死ぬ前に人は「いい人」をやめる。という点に絞ったゾンビゲームが面白い。
「ゾンビウイルスに感染した母親」が残された時間で息子に生きる術を教えるサバイバルゲーム。
めっちゃ面白そうな設定のゲームが話題になっている。この設定は非常に物語的だ。物語的な設定のゲームって増えてるのかしら。
もうタイトルが全てなんだけど、このゲームで思い出した絵本がこちら。
※以下ネタバレ含みます。
小学生のボクは、鬼のようなお母さんにナスビを売らされました。
実話で、原作者が母親の思い出を絵本にしたもの。
やさしかった母が突然鬼のようになり、子供に茄子の訪問販売をさせる。実は母親は病気で余命が短いことを知り、幼い子供に生き延びる方法を教えようとしていた。めっちゃ泣ける絵本でおすすめ。
物語の展開でよくあるのだけど、死ぬ前に人は「いい人」をやめる。他人がどう思おうが、もう自分は死んでしまうので気にならなくなるのだろう。死ぬ前か、もしくは死ぬような思いをしたときに、人は評価軸を他者評価から自己評価に切り替える。
他人がどう思うかより、自分がどうしたいかに忠実になる。その結果、犯罪に走る人もいれば、子供に必死にサバイバルを教えようとする人もいる。
面白かったのは、もし鬼の茄子のお母さんの物語を一般化してゲームにするとすれば「ゾンビウイルスに感染した母親が残された時間で息子に生きる術を教える」になりうるということ。
これが単に「ゾンビウイルスに感染した母親が残された時間を息子と過ごす」だったら、いい人で仲良くやって問題ない。しかし「息子に生きる術を教える」という条件がついているので、ちゃっちゃと教えないといけない。
鬼のようだったお母さんが亡くなったあと、茄子の訪問販売をさせられていた子供はお父さんからこう聞かされる。「お前が茄子を売っているとき、お母ちゃんはいつも泣いていたんやで」
高田純次さんの言葉「本当にいい人はどうかは関係ない。おごってくれる人がいい人」が胸に響く。
物語をゲーム化することはよくあるけど、このようなピンポイントの設定でもゲーム化できるんだな。
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