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さよならの向う側
夕食後、ポカンと口を開けながらYouTubeで山口百恵の夜ヒットラストステージを見た。
素晴らしいね、ちょっと涙出たし。
周りの歌い手達も全員プロ。本物。歌手。
和田アキ子とか高田みづえとか西城秀樹とかアンルイスとか桜田淳子とかその他諸々プロしかいない。
そんな人達がメドレーで山口百恵のヒット曲を順番に歌う。百恵の肩を抱きながら、百恵の頭を包み込みながら、百恵も泣き、プロの仲間達も泣く。俺も泣く。
見終わった後、しばらく放心状態。
一緒に見ていた夫が
「まるで一本の映画を見終わった感じだよね」
上手いこと言うなと思いながら口から出たのは
「私の事もそう言って。一本の映画を見てるようだと言ってよね」
は?私は何を言うとんじゃ。
と思いつつ
上手いこと言うな私。
そうやねん、映画やねん、私そのものが映画やねん、と調子ぶっこいたところで夫が嬉しそうに笑う。
はたから見れば気色の悪い夫婦。
似たもの同士が一緒に暮らし、気色の悪いところがますます似てくる。
ですが、どうですか。
世の中の人達も、きっとみんな色々気色悪い。
一歩外に出れば普通な顔して、部屋の中では丸出しの色々。
と言うか、逆に、そうでなくっちゃ。
外でも丸出しでもいいけれど。
好きにしなされ。
好きに生きよ。
呪文のように
好きに生きよ。