厚生労働省と交渉2019年3月27日gid.jpの記事に共感した件とヘイトを許さない一市民🐸人権を相対化する改憲に反対さんが性別適合手術を必要とするGID当事者無視して脱病理化が進められてる問題を可視化してくれたよという話。

厚生労働省と交渉2019年3月27日gid.jpの記事に共感した件とヘイトを許さない一市民🐸人権を相対化する改憲に反対さんが性別適合手術を必要とするGID当事者無視して脱病理化が進められてる問題を可視化してくれたよという話。
ウエキチさんの言う通りトランス界隈では主に性同一性障害者含む障害者に対するヘイトがあり、障害者界隈ではトランスフォビアで性同一性障害者が排除されている現状、本当に性同一性障害者って居場所奪われてばかりですよね。トランス界隈から排除された性同一性障害者は障害者界隈からも排除されて障害者であるのに障害者界隈にも性同一性障害者の居場所ないって困ったもんですよ。LGBとTを分けて性同一性障害者GIDに安全な居場所を下さい。
生得的生物学的女性の側に立ち安全な中絶権を必要とするのWHOもトランスジェンダーの側にたって保険適用や医療、性別適合手術を必要とする性同一性障害者は無視され脱病理化で性自認至上主義が進められている現状ですからね。
ウエキチさんの意見に同意、性同一性障害者GIDに居場所がなさ過ぎて辛いですわ。
性同一性障害は医師の診断が必要な病気であり疾患であり障害者であるのですし性同一性障害者特例法に基づいて医師の診断、ホルモン治療、性別適合手術を受けやすいように病理モデルに戻して頂きたいですよね。
MTFSRS手術済みGIDMTFの私も性同一性障害の治療であるホルモン治療と性別適合手術に保険適用も必要と感じてる件。



5.現状と今後の話の混同
この回答では現状と今後の話を混同しています。これはトランス主義者が非常に頻繁に用いる戦略です。どういうことか解説します。

「浴場組合によっては身体の形状(陰茎を有するかどうか等)で判断しているようです。」というのは、
今そうである、という話です。

しかしここまで見てきたように、トランス当事者や支援者から女湯に入れて欲しい、それが正当であるという主張は行われています。
今後「トランスへの理解を」「トランス差別の禁止を」などという内容が法制化されれば彼らは当然、トランス女性が女湯に入れない状態は差別であるとの訴えを強めるでしょう。

#トランス女性は女性です という主張をおこなっているのですから、女性と同じように扱われるべき、それが正当な状態、目指すべき状態であると訴えるのは当然の帰結ですね。

「現状」は身体の形状による分類が行われていますが、
「今後」なんらかの法律が出来れば、身体の形状による分類をやめるよう求めるようになるのです。
現状そうではないことは、今後そうならないという証拠にはなりません。
現状そうであるといって安心させることで、今後に向けてのハードルを下げさせるという手法は欺瞞であるように感じます。



6.まとめ

以上のことから以下のことがいえます。

・「自分たちを性別適合手術なしで女湯にいれてくれ」と訴えるトランス女性の団体や支援者はいる。
・アメリカで実際に性別適合手術なしで女湯に入る事件がありトランス活動家はそれを擁護していた。
・アメリカだけでなく日本の活動家も擁護した上、その時々でゴールポストをずらすような主張を行っていた。
・「トランスジェンダーは無理難題を押し付けるクレーマーだという印象操作」というが実際にはサイト運営者側こそが印象操作を行っている。
・現状のルールと、今後どうルールが変わるかという話を混同させている。

Q22については以上です。

目次はこちら
はじめての「はじめてのトランスジェンダー」目次|ヘイトを許さない一市民🐸人権を相対化する改憲に反対|note

はじめての「はじめてのトランスジェンダー」その14  Q22 公衆浴場はトランスジェンダーをどう扱っていますか

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ヘイトを許さない一市民🐸人権を相対化する改憲に反対

2023年4月5日 06:31




3 なぜ「治療」より「脱病理化」なのか
前編で紹介したように自身の身体が望んだ状態でないことで苦しみを感じている性同一性障害(GID)/性別不合(GI)(以下GID)当事者にとっては、
苦しみを取り除くためにも医師による正確な見立てと判断による「治療」こそが求められるはずです。
それにも関わらず脱病理化が当事者の総意であると見せるような発信をするのは何故でしょうか?

これは同性愛運動の手法をそのまま持ってくることで起きている問題かと思われます。

同性愛運動においては
「同性を愛するのは病気ではない。治療などしようとするな」と主張することは重要でした。
しかしトランス、というかその中でも性同一性障害に関しては
「異性の身体に近づきたいと感じるのは病気ではない。治療などしようとするな」と主張しているのでしょうか?
何かおかしいですね。
むしろ「治療してくれ」と主張しているはずです。

同性愛は「同性を愛する」という現状を肯定すれば足ります。
しかし、GIDは「自分の身体の状態が苦しい」という現状を肯定した上で
その苦しみを取り除く措置が求められます。

医師のみですべてを解決できないものもあるでしょう。
しかし、医師によって正確な見立てを行わなければ
実際には本人にとって有効でない対処法をしてしまったり
取り返しのつかない行動をとってしまうこともあるでしょう。
https://twitter.com/akashishoten/status/1630015562423357440?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1630015562423357440%7Ctwgr%5Ed2f76fc35f37abbd01a0b61b6714e9c747a1d8ef%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fnote.com%2Fnohate38306133%2Fn%2Fn9439f58cce13

https://twitter.com/hatakeno_tomato/status/299150796661067779?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E299150796661067779%7Ctwgr%5E91493f4a4004f2b86cd3591108b0bb5a1c26cad8%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fnote.com%2Fnohate38306133%2Fn%2Fn9439f58cce13

性同一性障害は自身の身体に関する違和と継続した苦しみが
診断の前提となりますが
トランスジェンダーにはそういったものは必要ありません。

性同一性障害ではないトランスジェンダーの人たちにとっては
医師による診断や治療などそもそも不要なのです。

つまりトランスジェンダーの中のマジョリティである
医療を必要としない人々によって
トランスジェンダーの中のマイノリティである
医療的介入を必要とする人々の声が消されている、
ということをサイト運営者の回答が浮き彫りにしているのです。

ここでいうマジョリティ-マイノリティとは単に人数の多寡ではありません。
性別違和によって苦痛を感じている性同一性障害者と
それを感じない趣味女装や週末女装のトランスジェンダーでは、
前者の方が安定した社会生活の困難度は高く、
また医療費、手術費などの経済的負担も多くなります。
心身の健康、経済力、社会的地位などの面で
ライトなトランスジェンダーほど優位に立てることになります。

マイノリティの中のマイノリティの声が
価値のない物として消されてしまった結果が脱病理化なのですね。



5 脱病理化によって引き込んでしまうもの

脱病理化を行えば、どのような変化が起きるでしょうか?

