
知性を与えられた猫たちは何を見る? 第59話
しかし、危機を脱したとはいえ、戦いは続いていた。制御送信装置の部屋で三木が息を切らしながらエージェントと戦っているのが見えた。
安心する間もなく、急いで私達もそこに加わる。
「茶丸!三木さんに疲れが見える。三木さんをバックアップしよう!」
「うん。」
セイくんはドローンで三木が戦う男に催涙スプレーを発射し、茶丸はスパークスティンガーで三木を狙う背後の男に電撃を加えた。
「お!頼りになるバディだぜ!」
三木は疲れた顔で、彼らにニヤリと笑いかけた。
「任せて!僕たちは知性を得たスーパーキャットなんだから!」
茶丸とセイくんは今まで以上にパワーアップして動き回った。
しかし、いくら撃っても、次から次へと数を増やすエージェントやロボットが後を絶たない。
私もエージェントの一人を相手にエアガンを撃ち、抗戦していたのだが、次第に部屋の隅へと追い詰められていった。そして背中の後ろにある、また別の部屋へと続くドアまで近づく。逃げ場を失い、そのままドアの中までジリジリと後退する。と、突然、目の前のドアが閉じられ、ガシャンという音だけが残った。
慌てて、ドアに駆け寄り開けようとしたが、ロックが掛かっている。すると背後で別の足音が聞こえた。振り返るとこの部屋に入ったドアと反対側のドアから別のエージェントが入ってきて、私に近寄ってきた。私はエアガンを彼に向けたが、その男は巧みにそれを避け、私を床に押さえつけた。
「クッ!」
私は腕を後ろに回したまま縛られ、必死に抵抗した。男が「今から最終尋問室に連れていく」と電話口で話しているのが聞こえた。
「こんなところで・・・終わるわけにはいかない!」
心の中で叫び、縛られた腕を見る。
「何とか、何とかしなきゃ・・・。でも、どうやって・・・・」
ふと、前に拘束された時のことを思い出した。そして、
「そうだ、この指輪・・・・!」
私は三木がこれをくれた時の言葉を思い出した。
「まあ、最後のお守りってとこだ・・・」
彼の言葉とそれを言った時の彼の顔が目に浮かんだ。
私は親指で指輪のカバーを開け、ボタンを押し、そして、体を捻じる。
「これが・・・・最後の頼みの綱!三木・・・お願い!」
ねじった勢いで縛られたままの腕を振って、めい一杯、力任せに男にパンチを加えた。
バリバリッ!と鋭い音と共に電撃が男に伝わり、男はその場に倒れた。私は急いでシューズの底に仕込まれたマルチツールで腕の拘束を解いた。
私は入ってきたドアに駆け寄ったがロックされたままだ。仕方なく、反対側のドアに向かい廊下に出た。