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Photo by
mashiro_world
百貨店前にて
バイト終わり、梅田の阪急百貨店前を歩いていた。
ふと、道端に落ちている人形が目に止まった。
表情がなく、無機質でクタクタの人形。たぶん女の子。
人通りが多い中、誰もその人形には目に留めず、スルーしていく。
その悲壮感や、都会のまちとボロボロの人形のアンマッチ感が「絵になるなー」と思い、
気付いたらスマホで、その情景を写真に収めようとしていた。
シャッターを押す直前、私の2m先を歩いていたお爺さんがふと立ち止まり、その人形を拾い上げた。
お爺さんの行動が気になって、目で追った。
いろんなパターンを考えた。
"お爺さんの落としもの?"
"それとも、駅員さんに届けるとか?"
次の瞬間、おじいさんは柱の側に人形を寄せ、ちょこんと座らせた。
まるで仏のような、朗らかな表情をしていた。
あーそうか。
その人形が踏まれないように、そして落とした人が見つけやすいように、端っこに座らせたんか...
優しい。優しすぎる。なんか、ほぼ無意識にスマホを取り出した自分が恥ずかしくなった。
それと同時に、同じ現象を見ても、人それぞれ感じ方が違うことを実感した。
お爺さんのように、人形が「かわいそうだ」と思う人。
私のように、芸術的に「絵になる」と感じる人。
他にも
汚いなー、とか
駅員に届けなきゃとか
そもそもなんで人形が落ちてるんだろう?とか。
全く人形の姿が目にも留まらない人もいるだろう。
感じ方は無限にある。
こういうところで、人間の本性が出るんだなと思った。
私もおじいさんのように、咄嗟にやさしい行動を起こせる人間になりたい。