性同一性障害を診断するに当たっては、
統合失調症、PTSD、自閉スペクトラム症などの
他の発達障害/精神障害によるものでないのか
専門的かつ客観的な判断が必要です。

性同一性障害に自閉スペクトラム症の人の割合が有意に多いなど
その診断が十分に慎重に行われているかは疑問ですが、
(下記のリンクを参照)
https://www.spectrumnews.org/news/largest-study-to-date-confirms-overlap-between-autism-and-gender-diversity/
それでも少なくとも専門的目線と客観的基準による判断が行われ、
ある程度は除外が行われています。

しかし、医師の診断が必要ないとなれば、
それらの除外が行われません。
自閉スペクトラム症による思考の幅の広げづらさによって
「自分は男性に違いない」と思っている人、
統合失調症による妄想によって
「自分は女性に違いない」と思っている人、
あるいはセックスとジェンダーの違いを学んでいないために
「女らしさ」の枠に沿わないから
「自分はノンバイナリーに違いない」と思っている人、
更には性犯罪目的で「自分は女だ」と名乗っている人、
それらは医師が確かな診断を行うことができれば除外されるはずです。

脱医療化を行えば、それらの人々が全て
「トランスジェンダー」という枠組みに入れられ、
更には性同一性障害とも同じ枠組みとして扱われてしまうことになります。



6 医療的介入に対する曖昧な態度

もちろんサイト運営者も医療的介入を求めている当事者がいない訳ではないことは知っています。
そこでサイト運営者は逃げ道を用意しています。
それがQ6です。

「Q6 性同一性障害は病気ではなくなりますか
2018年に改訂された国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)では性同一性障害は精神疾患ではなく性保健健康関連の病態(仮訳)に分類され、名称が性別不合(仮訳)に改められました。名称や分類は変わりますが、性別移行に関わる医療行為を必要とする人を対象に、今後しばらくは疾患としての運用がなされる予定です。」

おそらくこの回答をもって
「病気じゃなくなることに手放しで賛成している訳ではないよ」という
言い訳をしているのでしょう。

ですが、この「しばらくは疾患としての運用がなされる予定」というのは
なんとも煮え切らない態度です。
そもそも「病気ではなくなりますか」という質問に対して回答をしていません。
未来の話のようで現状こうであるという話でしかありません。

質問者が知りたいのは当面の運用ではなく
将来的に医療的支援を受ける道が絶たれるのか、
そしてサイト運営者はじめとしたトランス主義活動家がその方針を支持するか
反対するのかという点でしょう。

それに対して態度を明らかにすると
どちらにしても当事者からの大きな反発が予想されます。
そこで未来に対しての見通しを曖昧にしたまま
当面はこうであるという回答をしたのかも知れません。



7 まとめ

以上のことから以下のことがいえます。

・Q7 トランスジェンダーの人たちは脱病理化を求めているのですか という質問にそもそも答えていない。
・「人による」という事情を隠しながら、肯定的であるかのように印象付ける回答をしている。
・病理としての対応が必要な性同一性障害者の声を透明化している。
・その背景に性同一性障害者がトランスジェンダーの中のマイノリティである事情がある。
・脱病理化によって、医療的な診断があれば除外されたはずの人々が引き込まれてしまうことになる。
・病気ではなくなるかという質問に答えていない。




目次はこちら
はじめての「はじめてのトランスジェンダー」目次|ヘイトを許さない一市民🐸人権を相対化する改憲に反対|note

はじめての「はじめてのトランスジェンダー」その4 Q7 トランスジェンダーの人たちは脱病理化を求めているのですか? 後編 + Q6 性同一性障害は病気ではなくなりますか

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ヘイトを許さない一市民🐸人権を相対化する改憲に反対

2023年3月16日 20:10





2 当事者の意見の多様性の無視


しかし、GID当事者からは脱病理化は不適切だとの意見もあります。賛成側の理由は「はじめてのトランスジェンダー」に載っていますので、ここでは反対側の理由を見ていきましょう。

① 医療的サービスを受けづらくなる
https://twitter.com/haramaki_kupipi/status/1633116610641707008?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1633116610641707008%7Ctwgr%5E294936597a07daf57c6d4ad063e7f44105c6b1d8%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fnote.com%2Fnohate38306133%2Fn%2Fn42b474fad517
現在性同一性障害(GID)/性別不合(GI)(以下GID)への治療には保険適用される部分とされない部分があります。
https://www.pieronline.jp/content/article/0039-2359/279040/264
2018年にルールが変わったのですが、性同一性障害というある種の「障害」として位置づけることによって、治療として認められたものです。

サイト運営者はかつて同性愛が病理だったものが脱病理化したのと同じように位置づけようとしていますが、明らかに違います。
同性愛を実践するのに医療行為は必要ありません。医師に関係なくパートナーと交際することはできます。

しかし、GIDに関しては医療的なアプローチが関わってきます。
身体的な性別違和を抱える当事者が投薬や手術によって身体に何かしら変化を起こすことを望むことがあるのです。
そういった際にその措置が適切かどうか、適切ならどのような手段で何をするかという判断が必要です。

病理ではなくなった時にそれらの手段を医療保険を適用して行う根拠が弱くなってしまいます。
トランス活動化の方々は「そんなことは起こらない」といいますが、
起こらない根拠は「ICD11※から外れた訳ではない」という程度のものです。
ですが、ICD11に載っているかどうかだけに基づいて保険適用のルールが決まっている訳ではありません。
少なくとも根拠を一段回弱めることには繋がるでしょう。

※ICD11:世界保健機関(World Health Organization, WHO)が作成する国際的に統一した基準で定められた死因及び疾病の分類。

② 逆に性別移行が難しくなる
https://twitter.com/0taso_kaya/status/1630225359143862274?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1630225359143862274%7Ctwgr%5E294936597a07daf57c6d4ad063e7f44105c6b1d8%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fnote.com%2Fnohate38306133%2Fn%2Fn42b474fad517
医師によってGIDの診断を受けて、
性別適合手術を受けて、
戸籍変更する、というのは
どういう基準に基づいて性別移行が行われるのかが非常に見えやすいです。
(その基準やプロセス、制度そのものへの批判は当然にありますし、
私も現行制度にもろ手を上げて賛同している訳ではありませんが…)

一方で、診断も手術も関係ないとなったとき、
主観で自身の性別移行を主張できる一方で、
主観で他人の性別移行を否定できることにもなるのです。

「こういう基準に基づいてこういう状態だから、こうしています」という主張ができなくなり
常に自分はどのぐらいどういう状態なのかを評価され続けるし、
常に証明し続けねばならない立場になる訳です。

女性「らしさ」、男性「らしさ」の枠組みに従い続ける自己を証明し続ける、
そのことにシンドさを感じるという立場から反対する当事者もいるのです。

③ 「病理は悪いことである」という前提がある

脱病理化という言葉には「病理であるのは、偏見を受ける悪いことである」という前提があります。

ウエキチさんは以下のように語っています。
https://twitter.com/IEYtAzhTG0D1KEQ/status/1632315580488519680?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1632315580488519680%7Ctwgr%5E294936597a07daf57c6d4ad063e7f44105c6b1d8%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fnote.com%2Fnohate38306133%2Fn%2Fn42b474fad517
そもそも病気や障害があることは悪いことなのでしょうか?
相手を「病気や障害と呼ぶとよくない、これからは病気や障害と呼ぶのをやめるよ」と言って解決できるものとは何でしょうか?

他の病気や障害をみるとどうでしょうか?
「あなたは精神疾患の症状があります。でも疾患と呼ぶと偏見を受けて可哀そうなので、あなたは病気ではありません。」
などというでしょうか?

そうはしませんね。
むしろ適切に病気や障害として診断を受けて
対処をしてもらえることが大事です。

仮にそれによって偏見を受けるならば、
変えるのは「病理と呼ばなくする」ではなく
「病理であっても偏見の目で見ない」という点ではないでしょうか?

