年末年始の侵入盗の特徴
1、侵入盗とは?
侵入盗と言うと空巣を思い浮かべる人が多いと思います。
しかしそうとも限りません。
家屋等に侵入する泥棒を侵入盗と呼びますので、必ず空巣だけとは限らないんですね。
まずは実際に多い侵入盗の違いを簡単に説明します。
<空巣>
これは読んで字のごとくです。
家人がいない家に侵入する泥棒です。
「帰宅したら荒らされていました」
というタイプですね。
そのため、昼間の犯行が多いです。
<忍び込み>
これは家人が寝ている間に侵入する泥棒です。
「朝起きたら、トイレに起きたら荒らされていた。」
と言うタイプです。
そのため、深夜の犯行が多いです。
<居空き>
家人が起きている時に侵入する泥棒です。
これは流石にあまり件数は多くありませんが、あります。
窓を開けていることが多い夏場はそこそこ聞きますが、寒い年末は聞かないですね。
ちなみにこれは、家人に発見されないように侵入するものです。
家人に発見され、家人に襲いかかると窃盗ではなく、強盗になってしまうため、居空きとは呼びませんので。
2、泥棒のタイプ
警察目線で言うと、荒らされ方や侵入方法等により、その場で大きく2種類の泥棒に分類して考える傾向にあります。
その場だけのことなので、継続的に捜査する上でその考えに縛られるわけではありませんが。
その場だけで現場の警察が大きく分ける泥棒の分類とは
<外国人による泥棒>
侵入方法や荒らし方がとても雑なのが特徴です。
ガラスは割るとか、切ると言うより破壊します。
主に盗まれる物は宝石、家電類等、海外で人気のある売れる物です。
そのため、あまり現金には興味を示しません。
「家人に見つかったら殺す」
くらいの感覚のようで、全般的にかなり荒いです。
そのため、空巣ならともかく、忍び込みの場合、外国人の泥棒との接触はかなり危険です。
ガラスが割れる音や家具を荒らす音も全然気にせず荒らしているのに気付いたら、
「泥棒!」
と怒鳴りつけて追い返すと言うよりも、110番通報だけしてジッとしているのが無難だと思います。
<日本人の泥棒>
日本人の泥棒の場合、更にベテラン、素人と分類されます。
どちらにも共通しているのは、家人に見つからないように泥棒に入ると言うことです。
これは明らかに外国人とは違う部分ですね。
その部分で泥棒のスキルが高いか、低いかの違いです。
<ベテランの泥棒>
ガラスの割り方は3点割か焼き切りと言う方法が多いです。
具体的な方法は省略します。
もちろん私もやったことはありませんが、3点割はちょっと技術的に練習が必要なようで、焼き切りはそれ専用に道具を準備しないといけません。
そのため、行き当たりばったりな素人泥棒ではあまり見られません。
荒らし方は、必要最小限です。
ただし、とにかく急いで逃げたいため、タンスの引き出しは出しっぱなしが多いです。
発見を遅らせるために原状復帰していく泥棒もいますが、ゴールデンウィークで絶対に家人が直ぐには帰って来ない等の確約がない限りは荒らしっぱなしで逃げるのが普通です。
タンスの引き出し方でベテランか、素人か簡単に判別出来ます。
タンスの引き出しが全部出ている泥棒がベテランです。
理由は素人の説明の後にします。
盗まれる物は現金のみが主です。
それ以外は宝石類も盗みません。
日本人だと売るとバレるリスクが高いですからね。
<素人泥棒>
ガラスの割り方は、打ち割りが多いです。
要は普通に硬い物でガラスを割る方法ですね。
焼き切りも道具さえあれば難しい方法ではないので、素人でもたまにいます。
素人だと焦げ目が残りますけどね。
余談ですが、ベテランの焼き切りは焦げ目が残りませんので、鑑識としてはガラスを伝う熱伝導の関係から、ヒビを見て判別します。
この辺り、鑑識になる方法や鑑識官の技術に興味があればどうぞ。
荒らし方は手当たり次第で、基本的に金目の物はなんでも盗みます。
金目の物がどこにあるとか考えないで侵入しているので手当たり次第に荒らすんですね。
そして前もって何が欲しいとか、売る等などの処分方法を決めていないので、お金になりそうな物は何でもかんでも盗むんですね。
タンス等の引き出しは一番下だけ空いている状態で逃げます。
3、引き出しの状態による判断
先ほども少し言いましたが、ベテラン泥棒が荒らしたタンス等の引き出しは全部空いている状態です。
一方で素人泥棒が荒らした引き出しは一番下だけ空いた状態です。
何故これだけでベテラン、素人と判断出来るのか?
それは物色する方法に違いがあるから、最終的な引き出しの状態に違いが出ているためです。
実際に貴方の家の引き出しで試してみて下さい。
最終的に全部の引き出しが出ている状態になるにはどのように物色する必要がありますか?
それは、下から物色することです。
引き出しを下から物色すると、引き出しを戻す必要がありません。
つまり既に見た引き出しを戻さずに全部の引き出しを物色できます。
一方で一番下の引き出しだけが空いている物色方法はどうでしょうか?
これは上から物色している方法です。
上から物色すると、次の下の引き出しの中身を見るためには、上の引き出しは戻さないといけません。
一段物色するごとに戻す作業が必要なんです。
泥棒は兎にも角にも急いで物色して逃げたいわけですから、この差は大きいわけですね。
引き出しの物色方法一つでも効率化したいと考えるくらい時間を意識しているわけですから、赤ちゃんがイタズラしないように売られている引き出しロック
これを設置するだけでも泥部に嫌がられる防犯方法と言えると思います。
4、年末に多い泥棒
空巣と忍び込みです。
外国人もベテランも、素人も混在して多いです。
基本的に、年末と言うのはかなり大きな要素になります。
外国人なら母国に帰る資金作りとか、単純に年末年始お金がないから資金作り等のためですね。
素人泥棒も年末年始のお金がなく、年越しのためが多いです。
ベテランは、年末年始外出している家庭が多いし、多くの人は気持ちが浮いていたり、だらけていることが多いからです。
一晩のうちに十数件の侵入盗が発生したこともあります。
こんなことを言うのは何なのですが、警察としては地獄でした。
侵入盗は1件でも実況見分がとても大変なのですが、それが一度に数十件ですからね。
被害現場での実況見分も、持ち帰ってからの清書も、どちらも大変です。
それ以外にも事件は入ってきますので、サービス残業をし続けても中々終わりませんでした。
5、最後に
泥棒は同じ家に何度も入ることはまずありません。
しかし、何度も泥棒に入られる家があります。
それは、泥棒から見て入りやすい家だと言うだけのことで、多くの泥棒にも目を付けられやすいからです。
そのため必ず防犯対策をしないと複数の泥棒に目を付けられると言うことです。
そうならないために、自宅の適切な防犯対策はこちらです。
折角の年末、事件被害に遭ってその処理や恐怖の中ではなく、穏やかに新たな年を迎えましょう。
年末年始の準備に是非防犯も加えて下さい。
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