「衰退産業」
24歳・松山莉子は地元の竿竹製品の会社で働いていた。
現代では竿竹製品は廃れてきており、会社は打開策を模索していた。
その結果、スタッフの誰かが竿竹の顔出し着ぐるみを着ることになった。
誰が着るかはくじ引きで決まり、不運にも莉子の名が出てしまった。
その着ぐるみは竿竹のデザインで、身体部分が縦に長く伸び、顔が出る部分は竿竹の節の部分になっていた。
恥ずかしい格好を強いられ、莉子は嫌がりながらも仕事を始めた。
その日、商店街で竿竹の着ぐるみを着て商品のPRをしていた莉子の前に、一人の男性が現れた。「鼻フックしてくれたら、買ってあげる」と。
莉子は愕然としたが、困り果てた表情で彼に頷いた。全身が痺れるほどの恥ずかしさを感じながらも、彼に自分の鼻を委ね引っ張られた。周囲の見知らぬ人々の視線が痛いほどに感じられた。
その日の夜、竿竹の着ぐるみを脱いだ莉子は、自分の行動に戸惑いを覚えた。彼女はこの仕事を続けるべきかどうか悩みながら、自分の部屋でひとり涙を流した。
彼女の心は混乱し、その夜は眠れなかった。
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