SONYから発売されたモーションキャプチャー「mocopi」の感想
◆mocopiを買ったきっかけ
2023年1月にSONYから発売された
モバイルモーションキャプチャー mocopi(モコピ)
去年、メタバースプラットフォーム『cluster』を遊び始めたことがきっかけでMetaQuest2を買い、さらにはVRoidStudioで3Dアバターを作り始めた。VRの分野はまだ理解が追いついていないが、徐々にVR機器や3D環境を揃えて自分なりの楽しみ方を見出している。
clusterを知ったばかりの頃はメタバースという言葉とは無縁だったし、わざわざ高価なVRゴーグルを買おうとも思わなかった。ボイスチャットも抵抗があり、誰とも絡まずワールド巡りをしてはアバターを眺めていた。VRSNSに対して、ボイスやチャットを使ったコミュニケーションツールよりも「ゲーム感覚でアバターを動かせたらいい」くらいにしか考えていなかったからだ。
しかし、不思議なものである。
3Dアバターに愛着が湧き始めるとVR上で声を出したり全身を動かしたくなってくるのだ。それでも他人とコミュニケーションを取ることに迷いや抵抗感があったことには大きな理由がある。一度、アバターを介した感覚的な嫌がらせを受けたことがあり、メタバース上におけるマイナスイメージを払拭することができなったからだ。
▼cluster内で体験した苦い思い出(VRゴーグルを購入した直後)
これは去年の5月頃に起きた話だ。
VRゴーグルを購入してまだ3日目の夜。
買ったばかりのMeta quest2を装着してワクワクしながらcluster公式番組『ハロークラスター』へ観覧したとき、ある女性アバターを扮したユーザーから妨害行為を受けた。
具体的には、わたしのアバターに意図的に重なり目の前の視界を遮ってくるといったやり口だった。
このときはパーソナルエリアの設定やブロック機能もわからず、脳が錯覚している不快な感覚からすぐにでも逃げたくてそのままログアウトしてしまった。
先程まで壇上でイベントの宣伝をしていたユーザー尚且つ、何の接点もないわたしになぜ悪意を向けたのかはいまも分からない。状況や位置的に偶然重なってきたかもしれないし、お互いに言い分はあるだろう。
しかし、どのような誤解があったとしても、視覚を妨害する行動を取って良いとはならない。
わたしはその時のショックと不快感がとれず、それからcluster自体のログインも辞めて、VRやメタバースから距離を置くことにした。もちろん、cluster運営には直後に報告済み&その際に対処方法のアドバイスもいただいている。
そんな少し苦い経験があっても再びVRやclusterを再開したいと思ったのは、他のユーザーやクリエイターの方々がメタバース上で楽しくコミュニケーションをとっていたり表現活動をしている姿に尊敬や憧れの念を抱き続けていたからだと思う。clusterは運営スタッフとの程よい距離感やユーザーと仮想世界を拡張&成長させていくようなあたたかい雰囲気がすごく好きだった。
・全身を動かすためのVR機器が必要
「せっかくVRを楽しむならわたしも全身を動かしたい・・・」
「ワールドで見かけたお姉さんのようにフルトラしてみたい・・・」
clusterを再開するときは苦手意識があったボイスチャットや全身を動かすためのフルトラッキングも試してみたい。もう一度、自分のできる範囲でメタバースの世界を楽しもうと思った。
はじめはHaritoraXやviveトラッカーも考えたが、HaritoraXは受注生産のためなかなか予約がとれない。viveトラッカーに至っては最低3個購入してSteamでキャリブレーションをしなくてはならかった。
精密機器の操作が苦手な自分にとって、謎の用語やカタカナが並ぶだけで抵抗感が増し、調べはじめた段階で既に面倒臭さと諦めモードに入っていた。
だからこそ、今回SONYが開発したmocopiに大きな期待を持っていた。機械音痴のわたしでも直感的に設定できたのでざっくり感想を書いてみる。
◆mocopiとは?
