【超短編小説】 孤独


 六畳一間で独り、冷め切ったおでんを食べる以上の孤独が、この世にあるだろうか。
 こんなはずじゃなかった。こんなはずじゃなかった。誰かに必要とされるはずだった。誰かが認めてくれるはずだった。誰かの不幸を願う奴になりたくなかった。誰かの不幸で喜ぶ奴になりたくなかった。
 こんなはずじゃなかった。
 見下してきた奴を見下すはずだった。笑った奴を鼻で笑うはずだった。どこで間違えた?いや、ずっと間違えていた。本当はわかっていた。でも、向き合えなかった。認める勇気がなかった。もう戻れない。もう戻れない。
 もうこれ以上自分を責められない。そうだ、やっぱり世の中がおかしいんだ。皆んなクズなはずなのに、なぜ報いを受けない?みんなで馬鹿にしやがって。
 どうせ必要とされない。誰も見てくれない。誰もわかってくれない。もう放っておいてほしい。いや、もう既に見捨てられているか。それはそれで気に入らない。
 冷たいこんにゃくが歯に染みる。

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