文章量が多いので、今回はここまでにして
後編に続きます。


目次はこちら
はじめての「はじめてのトランスジェンダー」目次|ヘイトを許さない一市民🐸人権を相対化する改憲に反対|note

https://note.com/nohate38306133/n/n42b474fad517?after_purchase=true
はじめての「はじめてのトランスジェンダー」その3 Q7 トランスジェンダーの人たちは脱病理化を求めているのですか? 前編

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ヘイトを許さない一市民🐸人権を相対化する改憲に反対

2023年3月15日 19:26




🍓kupipi🍓
@haramaki_kupipi
その通りなんだけど、脱病理化のせいで保険適用が遠のくと思うんだけど、仲岡先生はどう思ってるのかな🤔
引用ツイート
弁護士仲岡しゅん(うるわ総合法律事務所)
@URUWA_L_O
·
3月7日
正直、ふわっとした差別禁止とか別に求めてないですよ。
既に司法でもハラスメントとして認識されている以上、実務の運用は大して変わらないので。

必要なのは、ホルモン治療への保険適用や同性婚など、個々の当事者がサバイブしていくための個別の制度の整備ですから。
午後11:45 · 2023年3月7日

https://twitter.com/haramaki_kupipi/status/1633116610641707008?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1633116610641707008%7Ctwgr%5E294936597a07daf57c6d4ad063e7f44105c6b1d8%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fnote.com%2Fnohate38306133%2Fn%2Fn42b474fad517



ホルモン療法は健康保険未適用

性同一性障害に対する治療は、精神療法、ホルモン療法、手術療法の大きく3つに分かれていますが、この内、精神療法と手術療法については健康保険の適用がなされているものの、ホルモン療法に関してはまだ認められていません。
ホルモン療法に健康保険適用を」の記事で書いているように、ホルモン療法は性同一性障害の重要な治療のひとつであり欠かすことができません。また、ホルモン療法は、始めればその後ほぼ生涯に渡って続けなければならないことからトータルの費用は高額にのぼるため、健康保険の適用が必要です。
さらに、ホルモン療法が自由診療として残っていることで混合診療という扱いになり、ホルモン治療を受けていれば手術療法も健康保険適用にならないという事態が生じてしまっています。
これでは、せっかく手術療法が健康保険適用になった意味がありません!

どうすれば健康保険適用にできるのか

さて、それではホルモン療法を健康保険適用にするためには、どうすればいいのでしょうか。
これは、従来のように単に厚生労働省に「保険適用にしてください」と要望し続けるだけでは無理で、いくつか超えなくてはならないハードルがあります。その中でも一番高いハードルは薬事承認です。
ホルモン療法にはホルモン製剤という医薬品を用います。そのため健康保険を適用するには、まずその医薬品が性同一性障害の治療に使用できるという薬事承認が必要になります。

薬事承認

薬事承認とは、ある医薬品が対象の病気・疾患に対して効果・効能があり、副作用が無い(または少ない)ことを国に認めてもらう制度のことです。
このため、薬事承認を受けていなければ、例え万病に効くガマの油があったとしても医薬品として販売することはできません。 もちろんホルモン剤は古くからある薬ですから薬事承認を受けています。しかし、薬事承認は医薬品ごとに対象の疾患が定められており、それ以外の疾患に適用することができません。
下記表は、現在薬事承認を得ているホルモン剤ですが、この効果または効能の欄に性同一性障害はありません。つまり、ホルモン剤は性同一性障害の治療薬としては使えないことを意味しています。 もちろん適応外使用と言って、医師が個々の症例毎に個別に判断することによって使用することはできます。ただしその場合は健康保険は適用されず、自由診療になってしまいます。現在行われているホルモン療法は、まさにそれに該当します。



区分製薬会社製品名効能または効果FTMあすか製薬エナルモンデポー男子性腺機能不全(類宦官症)、造精機能障害による男子不妊症、再生不良性貧血、骨髄線維症、腎性貧血持田製薬テスチノンデポー富士製薬工業テストロンデポーMTF持田製薬ペラニンデポー無月経、月経周期異常(稀発月経、多発月経)、月経量異常(過少月経、過多月経)、月経困難症、機能性子宮出血、子宮発育不全症、卵巣欠落症状、更年期障害、不妊症富士製薬工業プロギノンデポーファイザープレマリン卵巣欠落症状、卵巣機能不全症、更年期障害、腟炎(老人、小児および非特異性)、機能性子宮出血バイエルジュリナ更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う症状(血管運動神経症状(Hot flush及び発汗)、腟萎縮症状)、閉経後骨粗鬆症

※ FTM用ではこの他ネビドも最近よく利用されるようになっていますが、国内ではまだ正式に販売されていません。
※ MTF用ホルモン剤には、貼付剤や塗布剤あるいはピルなども利用されていますが一般的ではないため省略しています。

通常、医薬品が疾患に対して効果・効能があるかどうかは治験を行って確認します。治験とは、医薬品を実際に患者に投与して、効果・効能や副作用を調べる臨床試験のことです。
この治験は第1相から3相まで3回にわたり行う必要があり、一説には億を超える莫大な費用と時間が必要であると言われています。簡単にできるものではありません。

公知申請は無理だった

実は公知申請という、外国での承認・使用実績および根拠となる資料が入手できれば、科学的根拠に基づいて公知であると認められ、臨床試験の全部または一部を新たに実施しなくても効能または効果等の承認が可能となる制度があります。当初はこれを使って薬事承認を取る予定でした。
国立国会図書館が2012年に「諸外国における性同一性障害の医療上の課題と取組」というレポートを出しています。これによれば、ホルモン療法が公的保険の対象となっている国はインド、オーストラリア、香港、チリ、ブラジル、アイスランド、アイルランド、イタリア、オランダ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロヴァキア、スロヴェニア、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フランス、ベルギーなど欧州を中心にかなりの国に登ります。ところが、いずれの国においてもホルモン剤を性同一性障害の治療薬として承認している例はありませんでした。 それでも公的保険の対象になっているのは、日本の制度では薬事承認が必須ですが、各国ではそうではないなど仕組みが異なるためなのでしょう。
またホルモン剤は、使用の歴史は長いので資料やデータは豊富にあるだろうと考えていました。 ところが、こちらも性同一性障害に対する承認に使えるだけの資料やデータも入手することはできませんでした。 これは、薬事承認は医薬品毎に行われるため、対象となる医薬品そのものが試験されていなければなりません。男性ホルモン剤または女性ホルモン剤と言った大きなくくりのデータはいくつかあるのですが、単独の医薬品そのものを対象とした調査や試験で、薬事承認に使えるレベルのものは見つかりませんでした。
そのため、厚労省となんとかならないか協議していましたが、3月27日に行った交渉 でも明確に否定され、どうにもならないようです。
こうした理由で公知申請は使うことができません。となれば、あとは治験を行うしかありません。

製薬会社の対応

そこでホルモン剤を製造している各医薬品会社に打診を行いましたが、残念ながらさすがに新たに治験を行ってはくれないようです。
確かにホルモン剤はすでに発売後何年も経過していますからから薬価も安い。企業にとっては健康保険適用になったとしてもそれで売上が上がるわけでもない。さらに将来にわたって保証をしていかなければならなくなるなど、リスクも出てきます。確かに高額になる治験費用を出すのは難しいのでしょう。

医師主導治験の実施検討へ

しかたがないので、今回は治験を企業に求めるのでは無く、日本精神神経学会やGID(性同一性障害)学会が中心となって医師主導治験として実施していこうという話が進んでいます。
すでに実際の審査を担当する独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)と進め方についての会合も持たれたようです。 簡単ではありませんが、これしか方法がないのであれば、頑張っていただくしかありません。
企業の支援が見込めない以上、私たち当事者もクラウドファンディングで資金調達するなど、治験費用を一部でも負担できるよう最大限の協力を行っていかなければと思っています。
この件、また具体的になりましたらお知らせいたします。

その後の動き

(2019年12月23日追記)
現在医師主導型治験に向けて、予備試験の実施中です。これにより何をもってエンドポイント(効果の判定)とするのかなどの試験の詳細を決めていきます。
順調に進んでいるようです。

