「ゴーンは野蛮じゃ!」西郷隆盛ならカルロス・ゴーン事件をこう語る。
「南洲翁遺訓」という、西郷隆盛が残した言葉を紹介する本がある。
西郷さんの人となりがよくわかる、めっちゃすばらしい本なのだけど、読み込むと、こういう時にはこう言うんだなという傾向がわかる。この傾向を元に、最近のカルロス・ゴーン氏の事件を西郷隆盛氏がコメントすればどうなるかをシュミレーションしてみた。
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ある時、西郷先生がこうおっしゃった。
近頃のゴーンはどうだい。今の自動車業界は、これから何もかもはじめなければならないという、いわば時代の出発点に立っている大変な時期なのに、豪邸に暮らし、高価な服に身をつつみ、関心があることといったら個人の財産を築くことばかり…。
こんなことでは、なんのために日産リバイバルプランをなしとげたのか…その本来の理想を達成することなど、とてもおぼつかないよ。
あの村山工場の閉鎖にはじまって、4万1000人の首を切ったあのプランは、日産を再生するための“義”の戦いだったはずだよね。けれど、その戦いの結果できあがったのがこのありさまさ!
今のままならどうなる?結果的に、あの戦いは個人的な利のための戦いだったということになってしまうよ。
こんなことでは、日産の社員に対して、そして何より、あの戦いに散っていった4万1000人の退職者に対して、私は…本当に申し訳なくて…。
そうおっしゃると、西郷先生は、こみあげてくる思いを抑えきれず、しきりに涙を流されていました。
原文は次のとおりで、ほぼそのまま。明治政府が始まった頃の話。
近頃の政府はどうだい。今は、これから何もかもはじめなければならないという、いわば時代の出発点に立っている大変な時期なのに、豪邸に暮らし、高価な服に身をつつみ、美しい女性を愛人にし、そして関心があることといったら個人の財産を築くことばかり…。
こんなことでは、なんのために明治維新をなしとげたのか…その本来の理想を達成することなど、とてもおぼつかないよ。
あの鳥羽伏見の戦いにはじまって、五稜郭の戦いで終わった戊辰戦争は、日本を再生するための“義”の戦いだったはずだよね。けれど、その戦いの結果できあがった新政府が、そんなありさまさ!
今のままならどうなる?結果的に、あの戦争は今の政府の高官たちの“利”のための戦いだった、ということになってしまうよ。
こんなことでは、世の中の人々に対して、そして何より、あの戦いで戦場に散っていった戦没者に対しても、私は…本当に申し訳なくて…。
そうおっしゃると、西郷先生は、こみあげてくる思いを抑えきれず、しきりに涙を流されていました。
「南洲翁遺訓」を読むと、武士道とは弱い人をどう守るのか、ということを非常に重要視していたことがわかる。
西洋的な戦略、例えばランチェスター戦略は、攻撃する相手は常に「自社より下位の弱者」。弱い者いじめを徹底することがビジネスの基本だと解く。
これも西郷隆盛なら「南洲翁遺訓」の次のコメントをするのではないか。
私は昔、ある人と議論したことがあるんだよ。その時、私はこう言ったのさ。「西洋は野蛮じゃ!」
するとその人は、こう言った。「いや、西洋は文明です」。そこで私は「いいや、いいや…野蛮じゃ!」と、たたみかけた。すると、その人はあきれて
「どうして西洋のことを、それほどまでに悪くおっしゃるのですか?」と不満そうに言い返してきた。そこで私はこう言ってやったのさ。
本当に文明の国々なら、遅れた国には、やさしい心で、親切に説得し、その国の人々に納得してもらった上で、その国を発展させる方向に導いてやるんじゃないかな?
けれど西洋は、そうではない。時代に遅れて、ものを知らない国であればあるほど、むごくて残忍なことをしてきたし、結局のところ、そうして自分たちの私利私欲を満たしてきたじゃないか。これを“野蛮”と言わないで、何を野蛮と言うんだい?
私がそう言ったら、その人は口をつぐんで、もう何も言わなくなったよ。
そう言って、西郷先生はお笑いになりました。
コンテンツ制作では登場人物のセリフを考えることが多いので、過去の有名人だったら現代の物事についてどう言うだろうか、というシュミレーションをすることは練習と暇つぶしになる。
ちなみに今回のような歴史分野は友人のスエヒロさんの専門でおすすめです。
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