小田急線新宿駅男子トイレの行列というメディアアート
縁あって小田急線新宿駅を使った。
先日買ったぼのぼのの新刊を読もうと、電車にのりホームに向かう。すると、いい景色が目に入ってきた。
男子トイレに列ができている。おお、これはえらいやっちゃ、ヨイヨイヨイと、反射的にこの列に加わるじぶんがいた。去年参加した徳島の阿波踊りが今になってようやく生きた。
「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々」
とはまさにこのことで、その列の先にアポイントメントはなかったが、列に加わらせてもらった。
一方で、男子トイレのすぐ横にある女子トイレには全く列などできておらず、スムーズの人の出入りがあった。
「男子トイレには何が起こっているんだろう」
と、期待に胸を膨らませた。列に並びしばらくもしないうちに、建物の内部が見えてきた。
外に並んでいたのは6人ほどだったが、中には10人ほどが並んでいる。外の光景に十分満足していたので、中にまで人が並んでいるという当たり前に、ぼくは想像力が回らなかった。
反射的に並んだ男子トイレの列に、サプライズまで待っているだなんて!!!と、大喜びのぼく。小田急線新宿駅男子トイレのホスピタリティー、おもてなしは、底知れないものがあった。
そんなことをついつい思っているうちに、とうとうぼくは列の一番前まで来てしまった。押し出される心太の気持ちを少しだけ味わった。なんというか、悲しくなってしまった。もう終わりか、と。
まだ、満足がいかなかったので、ぼくは後ろの人にその座を譲った。そして、もう一度列の最後尾までもどり、もう一度列に並び直すことにした。
これは、列以外には興味のないぼくからの、列に興味などなくその先に興味のある人々への、ホスピタリティー、おもてなしである。そして、ぼくの後ろに並んでいた人へのサプライズである。
「この子、何のために列に並んでいたんだ。」
と多少の困惑をしてくれていれば幸いであった。
こう長く書いたが、最初に列に並び始めて、ここまでおそらく1分ほどだろう。非常に濃い、60秒だったなぁと、男子トイレでこんなにはしゃいだのは人生初である。
今回の唯一の反省点。それは、ぼくの尿意の欠如である。せっかくぼくはその列に参加したのに、まったくと言っていいほど列の先に広がる大海原に興味がなかった。井の中の蛙であり、大海を知る気がなかった。
だから、そんな私はこの男子トイレの列を興味の目だけで見てしまい、一つのインタラクティブアートとして扱ってしまった。列の中には、九死に一生を得た方もいたはずであり、彼には強い目的意識があったのに。ぼくには、まるでそれがなかった。
この小さな意識の差が、彼と僕との間に後々おおきな運命の差を生むのだなぁと思った(棒)。
ただ、真剣に一つ思うことがある。近くの自販機で飲み物を買ってきて、ガブガブ飲みながら列に加わったら、もっともっとあの列を楽しめたのになぁということである。
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