(2020年3月10日追記)
困りました。予備試験がほぼ終わり医師主導型治験は実施可能な体制ができつつありますが、最終的な医薬品の承認申請だけはさすがに製造している製薬会社が行わなければなりません。
ところが、どの製薬会社もその承認申請に協力できないと断ってきている模様です。
先に書いたようにホルモン療法が健康保険の適用になったとしても、企業としてはウェルカムではないのかもしれません。しかし、製薬会社の存在意義は、薬を通して人々を幸せにすることにあるはずです。なんとしても今後の交渉で協力をとりつけなければなりません。
進捗がありましたら、またお知らせいたします。

https://gid.jp/article/article2019041001/
ホルモン療法を健康保険適用するには

2019年4月10日


https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_4059579_po_074304.pdf?contentNo=1





平成31年(2019年)3月27日、gid.jpは、GID(性同一性障害)学会、日本精神神経学会と共に厚生労働省と、ホルモン療法の健康保険適用及び性同一性障害当事者の労働環境の改善に関する交渉を行いましたのでご報告いたします。

日時2019年3月27日 17:00~19:00場所参議院議員会館会議室出席者
(敬称略)太田 順一郎(日本精神神経学会 理事・性同一性障害に関する委員会 委員長)
中塚 幹也(岡山大学大学院保健学研究科 教授、GID(性同一性障害)学会 理事長)
松本 洋輔(日本精神神経学会・性同一性障害に関する委員会 副委員長)
對間 望(日本精神神経学会 事務局)
山本 蘭(日本性同一性障害・性別違和と共に生きる人々の会 代表)
藤沢 彩花(日本性同一性障害・性別違和と共に生きる人々の会 代表補佐)
砂川 雅(日本性同一性障害・性別違和と共に生きる人々の会 運営委員)
谷合 正明(参議院議員)
高木 美智代(衆議院議員)
竹谷としこ(参議院議員)
新妻秀規(参議院議員)
厚生労働省 大臣官房総務課企画官
厚生労働省 保険局 医療課
厚生労働省 雇用環境・均等局 総務課
厚生労働省 医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課
厚生労働省 社会・援護局障害保険福祉部精神・障害保険課記録作成砂川 雅、山本 蘭提出要望書性同一性障害のホルモン療法に対する健康保険適用の要望書
性同一性障害当事者の労働環境の改善を求める要望書


配付資料ご説明資料(厚生労働省)


主な議題性同一性障害のホルモン療法に対する健康保険適用について
性同一性障害当事者に対する炉労働環境改善について


<会談内容抄>

山本

昨年9月19日に高木厚労副大臣と面会し、ホルモン療法の健康保険適用と労働環境の改善に関する要望書をお渡しした。昨年4月から手術療法が保険適用となったが、ホルモン療法は保険適用になっておらず、混合診療にあたるということで、実質的に身体的治療は保険適用になっていない。なかなか進んでいない状況のため本日の会議を行わせていただいた。

中塚

手術療法が健康保険適用になったが、混合診療の問題があって3例しか保険適用になっていない。
手術療法の時はいろいろアドバイスをいただき、それに沿って認定医や認定施設を作り、レジストリも用意した結果認められた経緯がある。今回ホルモン療法の保険適用に向けて我々がどういったことをやっていけばそれが実現できるのか、ご示唆いただければと思う。

厚生労働省

医薬品と言うのは、用法・用量、薬の有効性を判断する指標、薬物使用の継続や中断基準・判断基準などいろいろな情報を含めた物が医薬品の有効性・安全性に関する物となる。そう言ったとものを例えば海外での承認情報等も含めて収集し、未承認薬・適応外薬検討会議で承認に持っていくように検討してもらうという方法を1年以上前から紹介しているが、海外でも実際に使っているかは別としてGIDに対する承認を取っている国と言うのが殆どない。

中塚

我々も色々調べたが見つからない。アメリカなど保険適用している国があるが、それでは承認されているという判断にはならないのかか?

厚生労働省

保険で承認する、しないと言うことと、医療品の承認に関する物がどれくらい強くバインドしてるかというのは国によって異なる。学会とかのガイドラインで適正な用法・用量の使い方ができていれば、欧州などでは保険などで支払うというのもあると聞いたことがある。しかしそれは承認では無い。

中塚

海外での物と言うのは難しい。海外も日本も一剤でと言う時代ではなく、色々な薬を使っている。ホルモン製剤という大きなくくりであれば海外でも論文は一杯あり、ガイドラインも世界的な内分泌学会がガイドラインもしっかり作っていて、こういう薬をこういう風に使うと書いてある。ただそれは一剤一剤の事では無い。
例えばアンドロゲン製剤と言うことで大きく見れば色々な論文もあるし、安全性とか有効性を含めた物が沢山ある。その辺りをどの辺までが許容範囲なのか?と言うところが難しい。日本でも札幌医大が一剤だけで何十例でやったと言うのをやっと論文を書くと言う状況だ。
それからガイドラインをどう言う風にしていったら良いのか。そちらの方向で我々が実績を作れと言うことであれば、日本全体でできるだけこの薬を使おうということで研究して行けば何年かかかれば何百位のデータは出るが、それをしなければいけないのか?

厚生労働省

一般的な話しか難しいが、医薬品の承認にあたっての審査というのは、要は治験や臨床試験で有効性と信頼性が担保されているかと言った視点で見ることになる。その視点で見た時に、その製剤が有効性を判断するための指標に対してどのような結果を伴うのかと言うことや、継続や中断についてガイドラインが必要だ。現状のガイドラインは、薬物療法に限ってみると具体的では無く、例えば、用法・用量がどうかということが詳しく見受けられない。医薬品の承認が必要であるとすれば、全般的なガイドラインでは無く十分に情報を掘り下げてないといけない。より詳細な内容、例えば承認申請に置いては独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の力を借りるということもあろう。

山本

海外の論文は、今まで集めたものでは駄目で、データを自分たちで揃えないといけないと言うことか?

厚生労働省

そうだ。医薬品承認と言うのは、まとめて全部と言う風には取れず、必ず一単位ずつ取る必要がある。

中塚

勿論全部をいっぺんに通そうとしている訳ではない。テストステロンだとエナント酸テストステロンが大体7割位のシェアなので、それ1つだけ通るだけでもとても助かる。
まずはそれだけでも構わない。そのためにはどれくらいのデータが必要か?
札幌医大で何十人かの例で行ったが、それを大きくしないといけないと言うのであれば、学会で行うようやっていくが、それが本当に道なのかを伺いたい。

厚生労働省

そう言った諸外国での承認も無く、それに値するような申請するデータが無いとすれば、治験や臨床試験が重要となる。
何度も申し上げているが、その使い方が本当にその医薬品の用法・用量を代表するものなのか?有効性を判断するための指標として適切かどうか?どれだけ医薬品に有効性・安全性をちゃんと確認できる設計になっているか?そう言ったことが分かるような試験の設定が必要になる。どういった試験をやればいいかと言うことは、PMDAで相談を行っている。

中塚

治験や臨床試験でやるとしても、企業が主役でやろうということにはなかなかならない。実際問題これをやらないといけないと言われた時に、それを我々ができないという可能性も出てくる。それ以外に方法がないのか?あるとすれば教えていただきたい。保険適用が何年かかかりそうであれば、とりあえずその間にホルモン療法を例外的に認めるような措置を何か考えることによって今自費でやっている方を保険適用できる。それに関しても何かアドバイスがあれば、教えていただきたい。

谷合議員

ホルモン療法を例外的に認めると言うのはあるか?

厚生労働省

薬事承認が無い中で、どういったやり方があるのか、妙案は厳しい。

山本

世の中の実態としては日にちが違っていたり医療機関が違っていれば混合診療に当たらないなど普通に請求できている。ホルモン療法は必ずセットでは無いがどうなのか?

