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知性を与えられた猫たちは何を見る? 第57話

「律佳ちゃん!こっち!」

茶丸の声が聞こえた。

声のする方を見ると、茶丸とセイくんが慌てながら手招きしている。

「え、でも、追いつかれちゃう・・・」

とりあえず、彼らのいるところに向かって走ったが、重い足音が近づいてくるのがわかる。このままでは追いつかれるのは目に見えている。

「ああっ!追いつかれる!」

その瞬間、キュキュキュという金属の摩擦音の後に、シュオオオオッッッ!という音が聞こえ、水しぶきが降りかかるのを感じた。

見ると近くで茶丸とセイくんがスプリンクラーのバルブを回していた。
スプリンクラーの水はロボットの鋼鉄の装甲を直撃する。

「システムエラー・・・電圧過負荷・・・制御不能・・・排除モード中断・・・」

電子音の断続的な鳴り響きと共に、ロボットの動きが止まり、火花を散らす金属の腕がゆっくりと垂れ下がり、その場で完全停止した。

「急ごう、ショートさせたけど、また動き出す前に逃げなきゃ!」
セイくんの声に、私達はその場を離れた。
その後、私達は三木とコタローに合流し、全員は歩みを進めた。そして、制御送信装置のある部屋の前で足を止めた。鉄の扉の前で私達はネオAIからの情報を聞いた。彼の情報では中には10数名のエージェントがいるということだ。

「ここは、全員でこのドアから部屋に入るのは危険だな。茶丸、セイくん、君たちは天井裏から部屋に入ってくれ。そして俺たちの突入に合わせてドローン攻撃、催涙スプレー、何でもありだ。」

「うん。」

「律佳ちゃん、また後でねー。」

2匹は三木に抱えられ、天井裏へと潜り込んでいった。
ドアはすでに解錠されている。私たちはその前で息を止めた。

「行くぞ、3・・・2・・・1・・・!」

三木の合図とともに私達は部屋の中へ突入した。

部屋の中のエージェント達が振り返る。その瞬間、茶丸とセイくんがエージェントめがけて催涙スプレーを発射した。彼らが怯んだところを私達はエアガンで狙う。

コタローはさらにアップグレードした電撃を加え、敵を圧倒していった。部屋は物音が壊れる音、エアガンの音、電流が流れる音、そして叫び声で包まれた。

ふと、奇妙なヴンという振動と共に耳鳴りが聞こえた。

「これは・・・・テレポート!」

全員がこの場を放棄してテレポートするはずがない。このうちの誰かが逃げるのだろう。しかし、今、それが誰なのかを探している間は無い。ジョンからもらったテレポート抑制装置の効果範囲を最大にして・・・

私はバングルを触る。スイッチを押し、手首を強く握った。

「緊急モード!」

青白い光が放射状に広がり、テレポートを食い止める。
茶丸達、2匹は、催涙スプレーの攻撃の後、セイくんのドローンで敵を追い回して電撃を発射し、そこに怯んだ敵を茶丸が引っ掻き、猫パンチをくらわす、チームプレーを続けていた。

「このっ!クソ猫ども!」

2匹から攻撃を受けたエージェントの一人が彼らを追いかけ、部屋の隅へと追い詰めた。2匹は部屋の隅にある別の部屋へと続くドアの中へと逃げ込む。

「茶丸!セイくん!」

それを見た私は、叫んで追いかけ、部屋の中へと入って行った。

部屋は狭く物置のようである。壁には「火気厳禁」のシールが張られ、壁一面に棚が広がり、その棚には、様々な用具や資材、部品、薬剤などが所狭しと置かれていた。

私が中に入ると、男が棚の奥へと逃げ込む彼らを、近くにあった金属パイプで殴りかかっているのを目にした。

ガシャン!と棚の中の物が音を立てて飛び散る。割れた瓶から何やら液体がこぼれ出た。

私は息を呑んだ。

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