【消滅都市】タロット&キャラクター考察 ツキの正体【月】
この記事はスマホゲーム「消滅都市」に登場するキャラクター「ツキ」の解説および月のタロットカードの個人的な見解と考察です。
・原作版(スマホゲーム)
・AFTERLOST(スマホゲーム)
・小説版
・アニメ版
それぞれのツキの設定についても解説しますのでイメージに合えば参考になさってください。なお、一部ネタバレも含んでいます。
ツキはどの世界線からやってきたのか?
「消滅都市」すべてのコンテンツにおいて、タイヨウとツキは本編の舞台タクヤとユキが住む世界とは別の並行世界から転移した組織の科学者です。
「3年前の消滅後、別人のように人が変わった」との文脈から、失われし世界から1度目の消滅の世界に転移した時点で、ツキは他人の肉体(上記の女性)に憑依したと読み取れます。
ちなみに、アニメ版ツキと小説版の設定は以下の通りです。
なお、原作版では失われし世界と呼ばれるworld:Aの世界線からやってきたと言及されていますが、それ以外のコンテンツに直接的な名称はなくツキとタイヨウが並行世界から来たという設定に留まっています。
火・水・木・光・闇の5大要素で中点を形成してロストを発生させ、ロスト・ゼロ経由で1度目の消滅の世界(world:B)に転移したタイヨウとツキ
なお、失われし世界はマスターブランチとも呼ばれる世界で
①1度目の消滅編
②失われし世界編
③2度目の消滅編
これらでは明かされず、④天上の世界編で初めてタクヤとユキが居るworld:Bの世界線がマスターブランチから分岐されたBeobachter(world:B)だったと判明します。
アニメ版は少々設定の改変があり、原作でいうところの1度目の消滅(ロスト)の話で完結しましたが、おそらく原作版のworld:Bとは別の世界線の話で、あれも可能性のひとつとして描かれていたのではないかと推測します。
ちなみに、タイヨウとツキの間に生まれたホシについてはworld:Bに転移した後に出来た子との裏設定があります(参考:アニメ版消滅都市 4巻の特典冊子より)
小説版では別の世界線らしきホシと小説のみに登場するホウカのやり取りがあります。
1度目の消滅の世界でタクヤとユキの前に敗れた2人は、3章〜ロストを越えた先から人ではない存在へと進化していきます。
元の肉体はどこへ?
タイヨウとツキの2人が所属する組織(黒コートたちがいる機関の配下)は、失われし世界の住人たちを別の世界線に移動させる計画「ノア計画」と第2のウチュウを造り出す計画を遂行するため
world:A→world:Bへと転移してきました。
このときに、タイヨウとツキは肉体を持たずに意識(体)のみで世界線を移動し、world:Bで他人の肉体に憑依したことがストーリーで窺い知れます。
ツキの「おっぱいが大きいこの体を選んだ」という会話からも、何らかの理由で元の体のまま世界線を移動することは困難だったため、タイヨウと共に自分ではない誰かの体に憑依したのだということです。
タイヨウは元の自分に似た肉体を選んだようですが、ツキは胸が強調された女性に憧れを抱いていたような描写があり、あえて元の姿と似ている肉体を選ばずworld:Aに居た頃とは異なる容姿を選んで憑依したことが分かります。
しかし、ストーリー上ではタイヨウとツキの本来の容姿には触れられておりませんし、world:Bでツキたちに憑依された人物が誰なのかも不明のままです。
▼元の肉体で世界線を移動しなかった理由:
余談ですが、サイドストーリー「瞬く日々の終わりを」では、星のタロットカードを所持して成長した姿のホシ(通称:大人ホシ)が登場します。
この第3話のなかで、大人ホシは元の肉体を保ったまま世界線を長時間移動することは負担になるとユキに話していました。もしかしたら、タイヨウとツキもこれが原因で長期の研究を想定し、肉体を捨てた状態で世界線を転移したのかもしれません。
そうなると、塔のタロットを所持したイリアス(トラオム)は肉体を保ったまま世界線(天上の世界)を移動したために、力の代償も相関して常に苦痛を感じる体になってしまったのでしょうか?
