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室内と光 O邸
昨晩、県境を超えて友人宅に足を運んだ。10年来の友人は私の知らぬ方々と宴をして、その終わりにぼくは到着した。半年ぶりに来た家は、生活動線が様変わりして非常にスッキリしていた。「すごい変わったね!良くなったね!」と伝えると、「そうなんだよ!色々とやってみたんだよ!次はここをこうしたいんだ」と返ってくる。
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先程、主人のでかけた家で一人起床した。この部屋は知人でもある中国からの留学生が過ごしていた部屋だ。キッチンに向かうと、テーブルの上には朝食の準備がされていて、厚切りの食パンと梨が置いてある。携帯を開くと、風呂に入るならタオルはここだよ、とメッセージが届いている。主人はそういう人である。トースターにお願いしたパンの焼き上がりを待ちながら、ソファにぼくは体を預けている。
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光がきれいだ…。部屋を見回す。歩き回る。生活の足取り、昨晩の宴の名残りがある、モノの配置。僅かに残ったウイスキー、これを彼は飲み干すのを断念し、薬缶からグラスにお茶を注いでいた。テーブルのシミ、一つだけ片付け忘れたのか小さなフォークが残っている。Kさんにもらったという赤土色の石。少しだけ乱れたようにテーブル近くに集められた5脚のイス。
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彼の家。正確には彼の叔父の家だが、庭の草花の手入れも、雨漏りの修繕も彼が担っている。何度も足を運んだことで、空間が馴染みになってきた。光が奇麗だ。2つも台風がすぎたのだから、季節も変わってきている。窓を網戸にして、風の重さで揺れるカーテンと、それによって裾から落ちる光も揺られている。もう2時間は見ている。この部屋から眺める景色が情緒に訴えるようになってきたかもしれない。
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今日の、秋の光の美しさが、特段ということもあるのだろうけれど。たまたま入ったカフェで今日の光を眺めても、今ぼくの中にある感傷とは別物だろうと思う。足を何度も運んだことで、この部屋の、この位置から眺める光に情緒が載せられた。光は変質してしまったように思う。
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