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【everyday life】魅惑のジーナ


大人になれば自然と『紅の豚』に出てくる、ジーナのような女性になれると思っていた。

私にあんなポテンシャルがないことは、ずいぶん前にはわかっていた。それでもやっぱり「ああなりたかった」とよく思う。
そうはなれなくても、少しは大人の雰囲気ある女性になろうではないか。

そう決意したにもかかわらず、私が袖を通したのは毛玉だらけのセーターだった。家だしいいかと思った瞬間、私のジーナへの道は険しいことを悟った。

たとえ毛玉のついたセーターを着ていても、きっとジーナはいい匂いがするはずだし、口紅もつけているだろう。
マスク生活により疎遠となった口紅を塗り、普段はつけない香水をふってみる。
久しぶりにつけた香水に少しだけ若さを感じ、薄いピンクの口紅は今の私には全く似合わなかった。

憧れという夢の中から、カウンターパンチをくらって現実に戻ってきた。
鏡の中の自分と溜息をつき、まずは今の自分を更新することを誓った。

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