厚生労働省

一連の治療と言うことで言えば、ホルモン療法と手術療法と言うのは一体でしかない治療である。

太田

今迄混合診療を行われた例があって、それと、何処が違うのかが知りたい。一連の治療と言うか、同一疾患に対する物ではあるが、別の治療なので連続している訳では無い。

厚生労働省

性同一性障害に対しての治療と言うことであるので、別の治療と言う見方は意味合いが違う。あくまでも性同一性障害に対する治療と言う事で一連となる。

太田

世の中には、癌でも保険診療とそうで無い診療を混合してやっているところがあるが?

厚生労働省

あくまでも保険診療と言う立場から、保険医療機関が実際に実施している、例えば癌センターが癌の治療をするためには、その中で行われている癌診療と言うのは一連の物として保険でカバーされている範囲で行っていると認識している。

太田

そこで保険が認められていない治療を、他の医療機関で行うと言うのは結構あるが?

厚生労働省

基本的には保険でカバーしている範囲でその先生は完結した形でやっていると。患者自身の判断で、例えば自費の診療を受けている方がいるかもしれないが、あくまでも医療保険でカバーしている範囲については一連のものとして保険収載しているものとして認識している。
例えば、岡山大学で手術を受ける方が、岡山大学でホルモン療法を受けられるような仕組みを作るのが今日のテーマだ。そこが混合診療に当たらないようにどうするかを今日は議論させていただきたい。

中塚

今、病院に行かずに個人輸入でホルモン療法をやろうと言う方達が出てきてしまっている状況になっている。なので混合診療を認めてホルモン療法をちゃんとした医療施設でやる、手術もちゃんとした医療施設でやると言う形にしないと当事者にとっても不利益になる。
また全然違う病院で注射だけをしていてそれから岡山に来た場合「私はやってない」と言い張ることもある。しかし我々は専門医だから、それはないと言うことで自費で手術をやってもらっている。我々も何でもかんでも保険でやればいいとは当然思っておらず、安全にできるだけ保険適用になった恩恵を受けてもらいたい。
ずっと1年間色々ご示唆をもらっているが、方法が無くて難しいと思っている。このホルモン療法が認められるまでの移行期間に関して、何かいい知恵が無いか?

山本

岡山大学では手術だけを行って、地元のクリニックでホルモン療法しているケースも多い。そういう方は、ホルモン療法は自費だから保険申請されていないので分からない。
なので一連の治療から外れるのではないか。医療機関が違えば一連の治療とみなされないと考えてもいいのではないかと思うがいかがか?

厚生労働省

個人輸入されて自己流で使われたりとか、我々もそれが良いとは思っている訳ではない。
岡山大以外での処方など色々なケースがあるとのことだが、それらは個別に確認いただきたい。
先進医療もしくは「患者申しで療養」と言うのもあるが、これはあくまでも将来保険に入る率が比較的高いものが対象で、保険の一歩手前のような審査がある。

太田

比較的狭い範囲のことがどうにかならないか?と言うことを考えている。GIDの手術に関してもかなり限られた施設と医師達によって、それが実施されたものに限って認めて欲しいという話をして、何とか認められるところまで来た。
なのにその人達がホルモン療法をしているせいで、その恩恵が受けられない。
そこを何とかして欲しい。その人達がまずせっかく認められた承認がちゃんと活きてくるように、そこをどうにかならないか。そこだけでも認めるだけで全然違った、今中塚先生が言ったような妙なことが起きないで済むのではないかと思っている。
取りあえずはそれだけでもできないかって言うところが凄い強い思いがある。

厚生労働省

1番最短コースとして良いのは、海外で承認されているようなもの、同じ用法・用量で使う形。
しかし、海外でも承認が無し、論文等も難しい、ガイドラインも薬剤療法に限ってしまうと情報量が少ないという観点で、このケースでは非常に山は険しい。そうなると、治験・臨床試験のコースになる。その際には、用法・用量、薬を使う、使わないの判断基準と言った物が適切にできているかが重要となる。
また、アンドロゲン製剤であれば、どれくらいの頻度で血液の濃度を調べたら良いのだろうか等を調べないといけない。そういった色々なことを考え、現状の調査もどういう風に使われているのか、国内の使われ方を収集することも意味があるのではないかと思う。

中塚

今の現状を集めろと言うのであれば一応集めることは可能だ。
どれくらいになったら血液検査をして、どれくらいの人が手術をしているとか、もっと細かいところまでマニュアル化しろと言うのであれば、それは我々エキスパートが集まって書くことはできる。
ただそれを日本中でどういう風にやっているのか調べろとなると、かなり数も多くなるし、やったとしても余り建設的な物は出てこないと思う。

厚生労働省

用量・用法は信頼性が無い物を集めてもしかたがないので、そういったエキスパートが、適切な判断に基づいて実施されている情報が集積される事が重要かと思う。こういう物が軸になればその軸の周りを肉付けすると言うことが価値のあるもので、承認になる一因になる。

中塚

そう言うガイドライン的な物にした方が良いか。

厚生労働省

どちらでもあり得るが、結局、どういう方法でその情報の集積を行ったかと、それに対する信頼性が問われる。どちらかと言うとそうした方がずっと良いと思う。

谷合議員

6時15分迄なので次の就労状況の改善と言うことで。

山本

ある当事者の方の件だが、是非自分の悲惨な状況を訴えて欲しいと言うことでレポートを書いていただいた。
性同一性障害の職場での配慮につていてだが、松本先生が主治医のため説明していただく。

松本

この方は地方の大手会社に勤められていて、途中で性別を変えられたが、事情があって特例法では性別変更はできない状況にある。その中で勤務していて、差別的な扱いを受けている。
最初は女性職員として服装や髪型は女性でもいいという話だったのだが、あるところから虐めのようなことが始まって、人事課に相談すると女性がいるからいけないということになって、女性の全くいない場所に配転されて非常に苦しい思いをされた。
労基にも労相にも相談にのってもらい、一応女性中心の職場に配置転換されたが、1年程したら業務上のミスを理由にまた配転された。ここは一番最初に男性として勤務してい機器の保守作業をする部署で、着替える所も男性のところしかない、トイレも男性用しかないという所に戻された。
会社としては「業務上の能力を考えると、ここしかない」と言う。業務上の理由で戻したため差別的な意味合いは無いということで、戻されて幾ら相談しても現状が変わらないと非常に辛い思いをされている。
通称名は使えないし、名前、性別のままが曝された状況だし、昔の事を知っている人はその辺を話しているという状況も続いている。女性用トイレが無い状況も続いている。

厚生労働省

いただいた話の環境では、どうやって理解を促していくのかが大事な事だと考えている。我々が今やっている政策は、まず啓発の取り組みと言うことで、採用段階でそういう不利な取り扱いを受けないようにすると言うことを周知している。
後、ハラスメント対策と言うことで、セクハラ・パワハラは、性的指向・性自認に対する不理解がそうしたことの背景になりうると言うことだ。
それから我々の所の相談体制についても、労働局職員の理解が深まるようにということで、職員を対象とした周知啓発をやっていく。
また相談コーナーに置いて、そこで性的指向・性自認に関する問題に関しても相談を受け付けると言うところが今迄の取り組みだが、昨年の12月に閣議決定した労働政策基本方針という、労働政策の長期的な指針を定めているもので、多様性を受け入れる職場環境を整備するために、職場における性的指向・性自認に関する正しい理解を促進することを基本方針にも掲げている。
パンフレットによる啓発や相談など理解に関する取り組みを深めて行きたい。
それから、来年度の新しい事業が企業の取り組みに関して。この企業は理解が足りてないが、他方で凄く進んでいる企業もあり、取り組みの差がある。そのため、職場に置いて企業が理解促進のためにどのような取り組みをしているのか、その好事例を集めたいと考えおり、先ずそのための調査を来年度の事業で実施したい。好事例をできるだけ集め、事業者に対して周知をしていきたい。
最後、今年の2月に労働政策審議会から諮問を受け、パワーハラスメント防止対策のところで、事業主が職場に置いてパワーハラスメントを発生しない様に相談対策の整備等を講じなければならないというところを追加したばかりだ。
法律ではパワーハラスメントの定義をしているので、その定義に当てはまれば、性的指向・性自認に関してもパワハラに該当するということで、今後、法案を改提出中という状況になっている。

谷合議員

この当事者ののケースと言うのは、パワハラになる話しなのか?例えば、男性中心の職場に異動させたりだとかは?