◆原作版、AFTERLOST版のツキ
タイヨウの右腕として組織の研究に協力していたツキでしたが、1度目の消滅の世界でタイヨウのコマとして利用されタクヤとユキに敗れて消滅してしまいます。
◆アニメ版のツキ
一方、アニメ版では原作のゲームと展開が大きく変わります。ツキは波動性物質の薬を完成させる実験体に自ら志願し、タイヨウの行き過ぎたエネルギー注力によって命を落としました。この世界線は原作やAFTERLOSTとも異なるようで、息子ホシの存在や描写もありませんでした。
◆小説版
こちらもIFストーリーですが、ホウカという小説版限定の女性キャラクターがいます。
タイヨウたちの組織に所属することになったホウカ。組織内で彼女に合う仕事がなかなか見つからず、タイヨウにホシの世話役にあたるよう命じられます。
ホウカが世話役にあたることで、原作版のツキが選択しなかったホシのもう一つの未来と可能性を読むことができます。
ツキ=月なのか?
ツキの名前が天体の「月」と関係があるのか?
それはさまざまな「顔」を持ったツキを見ていきたいと思います。
・科学者としての表向きの顔
・タイヨウを愛する本心の顔
・息子のホシへ接する戸惑いと不器用な母心を持つ顔
西洋占星術や神話では天体の「月」の満ち欠けと女性の成長過程を照らし合わせ、
・上弦の月→乙女(処女)
・満月→母
・下弦の月→老婆
と例えることもあります。
ツキにも
タイヨウに見せる顔→乙女
息子ホシに見せる顔→母
と月相のように人によって見せる顔が変わりました。
女神が登場する世界神話や月をテーマにしたアニメ作品では、月=神秘的だったり、月=母性の象徴となることも少なくありません。
しかし、日本国内では月=母の象徴と捉えることに異論を唱える占星術師もいらっしゃいます。
月には神秘性とは別の顔で、人を惑わし狂気に陥れる性質を併せ持っているからです。
※ルナティックの語源はラテン語の月(Luna)に由来することそうです。
そういった
母と狂気の側面を併せ持った二重性の月
はたして消滅都市のツキを月と同一視してよいのでしょうか?
これは個人の感想でしかありませんが、ツキには月の概念として存在し続ける必要があり、月そのものではなかったと見ています。
では、ツキの本来の素質と本性は何だったのでしょうか?
ツキの資質は惑星=金星説
ツキは科学者としての顔を持つ一方で、いつしか女性の恋心を抱きながらタイヨウの右腕として組織の研究に従事していたのではないかと考えています。
※ストーリーでもタイヨウを愛していると言及したシーンあり
先述の通り、world:Aに居た頃にホシはまだ生まれていませんので世界線を移動する以前から1人の男性に恋する乙女だったことになります。
また、タイヨウとの間に子どもを生んだ後のホシへの接し方も到底、母が子へ見せる愛情表現とは言いにくい印象を持ちました。
ツキはタイヨウの行う実験を優先させ、ホシとは一方的な手紙を差し出すことでしか息子を気にかけることをしなかったからです。
これはツキに愛情がないわけでなく、息子に対する愛の向け方が不器用だったからかもしれません。
これらから推察するにworld:A~world:Bの間ではタイヨウに男女間の欲望的な愛を求めていたのではないでしょうか?
その性質は母性愛=月より
乙女の愛=金星に近いのではないかと思います。
金星は愛と美を司る惑星と云われていますが、この愛は「愛欲」と呼ばれる「欲望」の要素を含んだ愛情を示しています。
つまり、1度目の消滅の世界でツキが限界まで力を注がれ進化した姿は、愛欲にまみれた肉体の崩壊であったため、最終的にツキの理想の「美」とはほど遠い存在に変わってしまったのではないでしょうか?
