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株式投資家初心者レベル3-政策で動く「金利」、「為替」、「原油」、「金」と「株価」の関係についてについて理解できる-

こんにちは!井の中のカブレオンです。

この初心者レベルシリーズは、個別銘柄の分析に比べて、あまり楽しい話でもないと思うので読んでもらえないかなと思ってたのですが、意外と読んでもらえているようで、モチベーションをギリギリ保てて、なんとかレベル3までかけました。

ありがとうございます!!

さて、初心者レベルの株式投資家を脱却するのに、けっこう大きい分岐点となるかなと個人的に思うのがこのレベル3の「政策と株価の関係を理解できる」です。

というのも、投資の上手な人はyoutubeやブログ等でも個別の銘柄の話だけでなく、世界経済やFRB、日銀の金融政策、原油、金の価格に関する話をよくしますよね。

反対に私の周りの株の初心者の人は「〇〇会社の決算がよかった!」とか「××会社が新製品を発表した」とかという個別株の材料の話ばかりをしています。

確かに、株価というのはその会社の価値をあらわすものなので、FRBが金利をあげても、さげても、その会社の価値が急にあがったり、さがったりはしないでしょ?という気持ちもわかります。

しかし、実際にはFRBや日銀、国の政策と株価には大きな関係があり、FRBの政策方針次第で日本株の株価が乱高下したりします。

2013年から2014年だったら誰でも勝ててた?

下記は日経平均の過去20年間のチャートになります。

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リーマンショックがあった2008年は、18,000円から7000円くらいまで約1/3まで株価が急落してます。
一方、アベノミクスが始まった2013年は8,000円ぐらいから16,000円ぐらいまでと約2倍に急騰してます。

みなさんの中にも、「リーマンショックの時はかなり株で損をしたよ」とか「アベノミクスで2013年はウハウハだったよ」とかという話を株をやっている仲間から聞いたことがある人もいるかもしれません。

みなさんもおわかりの通り、リーマンショックもアベノミクスも直接、個々の会社に何か大きな変化があったわけではありません。
つまり、ミクロ(個々の個別株)に変化はなくてもマクロ(国の政策の変化や、サブプライムローンの破綻)の変化が個別の株価に大きな影響を与えるということです。

マーケットモデル

証券アナリストの勉強をしていると必ずでてくる式にマーケットモデルというのがあります。下記のような感じです。

投資家レベル1-②投資スタイルを理解する (3)

これは何を表しているかというと、個別株の収益率というのは、「個別株特有の要因α」と「市場全体の影響をどの程度受けるかという市場感応度β」で決まりますよ!
ということを表してます。

どんなに個別株特有の良い材料があったとして(αがよくても)、市場全体が大きく下げているような状況(Rmが下げている)で、かつその銘柄が市場からうける影響度(β)が高いと個別株から得られるリターン(R)は小さくなりますよ。ということです。

つまり、何が言いたいかというと、いくら個別株の調査や研究ばかりしてても、全体の流れが悪いときに株式投資をするのはかなり不利であり、市場全体の流れを掴むマクロの勉強を行う必要があるということです。

上級者になればなるほど、この全体的な流れを読む力が強い傾向にあり、場合によっては、いったんポジションを0にしてトレードをしない期間を作ったりする人もいたりします。

ただし、これについてはかなり複雑に様々な事象が絡むため、こういう政策をうったら絶対こうなるとか、株が下がったら金が絶対あがるとか確実に決まったことはいえませんが、一般的な関係性や多くの場合そうなるということを頭にいれておくだけで大きなメリットがあります。

投資家レベル3では基本的な株とコモディティ(原油、金)と通貨(金利、債券)の関係性と、代表的な政策である金融緩和と金融引締めが与える影響について理解できていればOKです。

ちょっと脱線して個別株のβ値を見てみる

ちなみに、少し脱線すると、β値は四季報とかに載っているのでもし興味があったら見てみると面白いと思います。

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例えば、ファーストリテーリングだとTOPIX(上の式でいうとRm)に対するβ値は1.18となってますね。
これはTOPIXが1%上昇するとファーストリテーリングは1.18%上昇するということを示してます。

さらに、その下の方には円高に対する感応度も載ってますね。ファーストリテーリングは円高になるとマイナスに影響するんですね。
あまり詳しく調べたことはないのですが、輸出が大きいんですかね?

ちなみに、水産業とか景気に左右されにくい業界のβ値は1以下になっていて、このような景気に左右されにくい銘柄をディフェンシブ銘柄といったりします。

「株価」と「金利」、「原油」、「金」価格の一般的な関係

これらの関係は下記のような感じです。

投資家レベル1-②投資スタイルを理解する (5)

「金利」が下がると企業や個人が安くお金を調達できるようになるため景気がよくなり株価が上がると考えられます。

経済が活発に動くと、それにともない工場や飛行機等エネルギーが多う消費され、「原油」価格があがります。経済が活発であれば企業業績も良い状態であるため株価と同じ方向に動きやすいです。
また、原油価格が高騰していると中東を始めとしたオイル産出国が潤い、投機マネーが株に投資されるため株価があがるという経路もあるようです。

