株式投資家初心者レベル1-株始める前に知っておきたい8つの指標-
前回、下記の記事で株式投資を始める前に知っておきたい基礎知識の理解度を株式投資初心者レベルとして5段階のレベルに定義しました。
今回は、このレベル1の詳細な定義と内容について説明します。
株式投資家初心者レベル1
初心者レベル1の定義は「PERやPBR等の株式の主要な指標、用語について理解できる」です。
私は、株式投資を行う際に基本的な指標や用語について最低限のものについては知っておく必要があると考えてます。
「そんなもの知らなくても投資はできる」とか「PERとかPBRなんて投資指標として使えない」と思う人もいるかと思いますが、それは違うというのが私の考えです。
確かに、PERやPBR等の指標だけでは大きなリターンをあげることは難しいですし、単体の指標のみで良い株、悪い株の判断はできないのはその通りだと思います。
しかし、サッカーの戦術を議論する際に、DF(ディフェンダー)、MF(ミッドフィルダー)、FW(フォワード)の役割がわかってなければ議論できないのと同じで、知っているだけでは大きな成果は出せませんが、知っていないとその議論に加わることや、検討を行うこともできません。
株式投資の戦略を検討する際や、ネットの記事やyoutubeでの投資家のアドバイスを聞く際にもこのような指標は当たり前のように登場しますので、共通言語としてこれらの指標や用語については覚えておくことはとても有意義なことだと思います。
ここは「めんどくさいな〜」と思われるかもしれませんが、後々必ず知る必要がある知識ですので頑張って理解しましょう。
株関連の記事やyoutubeでは色々な3文字英語の指標がたくさんでてくると思いますが、ひとまず抑えればよい指標は8つです。
少し多いですが、慣れれば簡単に使えるようになるはずです。
頑張って身につけて株式投資家初心者レベルを1つあげましょう!!
では、覚えておくべき8つの指標を発表します!
なんか聞いたことあるけど、詳しくはよくわからいって人も多いかと思います。いきなり、こんなたくさん覚えなくちゃいけないの?と思うかもしれませんが、ちゃんと内容を理解すればすんなり覚えられるようになるので、安心してください。
この指標を理解し、覚えるためのポイントは、公式を覚えるのではなく、財務三表との関係性を理解することにあります。
詳しく説明してきますね。
PERやPBRといった指標を理解するには財務三表を理解する必要がある
なんか財務諸表とか言うと小難しそうな気もしますが、かなりざっくりした部分だけ理解できれば十分に指標を理解することができます。
PERやPBRといった指標の意味を理解するのに重要なのは単に公式で覚えるのではなく、各指標がB/S(貸借対照表),P/L(損益計算書),C/F(キャッシュフロー計算書)と時価総額(株価)とどのような関係にあるのかを画でイメージした上で理解することです。
なので、各指標を理解する前にまずは、ざっくり財務三表について説明します。
B/S(貸借対象表)
会社の経営というのは簡単に言うとお金を自分で用意したり、人から借りたりしてお金を集めて、それらを使って、材料を買ったり、工場を作ったりして製品を作って売ることで、使ったお金よりも多くのお金を得るという行為です。
この、「どのようにお金を集めて、どう使ったか」を表すのがB/S(貸借対照表です。
お金をどのように用意したかをBSシートの右側に記載します。
自分で用意したお金を「純資産」、人から借りたお金を「負債」といいます。
集めたお金を使ってお金を増やすために買った材料や作った工場を「資産」と呼び、BSシートの左側に記載します。
ひとまず、指標を理解するためにはこれだけわかってればOKです。
純資産の部分は自己資本といったりします。
厳密には純資産と自己資本は違う概念で、純資産の方が大きい概念なんですが、ざっくり理解するためにはこの同じものという理解で大丈夫です。
純資産のことをBook-Valuesといい、自己資本のことをEquityといいます。
まとめると下の画のとおりですね。たったこれだけ覚えるだけでB/Sの理解は完了です。
P/L(損益計算書)
次にPLについてです。
こちらはさらに簡単です。
PLはその期にどれだけ費用を使って、売上をあげて、利益をあげたかを表すものです。今は、これだけわかればOKです。
画にするとこんな感じです。
売上は英語でSalse、利益はEarningsとかReternとか言います。
ここで利益だけ2通りの英語を紹介した理由は後ほどわかります。
C/F(キャッシュフロー計算書)
最後はキャッシュフロー計算書です。
