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ケチでいじましいオトコと思われるリスクを負いながら、それでもボクは‘’餅チーズとんぺい焼き‘’が食いてぇと叫ぶ

我が家の長女と次女は毎晩二人で遊ぶ。
録画したビデオを一緒に観て、すごろくをしてから風呂に入り、そして、クイズを出し合いながら眠りにつく。

身体のサイズは大差がないので、
服や下着や靴のたぐいは全て‘’シェア‘’。

さらに、食べ物やカバン、帽子もシェア。
というか家の中に置いてあるものにはどちらかの所有物という概念がなく、
全て、どっちが使っても良いという、幼い子ならではの独特の取り決めになっている。

そういえばこれからの時代は
「ギブ&テイク」ではなく、
「ギブ&ギブ」もしくは「ギブ&シェア」
の時代と聞いた。

両者の違いはハッキリしていて、自分の行為の見返りとして何かしらのお礼を求めるか求めないかであり、まるで異なった概念である。

ということは、
卑しいくらいのカネの亡者もうじゃであり、
すぐに何かとカネの見返りを求めてしまうボクはまさに時代錯誤じだいさくごおじさん。

今日という今日は
こういった時代の流れを全力で配慮した上で、そして反省の意を込めて、
どうしてもこの場でバシっと言っておきたい。

お金最高、イェイLOVE MONEY、資産所得倍増さっさとしやがれ、お金くれくれアイ・ラブ・ユー。

単刀直入に言うと、
カネが「好き」または「くれ」である。

気がつけば、今の時代は「シェア」「サブスク」だらけ

会社の若い子たちと話していると、
総じて「生活の必要コストを下げる」傾向にある気がする。

ボクたちの若い頃は
「買ったら自分のものになる」というのが、買い物の楽しみでありステータスでもあった。でもいまは、「自分のもの」にこだわる人は確実に減ってきている。

車なんて維持費が高いからいらない、
海外旅行も別に興味がない、
恋愛も面倒くさい。
生活の経費が上がらないように、若者たちはどんどん手放していくのだ。

最低限、困らないくらいのモノがあれば、わざわざコストをかけてまで所有し、友人にうらやましがられるよりも、

レンタルの方が、かさばらないし、維持費もかからないし、気分で選べる。
自分のものじゃなくたっていい。ほしいときにだけ手元に置きたい。
それよりか、色んなものをInstagramで披露して友人から「いいね!」をもらうほうが価値がある、と考えている人が多い傾向にある。 

かくいうボク自身もここで幾度いくどかドヤ顔で発表してきた通り、
生活にかかるコストや労力を、可能なかぎり下げるミニマリストである。

3人目が生まれるまでは、
チャイルドシートを2台保有しつつ、近隣カーシェアをまるでマイカーのように使うヘビーユーザーだったし、

購入マンションのスケルトンリフォームが終わるまでの3ヶ月間は、外国人が多く利用するシェアハウスで共同生活を送っていた。

それよか、すでに知識や経験という“情報”なんてモノは‘’シェア‘’においてはかなり先の世界を進んでいると言えよう。

なんでも調べずに聞く人を
「ググれカス!」
なんて昔は揶揄やゆしていたが、
今はGoogle検索は、もはや時代遅れ、という話をよく聞く。

若者を中心に、自分が知りたい情報はすべて
TwitterやInstagramのハッシュタグで検索し、情報を得るという文化がすでに根付いているのだ。

「SEO対策」で上位に表示されている公式サイトやまとめサイトはもとより、口コミで評価をしているはずの「食べログ」などの情報サイトも‘’サクラ‘’や‘’自作自演‘’を疑ってアテにはしない。

わざわざGoogleに行くよりもハッシュタグ検索のほうが最新で、手っ取り早いし、
利害関係のない人による忌憚きたんのない声、経験こそが信頼できる、
と感じている人が増えてきているようだ。

「ギバー」「シェア」という主張は、
自分のためだけに使うより、
どんどん公開していったほうが、多くの人の幸福につながるという考えにたっており、

基本的にボクは大賛成だ。

…と、前フリがものすごく長くなった。さて、ここからは起承転結の‘’転‘’ですな。

さて、いまから
ケチでいじましい、そして空気の読めないオトコであると思われるリスクを背負いながら、満を持してモヤっとしたエピソードを語りたい。

先週の金曜日。

会社で新規に立ち上がったプロジェクトのメンバーの一部で親睦会しんぼくかいを行った。
本来であれば、アルコールがはいる居酒屋でワイキャイと開催されるものではあるが、

このご時世のため、控えめにしておこうと、お好み焼き屋でつつましくすませることになった。

プロジェクトのメンバーは普段の業務ではほとんど接点がなく、
また接点のあるメンバーは欠席したため、結果的にほぼ初絡はつがらみに近いメンバーの5名で構成された。

女性は、部長職と29才。
男性は、ボクと32才と27才。

女性の部長職が一番のご年配で役職も偉い。少しだけこの部長と仕事で関わったことがあったが、まあ絡みづらいだろうなあ、という印象があった。
まあそれが見事に的中してしまったワケだが。

店に到着してすぐに定番のあれが始まった。

上座かみざ下座しもざの座るポジショニング問題。

「さぁさぁ、部長は奥へ」
27歳の若手メンズが、必死に気を遣って部長を奥の上座へと誘導する。

するとまんざらでもない顔をしながら、
「いやいや、こういう気遣いは今日はやめようよ~。親睦会なんだから~。」
と満面の笑顔で言いながら、
あえて下座に座る仕草をしてウキウキおどけてみせるおばはん。

それを若手が
「ここはオーダー役のボクの席なのでダメですよ〜」
と制止したところに、
畳みかけるようにおばはんが
「いや、今日はこういうのをさせてもらいたいの!おもてなしの心で〜。」