・特徴①:小型センサー
このmocopiの特徴は小型化されたセンサーだ。従来の機器と比べて圧倒的に小さい。「500円玉サイズのおはじき」のような形状をしており専用の収納ケースに保管できる。小さいから紛失しそうだと思っていたが収納ケースがあるならその心配もない。なお、この収納ケースは充電器にもなる。
・特徴②:スマホアプリで管理
mocopiを買う一番の決め手になったのがスマホアプリで管理できるところだ。パソコンを介してキャリブレーション(自分の動きとアバターの動きを一致させる調節作業)をすることなく、mocopi専用のスマホアプリですべて完了できる。このおかげで室内だけでなく、室外でもモーションキャプチャーを利用できる選択肢まで増えた。これならレンタルスタジオや広めの空間を借りて思う存分モーションを楽しむこともできるだろう。
◆mocopiの操作手順(iPhone)
・手順は初回設定も含めて4ステップ
「かんたんモーションキャプチャー」という通り
手順はそれほど難しく感じなかった。
スマホアプリに表示される手順通りに進めるだけなので、
①センサーのペアリング~③身体への装着までは簡単だった。
ただ、②センサーの検出処理で6個同時に接続しようとすると失敗することもあったので、1個ずつ接続を試したほうがよかったかもしれない(※1)
(※1)ステップ②~④は使用する度に操作が必要
身体への装着は画面の通りにセンサー(mocopi)の裏面に磁石のようなものがついており、センサーバンドに取り付ける際も「カチッ」と接触部分がはまるように設計されている。
・キャリブレーションでつまずく
センサーの接続で何度か失敗したものの、センサーバンドを身体に装着するところまではスムーズに進めることができた。が、キャリブレーションで問題が発生・・・
自分の身長を選択したあと、
実際のキャリブレーション(同期作業)を行うのだが
キャリブレーション開始ボタンを押してから何度も失敗した。
・タイミングが合わず何度もエラー
上記の右画面の説明をご覧いただきたい。
説明の通りに読むととてもシンプルなのだが、
"音と振動の合図"とは・・・?
わたしの読解力と思い込みの激しさが問題なのだが、説明の意味はこういうことだ。
わたしはボタンを押した瞬間、すぐに一歩前へ進むと勝手に誤解していたため、何度もキャリブレーションを失敗してしまった。また、音と振動がセンサーから鳴ると思い込んでいたため、スマホアプリの音をオフ設定にしたままだったのも原因のひとつだ。実際は、ボタンを押して音がすぐに鳴るわけではなく、スマホアプリから数十秒後に音が鳴る。そのため、すぐに動作をしてはいけなかったようだ。文面を理解することができず、自分の理解力の無さと思い込みの激しさを痛感する・・・。
◆まとめ
基本姿勢のポーズにもコツがあるようで、手足の位置がズレると想定した動作ができない。また、装着センサーの左右を間違えるとアバターの手足がクロスすることになるので注意が必要だ。もしアバターがうまく動作しない場合は、再度キャリブレーションすることもできるので、慣れるまで時間がかかりそうな操作である。
以下の動画は、初めてキャリブレーションが成功したときに撮ったもの。下半身は足首のセンサーのみなので激しい動き(特に足の可動域)はmocopiに適さないのかもしれない。しばらく試行錯誤を繰り返して自分の使いやすい方法を探してみたい。
・clusterではmocopi未対応(今春予定)
わたしが楽しんでいるメタバースプラットフォーム『cluster』では残念ながらmocopiに対応していなかった(2023/02/21現在)が、cluster公式サイトを確認すると今春mocopiに対応予定とのことで待ち遠しい。フルトラ環境を整えたら、前々から気になっていたラジオ体操に参加してみたい。
・知識も経験も日々アップデートしたい
メタバースと言えども、そこには人と人との繋がりがあり、その空間に適した接し方や対応があると思う。mocopiのように実際に触れてみないと得られない経験もあるだろう。
自分はいつまでも未熟者だ。世の中知らないことだらけなことを自覚した上で、指摘されたことは受け入れるし、プラットフォームごとの利用規約やガイドラインにも従わなければならない。
今後もメタバースやVRと適切に付き合って表現活動のひとつとして活用したい。mocopiは自分にとっての表現ツールになりえるだろうから。
最近は声帯も手に入れた(ローランドのVT4)
インターネットの海でわたしと出会うことがあれば話しかけてくれると嬉しい(*´ω`)
▼クレジット
3Dモデル:Nuibari
著作/制作者:メシエナンバー様
ライダースジャケット
著作/制作者:猫面飾屋様
サングラス
著作/制作者:鴇色稲荷堂様
SDイラスト
著作/制作者:子箱様(@BeFgy__)
YouTubeチャンネル(海鮮かきあげ)