厚生労働省

この情報だけで判断するのは難しいが、パワーハラスメントの定義では、今の法案で出しているものは、優越的な関係を背景として、業務上の適切な範囲、必要かつ相当な範囲を超えて行うものとしている。差別的な取り扱いというのがあたるのかどうかと言う事は、にわかに判断し難い。


山本

この当事者の方は、どうすればいいのか?どうすれば良くなるのか?何か手とかあるのか。


厚生労働省

おそらく会社によってどう対応したら良いのか分からないと言うところもあるため、配慮が行われればこの方も問題無く働くことができるのではないか。まさに職場における理解を促していく事が一番大事なことだと思う。
何か強制してやるということでは無くて、職場づくりの話し合いで職場に置いて配慮する事ができるような、先ずはそういう職場を増やしていく事が一番大事なことなのではないかと思う。

松本

現状としては、松本を呼んで社員全員で啓発やろうと話があったが、それもいつの間にかに立ち消えになっているし、会社の規定で絶対戸籍の性別に基づいたものでないとだめだみたいなことを一生懸命言う。プライバシーを喋るのは、社員が勝手にやっていることだからと言う。
あなたの能力に問題があるから女性の所には行かせない。あなたの今いる所があなたの居場所だと言う風に、ハラスメントでやってくるわけで無く、性自認がどうのって言う問題ではない。あなたの能力の問題ですと言うことになっている。
戸籍上男性なので、職場には男性しかいないんだから、トイレや更衣室も合理的配慮に当たらないと言うことで、理屈はついているが恐らくハラスメント防止策が出てもこの方の状況は変わらないのではないか。

中塚

「良く分からない」と言う企業が多いが、最初のきっかけを作ると言うことはなかなか企業に任せるというところは難しいところがあるため、自治体にやってもらう仕組みを作ってもらいたい。そこで聞いたことを会社に持ち帰り、話し合ってもらう。そうすれば自分たちの所ではこうしようかと、受け入れやすいのではないかと思う。具体的には、講演会や研修会を人事担当宛にするとか。企業に向かって言うよりは自治体に向かって、行政がやった方が有効かと感じている。

山本

あと、LGBTと言う括りで、捉えていただきたくない。ゲイやレズビアンと言ったLGBの方達の置かれている就労の現状と、Tの方、性同一性障害の方の置かれている現状は全然違う。
私達の問題は、就職できない、就労してもこう言うことになったり、本当に生に関わるレベルの問題だ。しかしLGBTと括られてしまうと、簡単なLGBの人に対する配慮だけずっと進んで、LGBTフレンドリーな企業だとされてしまう。しかし実際はそうではない。そこは明確に分けて考えていただきたい。LGBTと言って一括りにはしないで欲しい。

藤沢

自分自身もこの方のような環境にあって、うつ病になって会社辞めざるを得なくなった。
あなたは戸籍が男性なんだから、男性の服を着なさいとか、名前も元の名前使えですとか、そう言う感じで言われた。労働基準局に相談に行ったが、話しあってくださいで終わって、結局何も効果が無かった。そう言う扱いに対して有効的な対応があれば助かると思う。

砂川

私は地元が沖縄だが、沖縄だと本当に親にも受け入れてもらえない。職場でもカミングアウトしたらクビになる。本当に助けていただきたい。

谷合議員

最後に、企業の取り組みを来年度新規事業調査すると言う話だが、好事例を集める以外に実際に当事者の声も聴くのか?

厚生労働省

来年度の事業なのでこれから詳細な調査設計は考える。今のところアンケート調査を先ずやる予定で、企業の好事例と労働者サイドからも話を聞く必要があると考えている。
その企業と労働者、労働者も当事者の方々を含めてアンケート調査ができたらと考えているが、そこはこれから検討したい。

谷合議員

その詳細を検討するのは、誰が検討するのか?

厚生労働省

厚労省の我々部局で。実際調査する時にはシンクタンクの方に委託をしてということになる。

山本

先程の文科省の件だが、文科省で調査して、委員会を作って、先生方が話し合って、指針を作ると。そういった流れでやってきた。調査をして、その後の検討、委員会を作られるか分からないが、声がけしていただきたい。

谷合議員

パワハラ防止の方は、施行はいつからか?

厚生労働省

1年以内に施行することになっている。

谷合議員

今日は保険適用と職場環境の検討を行った。手術の保険適用の時は混合診療のことがそこまで時間がかかるとは思ってもいなかった。手術を保険適用にしたのにそれが使えないと言う実態が率直に不条理だという思いはある。制度の問題があるのは分かっているが、当事者の目線で考えるとこのまま何も進展しないままで良しとしていいわけでは無いので、何らかの形にしたい。是非、厚生労働省も知恵をお互いにやり取りしながら、進めさせていただきたい。今日は回答が得られた訳では無いが、時間なので一旦は閉じさせていただく。ありがとうございました。





左より中塚、山本、太田、松本の各氏



厚生労働省に要望書を提出

議事録を読んでいただいてわかるように、なかなか厳しいものがあります。
ホルモン療法の健康保険適用は、当初海外などの論文やデータを元に公知申請を行い、未承認薬・適応外薬検討会議で承認を得るという予定でした。
しかしホルモン剤は各国で多様なものが使用されており、ホルモン剤全体としてのものしか見つけられませんでした。そこで、全体のものではダメかという交渉を続けていたわけですが、この日の会議で明確に否定されてしまいました。
そうなると、あとは治験や臨床試験などを用い、自分たちでデータを揃えるしかありません。更に、ガイドラインの不備も指摘されています。
今後、学会には試験の方法や規模などを詰めていただき、ガイドラインを整備していただかなければなりません。
ただ、一般に治験を行うには1億程度の費用が必要とも言われています。残念ながら製薬会社主体となって治験を行うことは期待できそうにありませんので、この費用も調達しなければなりません。ハードルは高いですが、私たちもできるだけの協力を行っていかなければと思います。

労働問題に関しては、パワハラ指針などいろいろ政策はあるものの、理解が進めば自然と解消されていくものと考えているようです。しかし、それは甘いと言わざる得ません。もっと実効性のある、強制力を伴う施策が必要でしょう。
更に、あいかわらずLGBTという枠で捉えているところもいただけません。
ただ、企業や当事者の実態調査は期待が持てます。調査から学校での対応が進んだように、これを機に効果ある施策が講じられることを望みます。
とにかく、労働環境の整備は私たちにとって生死にかかわる問題です。今後もしっかりと訴えてまいります。