実は今回の指標のほとんどを理解するためにはあんまり必要ないのですが、覚えておきたい指標の1つであるFCF(フリーキャッシュフロー)を理解するために知っておく必要があります。
C/Fとは、実際にお金がいくら入ってきたか、出ていったかを表すものです。
これだけ聞くとPLと何が違うのかよくわからないかもしれませんが、PLで計算する利益には減価償却があります。
減価償却とは50万円でかったパソコンを5年使う場合に1年あたりに減っていく価値分、つまりこの場合は1年間で10万円ずつ価値が減っていくと考えて、1年間の費用は買った金額の50万円ではなくて、10万円を5年間ずつ費用として計上すると考えます。買った年には50万円減っているし、翌年からは1円も払っていないのに、PLの費用上は5年で10万円ずつかかったことになります。
このような会計上のお金の動きだけを見ていると、その年に実際お金が増えたのか減ったのかがわかりずらくなります。
そこで実際のお金の動きだけを表したものがキャッシュフロー計算書になります。
キャッシュフローには3種類あります。
それぞれ説明します。
①営業活動によるキャッシュフロー
本業における資金の動きが記載されます。
ここがプラスじゃない企業は本業でキャッシュを生み出せていないということなので、けっこう怪しい会社ですよね。
②投資活動によるキャッシュフロー
設備投資や企業買収など将来に向けた投資によるキャッシュアウトや、余剰資金の運用における投資とその回収によるキャッシュフローが記載されます。
基本的に企業は投資を行うので、投資キャッシュフローはマイナスになるのが一般的です。
大きくプラスになるような場合に投資して作った工場や土地売却でキャッシュインしてプラスになる場合がありますが、工場売却等は基本的に経営縮小時や事業撤退時にやることなのであまり良い兆候とは言えません。
③財務活動によるキャッシュフロー
企業の資金調達活動に関するキャッシュフローが記載されます。
銀行からの借り入れやその返済、株式発行による増資など、事業活動に必要な資金をどのように調達したのかが分かるようになっています。
つらつらと3つ書きましたが、C/Fに関して覚えておくべき指標はたった1つです。
FCF(フリーキャッシュフロー) = ①営業活動によるキャッシュフロー + ②投資活動によるキャッシュフロー
フリーキャッシュフローとは、営業活動で得たキャッシュと投資活動で使ったキャッシュを差し引いた残りのキャッシュ(お金)となります。
読んで字のごとくで、企業が自由に使えるお金ということですね。
これが潤沢にある企業は単純に儲かっている会社ですし、経営の選択肢が広がり、成長の打ち手が撃ちやすくなります。
株式を始める前に知っておきたい8つの指標
それではいよいよFCF以外の7つの指標についていっきに説明します。
まずは、画を描いてきます。
上で説明した財務三表のB/S(貸借対照表)を左に、P/L(損益計算書)を右に描きます。あと、時価総額(発行済株式数×株価)を上に、発行済株式数を下に追加します。
こんな感じです。
実際に近くに紙と鉛筆があったら描いてみてください。
自分で描くと格段に覚えやすくなります。
一つだけ補足ですが、B/S(左)の負債と純資産をあわせた値を総資産(Assets)と言います。
ここに各指標を描いてわけなんですが、関係性としては下記のようになります。
上下、左右の隣り合った指標との関係をそれぞれのゾーンに描いてきます。
各指標を記載したのがこちらになります。
それぞの英語の頭文字は関係性を表したい2つの項目とその関係性を表す英語の頭文字で構成されてます。
左上のPBR(Price to Book-values Ratio):株価純資産倍率でしたら、純資産(Book-values)に対して株価が何倍か?
つまり純資産(自分で用意した金)に対して、株価が何倍くらいまであがっているかがわかる指標ということです。
表にまとめると下記の通りです。
最初から公式を覚えるのではなく、財務諸表の項目との関係を画でイメージして理解すると実際に投資判断に利用できるようになると思います。
単語や式を忘れても、B/S,P/L,時価総額(株価),発行株式数を上下左右に描いて作り出すことでいつでも思い出せますし。
レベル1から少しややこしい話になってしまいましたが、これを理解することで確実に投資レベルが1つあがりますので、めんどくさくても理解しておくことをおすすめします。
長くなりましたが、最後まで読んで頂いてありがとうございます。
またよろしくお願いします。
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