金星を象徴する女神は、
ギリシア神話=アフロディーテ
ローマ神話=ヴィーナス(ウェヌス)
と呼ばれる存在ですので、
ツキの進化した崩壊体と比較するため一例として神話に登場する女神たちを参考にしました。
また、以降の進化した形態もいくつかの神話になぞられた女神と照らし合わせています。
例えば、超存在ツキの姿はギリシア神話に登場する蛇の頭を持った女神(元人間)メドゥーサに似ているため元々美女だった伝説もあるメドゥーサと比較しています。
さらに、失われし世界で登場したツキの姿はステージ曲名「Iris」に着目しました。
Irisの名がギリシア神話の虹の女神イリス(アイリス)であることから、ボスに接近していく特殊なバトルシステムとツキの容姿を結びつけています。
ツキの正体(元ネタ&モチーフ)
ツキも元々は人間だったのでしょうが、意識体のみで世界線を越えたことで何段階も進化した可能性があります。
以下①~④までを
乙女→母
金星→月
と愛が変化する過程と見立て、
「愛と美を司る女神」たちと結び付けてみました。
①失われし世界→1度目の消滅の世界(world:B)に移動
②タクヤとユキとの戦いでロストが発生した周辺(深淵)に向かう
③大人ソウマに失われし世界へ呼び戻される
④ホシの導きとタロットの力で天上の世界に現われる
タマシイのスキル名に「フルムーン」といった月を連想させる名称もあったのですが、ツキの形態はギリシア・ローマ神話で語られる女神たちに類似しています。あくまで仮説でしかありませんが、女性の心に潜む様々な女神の原型ではないかと考えに至った理由があります。
参考までに以下をご覧ください。
▼1度目の消滅:
崩壊体ツキ→金星を司る女神(アフロディーテ又はヴィーナス)?
▼1度目の消滅(深淵を越えた先):
超存在ツキ→蛇頭の女神(メドゥーサ)?
▼失われし世界:
????→虹の女神イリスまたはアイリス(ステージ曲:Iris)?
▼ボスと接近する手前(道中)に流れる曲です
▼天上の世界:
"XVⅢ.The Moon"ツキ→母元型(グレートマザー)?
このようにツキの見た目が大きく変わった進化の過程は、月相のように変化する意味も含んでいたのかもしれません。
月は従来の神秘的なイメージとは裏腹に、幻を見せる天体だとして自分の才能や本性だと思い込んでいたものすべてが偽物といった解釈もされる場合もあります。
このような朧気で不安定な要素が、長い歴史のなかで今でも月の解釈が変化しつづけるまさに月相の様子と似ています。
ツキも本来なら異なる資質を持った存在だったものの、天上の世界に用意された舞台に壇上することになった以上「月」を演じなければならなかった。
そんな見方もできるかもしれません。
月のタロットカード
ベオからタロットカードを受け取っていたタイヨウとツキ
※どの時点でタロットを受け取ったかは不明ですが、1度目の消滅の世界(world:B)で既に所持していたのではないかと考えています。
ウェイト=スミス版タロットの月に似たデザインですので、カードの意味や背景の象徴などは市販のタロット解説本をご参考願います。
消滅都市版タロットのデザインでは月のタロットのカード番号を表すような数字が隠れています。
2匹の動物の身体に付着した欠片を含めて18個ありますので、ぜひ数えてみてください。
正位置・逆位置の意味(消滅都市ver.)
月のタロットカードの正位置と逆位置にはこのような意味がありました。
消滅都市ではタロットカードが天上の世界に渡るチケットとなっていましたので、月のタロットを所持していたことでツキの中に隠れていた本来の母の心を取り戻すことができましたが、逆に言えばタロットカード無しではイデアに至ることも母の元型になることもできなかったということです。
しかし、ホシに希望の力と導きによって天上の世界に導かれたツキは、今までの恐れや不安から解放され母の元型となり、タイヨウの侵入を塞ぐための日食を起こす「月の概念」へと進化しました。
ただ、カノやソウマたちの力で用意された月の舞台はどうも作り物のようです。
これは月の光が太陽を反射した虚構であったり、ツキの内面の見せかけの月をあらわしていたのかもしれません。
消滅都市に登場する天体の名前のキャラクターは何らかの天体の役割を担うメタファーではないかとの持論があります。
タイヨウとツキが何のメタファーなのかは、次回以降に錬金術と占星術を交えてお伝えしたいと思います。
ツキに空いた腹部の穴の意味
天上の世界に渡ったツキの第2形態ではお腹の周辺にぽっかり穴が空いていました。レイドバトルでこの姿を初めて見たときは「子が居ない」や「母胎」の暗喩かと少し怖さも感じました。
しかし、もし空洞の穴が母胎や子を表していたのなら子宮の位置になければ不自然です。
では、この穴が空いたお腹にどんな意味があるのか?
