプリケーションで有利に働くということです。実際にマンチェスター大学からの奨学金で博士課程に在籍している方々はもれなく修士課程の際にDistinctionで卒業している方々でした。もし将来的に博士課程も考えているなら修士課程をDistinctionで卒業しましょう。
入学前の準備
イギリスの大学院でDistinction(最優秀)の成績をとる準備としてやっといて欲しいことは四点あります。
1. 入学予定の修士課程に在籍している先輩からHandoutをもらう
一番最初にやってもらいたいことは入学予定の修士課程の先輩を探し、Handoutをもらうことです。そもそもHandoutとはなに?と思う方もいるかもしれません。授業ごとにもらうプリントがあると思うのですが、それをHandoutを呼びます。基本的にHandoutにはその授業で扱う理論だったり、フレームワークなどが記載されています。入学前にHandoutを手に入れることで、先取りして授業の内容を勉強をすることができるので、授業中の理解も初見で授業を受ける時よりも楽にすることができます。
入学予定の修士課程の先輩を探す際ですが、自分の知り合いに入学予定の修士課程に在籍してる方がいればそれが一番なのですが、そういったケースはあまりないかと思います。ですが安心してください。近年ではSNSが発展しているので、SNS上で入学予定の修士課程に在籍している方を探すのは難しくありません。特におすすめしているSNSはLinkedinというビジネス用のSNSです。求職者の転職、企業の採用やビジネス上でのネットワーキングの作りのために使われているSNSです。日本ではあまり馴染みないSNSかもしれませんが、イギリスの大学院に在籍している人ならほぼ間違いなく、Linkedinにアカウント作っているので、入学予定の修士課程に在籍している方を見つけることができます。先輩を見つけることができたら、Handoutをもらうだけではなくて、授業がどんな雰囲気で行われるかなど色々聞いておくと留学中のイメージがより鮮明になると思います。
2. アカデミックライティングの書き方の習得
次に入学前にやっておきたいことは、アカデミックライティングの基礎を把握しておくということです。マンチェスター大学の自分の修士課程では、入学から1ヶ月で一番最初のエッセイの課題が出ます。多くの同級生がアカデミックライティングも十分に理解しないまま、最初のエッセイに挑んでいました。
最初のエッセイとはいえ成績評価に影響をするので、Distinction(最優秀)で卒業を目指す読者の方々には最初のエッセイから好成績を修めて欲しいです。エッセイの書き方を記述している書籍は多数ありますが、私が数冊読んでみて特に参考になったものを下記に紹介させて頂いております。
最初におすすめの書籍はオックスフォードから出ているPlain Englishです。
皆さんアカデミックな単語や難しい英語表現を使ったほうがIELTSでいい点数が取れるからとエッセイでも同じように難しい英語表現や単語を使いがちです。そういったライティングでは相手に何を言っているのか伝わらず、エッセイの評価が低くなりがちです。Plain Englishでは、相手に伝わりやすい文章を書くためにはどういったことに気を付ける必要があるのかが記載されています。
言語は相手に伝えたいことを伝えてこそのツールなので、難しい英語表現で相手に読解のストレスを与えるよりも、平易で伝わり安いライティングを心掛けて相手にストレスを感じさせずにエッセイを読ませた方が評価されます。単語の微妙なニュアンスの違いやコロケーションなどがしっかりと理解できるようになったら、難しい英語表現や単語使いましょう。
平易な英語で好成績なエッセイなんて書けるのかと疑問に思う方もいるかもしれません。自分も留学前は難しい英語表現で自分の英語力を見せた方がエッセイで評価されるのではと考えていましたが、そんなことありませんでした。実際に私は留学中にはイギリス人の中学生や小学生でもわかるようなエッセイを書いてましたが、ほとんどのエッセイでDistinction(最優秀)が取れていたので安心して、分かりやすい文章を書きましょう。
次におすすめの書籍はResearch Methods for Business Studentsです。
本書ではエッセイに不可欠なLiterature reviewやMethologyへの取り組み方が理解できるだけではなく、大学院での社会科学系の研究をどのように行っていけばいいかが理解できる内容が記述されています。マンチェスター大学だけでなくUCLの社会科学系の修士課程に在籍する友人も本書で研究の基礎を学んだと言っていたので、信頼できる本だと思います。
2.1 学部生の場合
読者の中で、まだ学部生の方はぜひ上記の本でアカデミックライティングの基礎を把握した後は、大学の授業の課題で積極的に英語のエッセイを書くことを勧めます。どこの大学でも英語でエッセイが課される科目が複数あると思うので、積極的に受講して英語のエッセイの型の練習することで、イギリスの大学院でも自身を持ってエッセイが書けると思います。
3. Massive Open Online Courses(MOOCs)の受講
次に入学前にやっておきたいことは、Massive Open Online Courses (MOOCs)を活用して、英語で行われる講義に慣れておくことです。有名どころのMOOCsではCourseraやUdemyといったのプラットフォームがあり、このプラットフォーム上で、様々な大学や企業が提供する講義を受けることができます。
正直なところMOOCsで行われいる講義とマンチェスター大学で受けた授業の質は大した違いはないです。そのため入学前からMOOCsで授業を受けることによって英語での講義に慣れるだけではなく、大学院で勉強しようとしている分野がMOOCsにある場合は知識を深めることができます。
また、CourseraやUdemyでは講義を受けて最終テストに合格すると下記のようなCertificationがもらえるので、自身のLinkedinに載っけておくと海外で就職するときに役に立つかもしれません。
4. 研究費の調達
最後にやっておきたいことは、研究費を入学前から応募しておくことです。マンチェスター大学で修士論文を書くための期間が3ヶ月ほど二学期目が終わった後に設けられます。その期間に研究費を持っていると実際に実証研究を行う際にとても助かります。そして研究が楽しくなります。自分は入学前から研究費の応募をしており、それが通ったことでインドで実証研究をしながら修士論文を書くことができました。自分はJICA海外協力隊の経験者に設けられていた海外協力の調査・研究を支援してくれるプロジェクトに応募しました。もしJICA海外協力隊の経験者の方が読者にいたら是非こちらから応募してみてください。
研究費を出してくれる財団や組織は実際に研究を始める一年前くらいから応募を受け付けていることもあり、イギリスでは修士課程は1年しかないので入学前に応募をしておく必要があります。一次データを集めることで新しい発見や考察に繋がることがあるので、研究費を取得して研究を楽しんでほしいです。リッチなデータがある修士論文を書くことで、Distinctionの評価を得ることにも繋がると思うので、是非研究費獲得やってみてください。
5. まとめ
入学前から入学予定の修士課程の授業の内容をHandoutを通して理解すること、アカデミックライティングのトレーニングを積むこと、オンラインで英語の講義に慣れておくこと、研究費を調達して楽しく研究する土台を作ることを入学前にはしておくと、イギリスでの修士課程をDistinctionで卒業できる可能性が上がるのではないかと考えています。皆さんのイギリスでの修士課程が素敵なものになるように祈っています。