「金」は有事の金という言葉がある通り、安全資産としての位置付けが強いため、世界的な不況時にも株や不動産等に比べ価値が保たれ安いため、株価と逆行することが多いです。

しかし、これは、一般的にこのような関係があるというだけで、絶対にこのような関係で値動きするというものではありません。
なぜなら、これらの価格は、株と金利、株とと原油、株と金だけの関係性だけでなく、色々な要因が複合的に関連して決まるものだからです。

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こちらのグラフは、ここ1年間の金(GOLD)の値上り率とアメリカの主要な株価指数であるS&P500の値上り率を比べたものです。
始めの方はS&P500は上がり金が下がるという表通りの関係でしたが、コロナショックが出始めたあたり、特に3月後半以降は似たような値動きとなってます。

なぜこのような値動きになっているかというと、アメリカ政府がコロナ対策として3兆ドル規模の経済対策を行うと発表をし、さらにFRBがインフレ率が2%になりそうになってもしばらくは金利をあげないとアナウンスしたこともあり、市場にお金が溢れ返りました。

これにより、お金が市場に多く出回る(インフレ)ということは相対的に現金の魅力が下がるため、通常ならば景気後退時に株価が下がると同時に値上がりする金も買われ、株価と金が同時に値上りするような状況となってます。

このようにいつでも、表の通りの関係で値動きするわけではなく、様々な要因が複雑に絡まり合って値段が形成されます。

一般的な値動きの関係を理解しておき、「今回の値動きは一般的な動きとは違うな、なぜなら〇〇だからだ」と、発生している事象の本質を理解して投資行動をとることが重要だと思います。

財政政策と金融政策

景気が悪い時にうつ対策は大きく「財政政策」と「金融政策」です。

「財政政策」は国が主導して、公共工事や一次的な減税策を行い景気を刺激する政策です。
直近ではアメリカが3兆ドル規模の財政政策を行いました。

コロナが収束していない、失業率も戻っていないなかでS&P500はコロナ前の水準を上回ってきましたが、その理由はこの財政出動によりお金を大量に市場に供給したことが理由だと言われてます。

このようなことを知らなければ、「コロナが収束してないのにコロナ前水準になった株を買って平気なの?」って思いますよね。

このようはことからも、政策とその効果を理解しておくことはとても重要です。

一方、「金融政策」は中央銀行(FRBとか日銀)が主導して、国債を買取り(買いオペ)、債券の値段をあげて、金利を下げる(債券の値段と金利は逆に動く)ことで、企業や個人が借入をしやすくする景気刺激策です。
アベノミクスの象徴である「黒田バズーカ」とかがまさにこれです!!

どちらの政策も市場に出回るお金の量を増やそうとする施策であるため、似たような効果をもたらします。

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基本的には上記のような効果が期待されるのですが、日本ではご存知の通りインフレがなかなか進まないため、上記の通りとはなるイメージがあまりもてないかもしれないです。

なので、アメリカをイメージして効果の流れを説明すると下記のような感じです。

1.金融政策により金利が下がる
2.金融政策、財政政策により市場に出回る通貨量が増える
3.市場に出回る通貨量が増えるので物価が上がる(インフレ)
4.金利も低いし、市場に出回る通貨量が増えたので通貨価値が低くなり通貨が下がる(アメリカの場合ドルが下がる)
5.市場に出回る通貨量が増えるので景気拡大期待、または、余ったマネーの投資先として株が買われて株価があがる
6.インフレにより現金価値が相対的に下がるため金を買う(金価格は理論的にはインフレ率と連動する)、またはドル下落により基軸通貨の信任がゆらぎ安全資産としての金が買われる

このようによく行われる景気対策とそれぞれの価格の関係を頭にいれておくことで、景気対策に対するニュースを見た際にそれぞれが株価にどんな影響を与えるのかをぼんやりとでもイメージできるようになると思います。

そして、一般的な値動きと異なる場合に「今回の暴落や暴騰は通常時とは何が違うんだろう?」と考え、適切な投資行動を行うことができる、もしくは正しいアドバイスをしてくれている人が誰なのか?ということを判断できるようになると思います。

経済の動きはとても複雑なので厳密に言うと誰もなぜそのような値動きになるかというのは理解していないと思います。

ただ、一般的にはこうなるはずだ!ということを頭にいれて情報をインプットし、投資行動をとることで、また一歩レベルアップした投資ができるようになるはずです。

まとめ

・個別株の分析と同じくらい市場全体の動きを把握することが重要
・マーケットモデルのβが高い銘柄は特に景気の影響を受けやすい
・株と金、金利、原油等の一般的な値動きの関係について理解する
・政策が株価に及ぼす影響の流れを理解する
・政策や金、金利、原油等の値動きを頭にいれておくことで、経済ニュースや投資アドバイスに対する理解が深まり適切な投資行動がとれるようになる

ざっくり言うと、いくら個別株の分析を頑張っても景気後退という大きな波の前では為す術もないので、初心者ならなおさら景気全体を左右する政策や国動きにアンテナを張って、「今、投資すべき先が株なのか?」というのをしっかり考えた方がよさそうですね。

という話でした。

今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

次はもうちょい面白そうな事を書きたいと思います。



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