https://gid.jp/action/action2019032701/
厚生労働省と交渉

2019年3月27日

https://documents.gid.jp/gidjp/action/action2019032701.pdf



性同一性障害のホルモン療法に対する健康保険適用の要望書
平成 31 年 3 月 27 日 日本性同一性障害・性別違和と共に生きる人々の会 代表 山本 蘭 厚生労働大臣 根本 匠 様 厚生労働副大臣 大口 善徳 様、髙階 恵美子 様 【要望の要旨】 1.性同一性障害の治療に用いるホルモン製剤に対して健康保険の適用をお願い致します。 2.15 歳未満の当事者に対するホルモンブロック治療に対して、助成措置をお願い致します。 【要望の理由】 平素は、性同一性障害の問題にご尽力いただき、心より御礼申し上げます。 私たちは、性同一性障害の当事者団体です。 本年 4 月、私たちが⻑年切望してきた性同一性障害の⼿術療法に対し健康保険が適用されること となりました。この実現に向け多大なるご尽力をいただきましたこと、まずは御礼申し上げます。 しかしながら、今回の健康保険適用は⼿術療法に対してのみで、ホルモン療法については自由診 療として残ることになってしまいました。そのため⼿術前にホルモン治療を受けている場合は混 合診療となり、⼿術療法に対する健康保険が適用されない事態になっています。 性同一性障害の治療では、精神療法終了後通常はホルモン療法を行います。これによって社会適 合を進め、不可逆な治療である⼿術療法に対する可否の検討を行います。また、性腺の除去を伴 う性別適合⼿術によって起こる身体に対する負担を軽減する意味合いもあります。 ところが、これを混合診療とされてしまうと、未ホルモンでも負担の少ない乳房切除術を除き、 ほとんどの⼿術が健康保険適用から外れてしまいます。さらに、保険診療とするためにあえてホ ルモン治療を行わないという例も出ており、これでは安全・安心な治療とは言えません。 せっかく実現した⼿術療法の保険診療を実効性のあるものにするためには、ホルモン療法を健康 保険適用として混合診療を解消するしかありません。 このホルモン療法の早期保険適用実現のため、近々学会から公知申請を行うことになっています。 ぜひこの申請の早急な認可をお願い申し上げます。 また、15 歳未満の当事者に対して第 2 次性徴を止めるために行われるホルモンブロック治療は 使用する薬剤のリュープリンが 38,108 円、スプレキュア MP が 27,448 円と非常に高額で、第二 次性徴が始まる 10 歳前後からクロスホルモンが可能となる 15 歳まで処方すると 300 万円を超え る額になり簡単には処方できません。このため治療の開始が遅れ、第 2 次性徴によって起こる不 可逆な変化を止めることができず、本人の精神状態や将来の社会適合に悪影響を及ぼします。 ホルモンブロック製剤に対する健康保険適用はもちろんですが、併せて何らかの助成を検討い ただきたく要望いたします。 性同一性障害の当事者が、より安全・安心な治療を受けることができれば、当事者の円滑な社会 適応を促進し、結果として日本の社会や財政への貢献となります。 ぜひご検討をいただき、この問題の更なる解決に、ご助力いただきたくお願い申し上げます。

https://documents.gid.jp/gidjp/action/action2019032701.pdf
性同一性障害のホルモン療法に対する健康保険適用の要望書

https://documents.gid.jp/gidjp/action/action2019032702.pdf



平成 31 年 3 月 27 日 日本性同一性障害・性別違和と共に生きる人々の会 代表 山本 蘭 厚生労働大臣 根本 匠 様 厚生労働副大臣 大口 善徳 様、髙階 恵美子 様 【要望の要旨】 性同一性障害の当事者が、職場において不利益を受けたりストレスを感じたりしないような労働 環境を整備するために、配慮すべき内容と対応をまとめた指針の策定をお願い致します。 (例)・上司や社員の言動の模範 ・トイレや更衣室の利用、健康診断などに対する配慮 ・カムアウトの強要やアウティングの禁止 ・就業中に望みの性で生活をする RLE(リアル・ライフ・エクスペリエンス)の実施 ・服装、調髪、化粧等を本人の希望にできるだけ添うこと ・性別適合手術の入院期間中の休暇の取得 等々 【要望の理由】 平素は、性同一性障害の問題にご尽力いただき、心より御礼申し上げます。 私たちは、性同一性障害の当事者団体です。 性同一性障害の当事者にとって、就労は⾼い壁です。このため、⼾籍上の性別と容姿の不一致な どにより非正規雇用にならざるを得ない者も多く存在します。 厚生労働省から平成 27 年 1 月に制定された「事業主が職場における性的な言動に起因する問題 に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(いわゆるセクハラ指針)では「被害を受け た者の性的指向又は性自認にかかわらず、当該者に対する職場におけるセクシュアルハラスメン トも、本指針の対象となるものである。」 と定めました。 しかしながら、この指針ではカムアウトの強要やアウティングの防止なども行うことができない など私たち性同一性障害の当事者にとって実効性の乏しいものとなっています。 平成 27 年 4 月、文部科学省が「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等 について(27 文科初児生第 3 号))」という通知を発出し、これによって学校における性同一 性障害への対応や理解は一気に進みました。 この時、全国の小中⾼等学校への調査や専門家や当事者を交えた委員会を設置しての議論が行わ れ通知として実現しました。またその後冊子も作られています。 ぜひ、このような先例のように現状各企業が行っている取組の収集や望ましい対応の検討を専門 家や当事者を交えて行い、指針としてまとめていただけるよう切に要望いたします。 性同一性障害の当事者が職場において不利益を受けたりストレスを感じたりしないような労働環 境を整備することは急務です。 働く意欲も能力もあるのに、それが活かされないのは社会にとって大きな損失です。 ぜひご検討をいただき、性同一性障害の当事者の労働環境の改善に、ご助力いただきたくお願い 申し上げます。 最後に、最近 LGBT や性的少数者という形で同性愛や他のセクシュアリティと一括りにして扱 われることが増えていますが、性同一性障害はあくまでも疾患であり福祉の観点で取り組むべき 課題です。特に就労に関しては、性指向のありようはほとんど問題になりません。 このように同性愛とは問題のあり方も対応も異なりますので、区別していただけるようお願い申 し上げます。

https://documents.gid.jp/gidjp/action/action2019032702.pdf
性同一性障害当事者の労働環境の改善を求める要望書

https://documents.gid.jp/mhlw/mhlw2019032701.pdf






2018年(平成30年)4月1日に平成30年度診療報酬改定が施行され、性別適合手術や乳房切除など性同一性障害の手術療法に対する健康保険の適用が開始されています。
性同一性障害に対する治療は、それまで精神療法のみが健康保険の対象で、その後のホルモン療法や手術療法に対しては対象外でした。そのため手術には100万円以上の費用を必要とし、これが治療を円滑に進める上での大きな障壁となっていました。
これを解消すべく、私たちは15年以上前から健康保険の適用とするよう国に訴え続けてきていたわけですが、実現してきませんでした。
今回手術療法に対する健康保険の適用が行われることになったことは、私たちの活動の大きな成果と言えます。また、ご尽力いただきました議員のみなさん、厚生労働省官僚の方々、医療・学会他関係者のみなさまには深く感謝申し上げます。
ここでもう一度、この保険適用について整理しておきたいと思います。

適用範囲

まず、適用される性同一性障害に関する手術は、以下のようなものです。「性別適合手術」というような新しいカテゴリーを設ける形式ではなく、既存の術式に対する適用範囲を性同一性障害の治療に広げる形での実現となっています。
K475 乳房切除術

K818 尿道形成手術の「1」前部尿道

K819 尿道下裂形成手術

K819-2 陰茎形成術

K825 陰茎全摘術

K830 精巣摘出術

K851 会陰形成手術の「1」筋層に及ばないもの

K859 造膣術、膣閉鎖症術の「2」遊離植皮によるもの

K859 造膣術、膣閉鎖症術の「4」腸管形成によるもの

K859 造膣術、膣閉鎖症術の「5」筋皮弁移植によるもの

K877 子宮全摘術

K877-2 腔鏡下膣式子宮全摘術

K888 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)の「1」開腹によるもの

K888 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)の「2」腹腔鏡によるもの
これにより、乳房切除術および性別適合手術と呼ばれるものについては健康保険が適用され、3割負担で手術が受けられることになりました。
ただし、脱毛や豊胸、顔の女性化形成(FFS)などは適用範囲に入っていません。

