TBS報道特集が取り上げる「実子誘拐被害調査報告書」とは? (4)精神障害に至らなければ精神的DVではない?!ありしん@共同親権反対ですありしん@共同親権反対です2024年8月20日 20:10PDF魚拓


8月24日の報道特集は「子供の連れ去り」とTBSが告知しています。
報道特集(JNN / TBSテレビ)
告知動画などによると、報道特集では、NPO法人「キミト」による「実子誘拐被害調査報告書」も取り上げるようです。

今回の記事では、設問「あなたは相手に対してDVをしていましたか?」について、「実子誘拐被害者」の語りを見ていきます。

<これまでの記事>(1)「DV一切ない」96.7%だが、自由記述には「突き飛ばした」「蹴った」「物を投げた」「怒号」…
(2)「実子誘拐に関わっていそうなもの」では、「警察のアドバイス」「警察の生活安全課」などの回答も
(3)調査報告書5つの疑問、そして貴重な資料としての価値


目次










DVをしていましたか? ―「実子誘拐被害者」の96.7%が「一切ない」と回答だが…

調査報告書のグラフによれば、「あなたは相手に対してDVをしていましたか?」との質問に対し、回答者の96.7%にあたる439名が「一切ない」と回答しています。

2024年「実子誘拐被害調査報告書」(特定非営利活動法人アートで社会問題を解決する会キミト)P35

ところが、数表では、「一切ない」という選択肢は存在せず、正確には「上記のようなことは一切ない」との選択肢となっています。
グラフ作成にあたり、なぜ重要な文言を削除したのか大いに疑問です。

2024年「実子誘拐被害調査報告書」(特定非営利活動法人アートで社会問題を解決する会キミト)P35



DVの範囲が極端に狭いNPO法人「キミト」の調査票

次に選択肢を見ていくと、DVの範囲が極端に狭いことがわかります。NPO法人「キミト」のDVについての認識がよく現れた設問設計です。
以下、身体的DV・精神的DV・経済的DV・性的DVの順に、調査報告書を見ていきます。

【身体的DV】相手が病院に行かなければDVではない?!

この調査では、病院に行った「深刻な被害」もしくは「複合的な嫌がらせを【一方的に】継続」でない場合は、DVは「一切ない」に区分されています。
身体的DVに該当するのは以下の場合のみです。身体的暴力を継続していた(深刻な被害)
身体的暴力を過去一度はしたことがあり相手が病院にいった(深刻な被害)
こづいたり蹴ったり罵倒したり小遣い与えなかったりなど軽度だが複合的な嫌がらせを【一方的に】継続して与えていた


<「実子誘拐被害者」の自由記述より>
身体的なこととしては、以下の回答がありました。報復的に身体的暴力を過去一度はしたことがあり相手が病院にいってはいない
突進してこられた際に柔道の投げ技で反撃したことが一度あります。揉み合いにはなったがDVなどはない
喧嘩の時に頬にビンタした
一度だけ突き飛ばしたことがある
一度蹴ったことがある
相手を押したことが一度だけ。モラハラ発言があったと言われている。




【精神的DV】精神障害に至らなければDVではない?!

この調査では、精神障害に至る「深刻な被害」もしくは「複合的な嫌がらせを【一方的に】継続」でない場合は、DVは「一切ない」に区分されています。
精神的DVに該当するのは以下の場合のみです。精神的暴力を継続しており精神障害に至る深刻な被害を与えていた
こづいたり蹴ったり罵倒したり小遣い与えなかったりなど軽度だが複合的な嫌がらせを【一方的に】継続して与えていた


<「実子誘拐被害者」の自由記述より>
精神的なこととしては、以下の回答がありました。喧嘩の際の暴言があった。物を投げるはあったが、直接叩いたり蹴ったりはしていない。喧嘩後の無視したりはした。
喧嘩の時に語尾が強くなったり、「お前は?」と言った感じで強い物言いにはなっていたが、その程度で暴言が酷いと警察に相談してDV防止措置をとられた。
口頭で良くキツク怒鳴っていた。実子誘拐後、PTSDになったと言っているが本当かどうかはわからない。
精神的暴力と言われているが一種の夫婦喧嘩
ケンカの時に追い詰めた
喧嘩になった際に怒号をあげた
相手には「精神的暴力を受けていた」と言われている




【経済的DV】経済破綻させなければDVではない?!