可能性があるとすればヨーガでいうところのチャクラをあらわしているのではないかと考えました。チャクラは第一チャクラ~第七チャクラで形成されるとされる生命エネルギーの概念で、身体のちょうど腹部の場所が第三チャクラに当たります。
チャクラにはそれぞれエネルギーの働きや色が割り当てられており、
第三チャクラの特徴
エネルギー=怒り、悲しみ、恐れ
対応色=黄色
恐怖感やネガティブな感情を反映させる部位であるとされています。このような特徴を持つエネルギーの部分に穴が空いているとすると、ツキがこれらのネガティブな感情を失ったと考えられないでしょうか?
セリカとソルとの類似性
2度目の消滅の世界でノスタルジアと呼ばれる組織がおこなっていた実験は、タイヨウとツキたちが行っていた実験と同条件または対比させるような場面や会話が散見されます。
▼ソル:「造られし輝き」より
▼ホシ:
特にソルとセリカのストーリーではホシとツキを連想させる類似点もありました。これはタイヨウのレプリカント計画と同様に、下記①~②の意味と役割があったのではないかと考えています。
①太陽と月:ソル→太陽(男)、セリカ→月(女)
②寡婦と子:セリカ→寡婦(母役)、ソル→子(息子役)
※タイヨウの遺伝子から新たな存在を生み出すソル計画とソルの自我と力をコントロールするための母子の役割&ホシのような特別な力を持つ子どもを覚醒させる
なぜ、世界が変わっても孤児を実験に利用したり、その被験者の世話を未婚の女性に行わせるなどの同じ条件を繰り返すのかというと
・太陽と月
・母と子 など
賢者の石や黄金のような完全な存在を錬成する
錬金術の原理に則りたいからではないでしょうか?
「消滅都市」では一切触れられていない裏設定と根底原理の一つだとされる錬金術について、下記の記事内「セリカとソル」に少しまとめています。よければご参考までにどうぞ。
タイヨウが天上の世界で進化した姿の正体はYouTube動画にて解説&考察しました。消滅都市に太陽と月、寡婦と子が何の関係あるのかも錬金術の視点でお話ししています。
紙細工の月(Paper Moon)の元ネタ
紙細工の月は原題「It’s Only A Paper Moon」という実際に存在する曲に由来する言葉で、村上春樹氏の小説『1Q84』にてこの曲の歌詞を引用した一節があるそうです。
そうであれば、紙細工の月やセリフの下りも下田さんが普段から読まれている小説や聴いている音楽から着想を得たのではないかと思い、これについて追究はしませんでした。
もし気になる方がいましたら元の歌詞や小説の文章も調べてみてください。
おわりに
私の見解では
ツキ=舞台で演じる月の虚構
ゆえに月の輝きは偽物であり、
紙細工の月だったツキは
太陽を反射し虚構を見せる幻の
比喩も兼ねていたのではないかと考えています。
ツキの動画はマドモアゼル・愛先生の提唱する「月は欠損を表す」説から連想させる月の性質も盛り込みました。
実は愛先生のYouTubeメンバーシップに加入していて、加入当時はお恥ずかしながら愛先生の「月は欠損」説を理解しておらず「自分の月星座を活かしたい」と頓珍漢な自己紹介をしてしまいました。
現在は従来の月星座の読み方と愛先生の欠損説を組み合わせ、月にどちらの特性もはらんでいると念頭に置きながら勉学に励んでいます。
マドモアゼル・愛先生の著書「月の教科書」には
「月は本当に母なのか?」といった題材や月星座の裏解釈(反転法)など、現代の月星座の考え方が180度変わる内容が書かれています。この説をどう見るかは自分次第かと思いますが、ぜひ読んでみてください(下記のリンクは非アフィリエイトです)
2021/12/04更新
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