sayo
娘が産まれました。
2800gの可愛い女の子。
出産して退院するまでの一週間。
県外に住んでいる僕はコロナ禍の影響もあって会うことができない。
僕は奥さんから送られてきた
写真で娘の顔を見た。
「かわいい…。」
実家では出産おめでとうパーティーが開催されていたけれど、
僕は2階にある自分の部屋で、
声を殺しながら枕を濡らしていた。
『会いたいなぁ。触れてみたいなぁ。。。』
娘に逢いに
お店にお知らせを掲示して、荷物を持って
片道6時間の旅路へ。
行き先は奥さんがいる岡山県美作市。
(奥さんのお母さんの実家。)
移動中はそわそわしたりするのだろうと思っていたけど、
そんなことも無く。
岡山駅に12時過ぎに到着。
何回目の景色だろう。
岡山はまだ発展している段階の街だから、
駅の構内も
入っているテナントだったり、お店の配置だったり
いつもどこか変化を感じる。
(今回は隣接しているビルの中の飲食店の数が2~3倍に増えていた笑)
そうこうしていると
義母さんから、
「何時に津山駅に着くの?迎えに行くからね。」
と連絡が。
寄りたいところがあったので1時間遅い時間を伝えた。
電車に揺られて
津山線は1時間に1,2本の電車が走っている。
奥さんは専門学生時代、この電車に毎日乗って
津山市から岡山市の学校に通っていた。
奥さんの実家には皆勤賞と書かれた賞状が飾られていたのを覚えている。
学内でこの賞を受賞したのは奥さん含めて2人だけだったらしい。
1時間15分位だろうか、
ゆっくり揺られて津山市へ到着。
奥さんの実家は、駅からまた自転車で20分かかるのだから、
皆勤賞のハードルの高さに改めて気がつかされる。
駅を出ると義母さんの車に乗って、
さらに45分。
美作市へ。
到着
ここは空気が美味い。
川は透き通り、鳥のさえずりが聞こえる。
見ている景色も、聞こえる音も、香りも。
本当に贅沢な場所だ。
(写真ちゃんと撮ればえかったw)
さぁ、さよちゃんに逢いに行こう。
遭遇
「小さい。。。」
僕の初めての感想はそれだった。
だって、さよちゃんは
座布団の上に寝ていても大きく余すほどに
体は小さく、ふにゃふにゃだった。
抱いてみても首はもちろん全身がふにゃふにゃだから、
支えてあげないといけない。
『お父さんだよ。分かるかい?お腹の中にいる時から、僕はずっと、さよちゃんと呼んできたんよ。』
さよちゃんはまだ目が見えないから、ただただキョロキョロしている。
でもきっと、僕の声は聞き覚えがあるはずだ。
大きな不安も、恐怖も、辛いことだって、
さよちゃんを見ていたら忘れられる。
まだ出会ったばかりのはずなのに、
宝物だと思えたし、この子を守ってあげなくちゃという
感情が芽生えた。
とっても可愛い。
だけど!だからこそ、この赤ちゃんというすぐに壊れてしまいそうな
不安定な存在に恐怖も覚えた。
人生初の花束を
義母さんに1時間遅れると伝えたのは、
花束をプレゼントしたかったから。
妊娠から出産まで、一般的に
十月十日(とつきとおか)かかると言われているけれど、
そう。
今回、最も我慢したし頑張ったのは奥さんの沙紀ちゃん。
大好きな生魚を我慢したし、
辛いつわりも耐え抜いた。
お腹が大きくなるにつれて日常生活に支障を来すこともしばしば
あったけれど、
何一つ手を抜かず一生懸命頑張ってくれました。
こうした強さは前述した皆勤賞からも分かっていただけるだろう。
まぁとかく母子ともに無事だったことが何より。
ただ、お母さんの仕事は産んで終わりでは無く、
寧ろこれが始まりだったことに気が付く。
さよちゃんは3時間おきにお腹が空いたと泣くので、
奥さんの目にはクマが。。。
うにゃ〜!うにゃ〜!
声にもならない叫びをあげているさよちゃん。
「ここは僕に任せて。」
奥さんにアドバイスを貰いながら挑戦をしてみる。
おむつを替えて、ミルクを温度を確かめながらあげてみる。
すると両手両足を大きく広げて暴れていた娘は、
スヤァ…と体を丸めて寝てしまうのです。
スー。スーー。
この子は一生懸命呼吸をしている。
触れている肌は温かく、
心臓の鼓動だって感じることができる。
小さい小さい命だけれど、生きよう。
って気持ちが伝わって来る。
(目頭が熱ちぃ。。)
あぁ…愛おしい…。
こんな可愛いのが奥さんのお腹の中にいたのか…
おやすみ。
そして宜しく。
僕はこの子の為に生きていこう。
そう思った。
握手。
大きくなったら
ちゃんと握手をしようね。