開始日
2024年6月26日
署名の宛先
検察庁と4人の別の宛先
この署名で変えたいこと
署名の発信者 角川人質司法違憲訴訟 弁護団
みなさんは日本の法制度、特に刑事司法にどのようなイメージを持っていますか?公平で、有罪無罪を正しく判断して裁いているというイメージでしょうか?
しかし、実は日本の刑事司法制度は、裁判で無実を主張すると不利益が生じるという理不尽な現状があります。これは裁判で無実を訴える人ほど身体拘束されるという問題で、「人質司法」と呼ばれています。
この「人質司法」は、無罪推定が及ぶはずの「犯罪者」だと確定していない人の身体の自由を奪い、その身体をまるで人質にとって自白を強要するものだとして、国内外から厳しく批判されています。
https://youtu.be/_WExxUmO_Oo
誰でも巻き込まれる人質司法
日本にはたくさんの人質司法の事例が存在しています。「私には関係ない」と思うかもしれません。ですが、あなたやあなたの家族が次の「人質司法」の犠牲者になることもありうるのです。
例えば、ある男性は、コンビニエンスストアで1万円を盗んだ容疑で逮捕・起訴されました。男性は何度かそのコンビニエンスストアを訪れたことはありましたが、お金を盗んだことなどありませんでした。そのため、男性は無実を主張したのですが、9回もの保釈請求が認められず、約10か月間も勾留されました。
結局、男性はアリバイが認められて無罪となり、真犯人が別にいることが判明して警察署長から謝罪を受けました。しかし、10か月の身体拘束を受けている間に、男性は仕事の関係の契約を解除され、経済的にもキャリア面でも損失を被りました。
(Human Rights Watch「日本の「人質司法」 保釈の否定、自白の強要、不十分な弁護士アクセス」)
中には人質司法によって身体拘束が長引き、病気によって命の危険に瀕した人もいます。
KADOKAWA前会長・角川歴彦さんのケース
角川歴彦さんは、東京五輪汚職事件に関して贈賄容疑で逮捕・起訴されました。
取材を受けた角川さんは自身が無実であると話しました。すると、検察官はそのような発言によって関係者の証言を捻じ曲げようとしているなどと考え、角川さんを逮捕・勾留してしまいました。無実を訴える角川さんは226日にわたって保釈が認められませんでした。
拘置所の医師からは「死なないと出られません」と言われ、実際に心臓に持病のあった角川さんは何度も倒れ、死の淵をさまよいました。多数の条件を付することでようやく保釈された角川さんは、この人質司法が憲法と国際人権法に違反するとして国家賠償請求訴訟を提起しているところです。
(角川歴彦「人間の証明」、角川人質司法違憲訴訟弁護団「人間の証明」)
大川原化工機株式会社・社長の大川原正明さんらのケース
神奈川県にある大川原化工機株式会社は、輸出許可が必要な噴霧乾燥機を無許可で輸出したとして、社長である大川原正明さんや顧問だった相嶋静夫さんら3名が逮捕・起訴されました。
その後、東京地検は有罪かどうか疑いが生じたとして自ら起訴を取り消しました。しかし、3人のうち2人は保釈が認められるまで1年近く拘置所に勾留され、もう1名である相嶋さんは勾留中に命を落としました。
彼らは何度も保釈を求めましたが、自らの潔白と信念を貫き無実を主張していたために保釈は認められませんでした。
(参照:CALL4「一点の曇りもないと黙秘し、身柄拘束され続けた311日間」)
人質司法の実態
2020年の地方裁判所の第一審における保釈率は、自白している場合が32.1%であるのに対し、無罪等を主張していると27.6%と、罪を認めなければ保釈がされにくいことが表れています。特に、第1回公判期日前の保釈率は、自白している場合が25.9%であるのに対し、無罪等を主張している事件では12.2%と、顕著な差があります。
また、公訴事実を自白している人の70.9%が1か月以内に保釈されているのに対し、無罪等を訴えている人は34.3%しか1か月以内に保釈されていません。
人質司法の問題点
人質司法という状況の下では、無実を主張する人ほど身体拘束が長くなる
身体拘束から逃れるための虚偽自白や、一部の争点への放棄が生まれる
その結果、冤罪が生まれる
という問題があります。
しかも、何も悪いことをしていなくとも逮捕・起訴されてしまう冤罪の場合、一般市民の誰もがこの人質司法に囚われてしまうおそれがあります。
私たちが求めること
このような人質司法の問題点を踏まえて、私たちは身体拘束の是正を求め、国と裁判所に以下のことを求めます。保釈の運用を、無罪の推定と個人の自由に関する国際基準に沿った運用に改善すること
被疑者被告人が否認や黙秘をしていることを身体拘束の理由としてはならないこと
取調べ全過程に弁護人が立会う権利を定めること
取調べの時間や方法に厳しい制限を設けること
自白強制的な取調べをなくす措置を採用すること
人質司法による冤罪の疑いがある場合には、独立した調査委員会を設置すること
被告人の権利や国際人権法上の公正な裁判の規定に関して、裁判官、検察官、警察官に対する研修を定期的に実施すること
身体不拘束原則を明文化し、人質司法を解消するための立法を行うこと