なんていう、

まさに誰一人とてクスリとも笑いのおきない、三流茶番劇がまことしやかに始まったのだ。

パッ!と横をみると、おしぼりを置こうとしている若い店員さんが、昔ながらのthe年功序列の‘’かばん持ち‘’‘’太鼓持ち‘’のリアルを見せつけられて、
ヤレヤレといった顔して呆然ぼうぜんと立ち尽くしているじゃないか。

店員さん、ごめんなさいね、
どこでもいいからさっさと座れや、
上司づらおばはんとゴマすり野郎、
おまえらふたりともウザいんじゃ、って思うよね。

いや、キミは純粋な優しい目をしてるから思わないかもしれない。

でも、ボクならきっと思うな。

クタバレ

って。

もうこんな茶番は我慢できない。
図太い神経をしているボクが無視してスーッと、一番の上座の奥に座ってやった。

すると慌てて、ボクの対面となる手前側の上座に座った部長職。
ウキウキの寸劇を強制終了されて、なにか言いたげな顔をしていたが、おかまいなくボクはサッとメニュー表に目をやり、何をオーダーするかに話題を切り替えた。

ボクは、‘’餅チーズとんぺい焼き‘’が食べたかった。どうしてもその日は‘’とんぺい‘’な気分だったのだ。
実のところを言うとそもそも
お好み焼き自体があまり好きではない。

その日もやっぱりお好み焼きは食べたくない。どうしても、“餅チーズとんぺい焼き“に‘’ビール‘’のペアが頼みたかったので、
‘’邪道でごめんなさいね‘’
と一言だけ、皆にコトワリをいれて注文した。

しばらくすると各自の注文したものが次々とテーブルの鉄板に運ばれはじめ、
モチが焼ける独特の匂いを感じながら、
‘’あぁ、迷ったけど来てよかったかも♡‘’
と、ボクはひとときの高揚感に包まれてワクワクした。

が、そのときだった。
とんでもない言葉を耳にした気がした。

部長が唐突にニコッとしながら

’ねぇ、せっかくだからみんなで『シェア』しな〜い?‘’

“一口ずつ食べたいよね~”


う、
嘘だろよ。

いやいやいやいや笑
いや、さすがにそれはない。

いいか?‘’餅チーズとんぺい焼き‘’なんて、
そもそもそんなに量がないのよ。

しかもオレはあんたが頼んだ
“全乗せデラックスミックスのお好み焼き“
なんてヘビーな粉モンを
いま食べたくないねん。一口たりとも。

それにやな、後輩やってやな。
焼きそばに、オムソバに、モダン焼きに。
頼んだものみたら分かろう。
今日はみんなお好み焼き気分とちゃうのよ。

ちゃう、ちゃう。

さすがに相手が部長だろうと、ここはビシッと断るべき。
お好み焼きハラスメント、おこハラ。
怒ハラ
やわ。

親睦会だからブレ―コーなんだろ?
イヤなもんは、いやだ。
さぁ、そう断ろうぜ。

そうだよねえええ、
後輩の三人さあああんn??!

同意を求め後輩三人に目配せしたボクの瞳に映ったのは、部長の提案に陶酔し、
首がもげるほどフンフンとうなずいて、ニコニコした三後輩の姿だった。

‘’そ、そうっすね‘’
‘’あぁ、私もイロイロ食べた〜い‘’

つくり笑顔丸出しで同意する後輩たち。
あ、え、ナニ?  
そ、そういう感じ? え、そういう感じなの?
うそだろぉよ。

なんちゅう大胆なゴマスリやねん。

いやいやいやいやいや。
そうなるとやな。ここでオレが断ったら、初絡みの社員にケチでいじましい、そして空気の読めないアラフォーおっさんの烙印らくいん押されるよね。

重度の混乱におちいったボクに、しかし無情にもターンが回ってくる。

「じゃ、ゆづおさんは?」
おばはんが聞いてきた。

自分の想定していた感じと違う流れになり、何も答えを用意していない事実に向き合ってそのときのボクは気が動転していた。

「へぇ〜、鉄板でみてみるとデ、デラックスミックスって、ス、スゴそうですね。た、食べてみたいっすね…」

自分でもびっくりした。
追い詰められたボクは、見事なまでのてのひら返しで、従順な鞄持かばんちをしたのだ。

ほどなくして、オレの‘’餅チーズとんぺい焼き‘’はボクの許可も取られることなくキレイに5等分にされた。

自分が食べたかったものが
一口だけしか食べられなかったボク。

シェ、シェアって、そういうことなんすか?
モヤモヤ、モヤモヤ、……

‘’シェア‘’の精神を履き違えてはいけない

たしかにおばはんの行動は
“シェア”である。

かといって
「あー私、すげーシェアしたわぁ、ギブもしたわぁ」

と主張されてしまうと、なんとも言えない気持ちになってしまう。

この人の“シェア”の思考回路は、よく考えると「与えられたい」という“テイク”にすぎないのだ。

ボクが思うに“シェア”の精神のいいところは
「自分がナニを与えられるか」よりも、
「相手が求めているものを与える」行為だと思うし、だからこそ浸透したんじゃないだろうか。

そうでなければ、結局は“ギブ&テイク”と同じである。

‘’シェアする‘’
こう自分自身が主張するときは、
「自分が与えられるもの」よりも、
「不特定多数の他人にしてあげられること」を探すようにしたいな、その観点を忘れないようにしたいな、って。

そんなふうに痛感した一日でした。

だからな。
その精神で最後にみんなに言おう。
ちゃんとこの記事‘’シェア‘’してね。

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