この調査では、経済破綻させる「深刻な被害」もしくは「複合的な嫌がらせを【一方的に】継続」でない場合は、DVは「一切ない」に区分されています。
経済的DVに該当するのは以下の場合のみです。経済的暴力を継続しており経済破綻させるといった深刻な被害を与えていた(深刻な被害)
こづいたり蹴ったり罵倒したり小遣い与えなかったりなど軽度だが複合的な嫌がらせを【一方的に】継続して与えていた


<「実子誘拐被害者」の自由記述より>
経済的なこととしては、以下の回答がありました。こちらはしているつもりはないがあちらからはモラハラ、経済的DVという主張。
何にお金を使ったか問いただしていた。
小遣いを渡していたが、接触する時間帯が無く渡せない時がありそれでケンカになった。
浪費について追及はしていた。




【性的DV】無視されており、選択肢すら存在しない

この調査では、性的DVは無視されており、選択肢すら存在しません。性的DVがあったとしても、DVは「一切ない」ことにされる設問設計です。
なお、自由記述でも、性的なことは見当たりませんでした。

注:本調査報告書は、単一回答か複数回答か不明で、また選択肢と自由記述との関係も明らかではありません。そのため、引用した自由記述は、DVについて「上記のようなことは一切ない」と答えた回答者かどうかは判断できません。



政府広報「DVに当たる行為」とは?

このようにNPO法人「キミト」の調査票では、DVの範囲が極めて狭いのですが、政府広報では、「DV行為の例」(心理的攻撃)として、以下があげられています。
本調査での「実子誘拐被害者」の語りと見比べていただくと、理解が深まるのではないかと思います。

政府広報:DV(配偶者や交際相手からの暴力)に悩んでいませんか。一人で悩まず、お近くの相談窓口に相談を!

TBS報道特集が取り上げる「実子誘拐被害調査報告書」とは? (4)精神障害に至らなければ精神的DVではない?!

ありしん@共同親権反対です

2024年8月20日 20:10


政府広報:DV(配偶者や交際相手からの暴力)に悩んでいませんか。一人で悩まず、お近くの相談窓口に相談を!


暴力は「身体的暴力」だけに限りません。DVに当たる行為とは?

暴力とは、殴る、蹴るなどの身体的暴力だけを指すのではありません。身体を傷つけなくても、怒鳴る、無視するなどして心理的に攻撃することや、生活費を渡さない又は外で働くことを制限して経済的に圧迫することも暴力です。また、嫌がっているのに性的な行為を強要するなど、性的な暴力もあります。

DV行為の例

心理的攻撃

▪大声でどなる、ののしる、物を壊す。

▪何を言っても長時間無視し続ける。

▪ドアを蹴ったり、壁に物を投げつけたりして脅す。

▪人格を否定するような暴言を吐く。

▪こどもに危害を加えるといって脅す。

▪SNSなどで誹謗中傷する。

▪交友関係や電話・メールを監視する、制限する。

▪行動や服装などを細かくチェックしたり、指示したりする。

▪他の異性との会話を許さない。

経済的圧迫

▪生活費を渡さない。

▪デート費用など、いつもパートナーにお金を払わせる。

▪お金を借りたまま返さない。

▪パートナーに無理やり物を買わせる。

性的強要

▪無理やり性的な行為を強要する。

▪見たくないのに、ポルノビデオやポルノ雑誌を見せる。

▪避妊に協力しない。

▪中絶を強要する。

上記の様々な暴力は、暴力を受けた本人の心身に重大な影響を及ぼします。暴力を受けない状態になってからも、暴力を受けていたときの恐怖が消えず、情緒不安定になったり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になったりするなど、心の健康を害してしまうケースもあります。
また、こどもがいる家庭において、両親の間で暴力行為が発生した場合は、こどもがその場面を直接目撃するかどうかにかかわらず、児童虐待の中の心理的虐待に当たるおそれがあります。また、こども自身が暴力をふるわれることもあり、こどもの安全を損なうのみならず、その健やかな成長発達にも多大な影響を及ぼします。

3DV被害を受けたら、どこに相談すればいいの?

内閣府調査によると、配偶者の暴力を受けながらも、被害にあった女性の約4割、男性の約6割は、「相談するほどのことではない」「自分にも悪いところがある」「自分さえ我慢すればいい」などと考えて、誰にも相談していないことが分かっています。
しかし、暴力はいかなる理由であっても、どんな間柄であっても、許される行為ではありません。暴力を受けた被害者を加害者から守るために、様々な相談・支援の窓口があります。

相手との関係が「つらい」「なにかおかしい」と感じていたら、「自分が我慢すればいい」と思わず、相談してください。性別にかかわらず、どなたでも相談できます。
どこに相談したらいいか分からない場合は、まずは「DV相談ナビ」や「DV相談+(プラス)」をご利用ください。

DV相談ナビ#8008(はれれば)

DV相談ナビ
#8008(はれれば)


全国共通の電話番号(#8008 (はれれば))に電話をしてください。
発信地などの情報から最寄りの相談機関(配偶者暴力相談支援センター)に電話が自動転送され、直接相談できます。匿名でも相談できますのでご安心ください。
※相談は、転送先となる相談窓口の相談受付時間内に限られます。
※ご利用には、通話料がかかりますのでご注意ください。
※一部のIP電話などからはご利用いただけません。

関連ページ:内閣府「DV相談について」

https://www.gov-online.go.jp/article/202402/entry-5667.html#secondSection
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