高額療養費制度と適用限度額認定書

健康保険適用になると「高額療養費」の対象となります。これは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、後で払い戻される制度です。
自己負担限度額は、加入している保険組合や標準報酬月額・所得金額によって変わってきますが、概ね8~16万円程度になります。
なお、高額療養費の適用を受けるには通常審査に3ヶ月程度かかりますが、事前に「適用限度額認定書」を取得しておけば、窓口で提示することで支払額が自己負担限度額までとなります。これから手術を受けられる方は、事前に「適用限度額認定書」を取得しておかれることをお勧めします。いずれも詳しくは、加入の保険組合にお問い合わせください。

制限事項

ところで、今回の健康保険適用には、認定施設に限る、ホルモン療法との混合診療の問題などの制限事項があり、手放しでは喜べない状況となっています。
厚生労働省よりこの件について書かれた文章を入手していますので、公開しておきます。
性別適合手術の保険適用について

認定施設基準

まず、全国どこの医療機関で手術を受けても保険適用になるのかというとそうではなく、一定の施設基準を満たした医療機関に限定されます。
その施設基準は、以下になります。
(1) 形成外科、泌尿器科又は産婦人科を標榜する病床を有する病院であること。

(2) 当該保険医療機関に関連学会が認定する常勤又は非常勤の医師が1名以上配置されていること。

(3) 当該保険医療機関において、医科点数表第2章第10部手術の通則4 (性同一性障害の患者に対して行うものに限る。)に掲げる手術を合わせて20例以上実施していること。ただし、当該保険医療機関において、形成外科、泌尿器科又は産婦人科について5年以上の経験を有し当該手術を合わせて20例以上実施した経験を有する関連学会が認定する常勤の医師が1名以上配置されている場合は、この限りではない。

(4) 関連学会のガイドラインを遵守していること。

(5) 当該手術を実施する患者について、関連学会と連携の上、手術適応等の治療方針の決定及び術後の管理等を行っていること。
施設が「病院」に限定されたことにより、診療所(いわゆるクリニックなど)は対象から外れることになります。
病院とは法律用語です。ベッド数が20床以上で医師や看護師の数にも基準があります。
これは元々日本精神神経学会が定めたガイドラインに「手術を行う場合は入院可能な施設を有していること」という規定が有り、それを踏まえたものになっています。
もちろん診療所の一部には入院可能な施設もあり、これについては最後まで調整が続いていましたが、最終的には初めての保険適用ということもあり安心・安全を優先するということになったようです。
ただし、認定医は常勤でなくても良いことになりました。これによって大学の医師が非常勤で行っているような提携病院でも認定基準を満たすことになります。

この規定により、2018年11月現在、認定医療機関は、岡山大学病院、光生病院、山梨大学医学部附属病院、名古屋大学医学部附属病院、札幌医科大学附属病院、沖縄県立中部病院の6施設に留まっています。GID学会が 認定施設 を公開していますので、ご参照ください。
とはいえ、光生病院は岡山大学病院の関連施設ですし、名古屋大学医学部附属病院は本格稼働はこれからという状況のようですので、実質は4施設というところです。

この数は確かに現状ではこの数は非常に少ないと言えます。特に人口の多い関東圏や関西圏に1施設も無いのには困ったものです。ですが、元々入院設備のないクリニックでの手術は学会でも危険視されており、そのためガイドラインが改訂された経緯もあります。
医療保険の性質上、安心・安全な医療を担保するという意味では当然とも言えるでしょうし、逆にこれによって危険な手術を行っている医療機関が淘汰されるのは、当事者にとってメリットが大きいとも言えます。
もちろん上記の他にも認定に向け準備している医療機関もありますし、逆に保険適用になれば開始したいという大学病院もいくつかあるようです。今後、充実していくことを期待しましょう。

ホルモン療法との混合診療

さて、もう一つの問題は、ホルモン療法との併用の件です。先の厚生労働省の文章では、以下の様に記載されています。
○性同一性障害に対するホルモン製剤については、薬事承認上、当該疾病に対する効能効果を有するものは存在しないため、ホルモン製剤の投与に関する保険診療上の取扱いは従前の通り。

○当該疾病に対して、性別適合手術とホルモン製剤の投与を一連の治療において実施する場合は、原則、混合診療となる。
最初の○では、性同一性障害のホルモン療法は健康保険の対象ではありませんよ。と述べています。これは、今までもそうでしたから仕方がありません。
次は性別適合手術とホルモン療法を一連の治療において実施する場合は、混合診療になると述べています。どういうことでしょうか?
混合診療とは「一連の治療において保険診療と自由診療を組み合わせること」とされています。
(参考)厚生労働省 保険診療と保険外診療の併用について
ここで問題なのは「保険診療と保険外診療の併用は原則として禁止しており、全体について、自由診療として整理される」という点です。つまり、性別適合手術が健康保険の対象となっても、ホルモン療法が健康保険の対象外(=自由診療)であるので、一連の治療であれば両方とも自由診療となり健康保険の対象外となるということになります。
早い話が、ホルモン療法をやっていれば、性別適合手術は健康保険適用にならないということです。

そんなバカな!と思われるでしょう。実質、手術を望む人は、ほぼその前にホルモン療法を行っていますし、ガイドライン上もアラカルト形式になっているとはいえ、まずはホルモン療法を行うことを定めています。
これではほとんど全ての人が健康保険を用いて手術を受けることができません。せっかく手術療法が保険適用になったのに、意味がないことになってしまいます。
実際この1年で健康保険で手術を行った人は、ごくわずかに留まっています。

回避する方法はあるのか

この話が当事者に伝わったとき、いろいろな回避方法が考えられました。保険適用にならないのは一連の治療においてということなのだから、一連で無ければ良いのだろうと。
例えば、手術を受ける医療機関とホルモン療法法を受ける医療機関が違っていればいいとか、手術前にホルモン療法を一定期間やめていればいいとか、ホルモン剤を海外などから自己調達すればいいとか、ホルモン治療はやっていませんとウソつけばいいとかです。
残念ながらいずれの方法もダメでしょう。
他の疾患においては、医療機関が異なればその患者がそれを告知しない限りわかりませんし、自由診療の場合診療報酬請求は行われませんから、健康保険の審査支払機関も実態を把握できません。そのため、実際には混合診療が行われても、それが黙認される状況になってはいます。
しかし、性同一性障害の場合は手術の前には判定会議があり、それまでの治療歴が詳細に検討されます。ホルモン療法を隠すことはできません。結果、医療機関としては混合診療になることを把握することになります。となれば、リスクを冒して保険診療にすることはできないでしょう。ましてや厚生労働省から先にホルモン療法との混合診療はNGですよと釘をさされてしまっています。
GID(性同一性障害)学会でも「性同一性障害診療における手術療法への保険適用」について という声明を発表しており、ホルモン療法との混合診療を明確に否定しています。
結論として、ホルモン療法を行う前に手術が可能な乳房切除術などを除いて、回避する方法は無さそうです。

今後の展望

こうして、せっかく手術療法が健康保険適用になったものの、実はほぼ適用されないという完全に糠喜びの状態になってしまいました。本当に残念です。
しかし、要はホルモン療法が健康保険適用になれば混合診療は解消され、全ての治療が健康保険の対象となります。
私たちは、今後このホルモン療法の健康保険適用にむけ、全力をつくしてまいります。みなさん、どうかもうしばらくお待ちください。

https://gid.jp/article/article2018113001/
性別適合手術の健康保険適用について

2018年11月30日

http://www.okayama-u.ac.jp/user/jsgid/seimsei%20180414.pdf



「性同一性障害診療における手術療法への保険適用」について GID(性同一性障害)学会は,2009 年より,厚生労働大臣等に「性同一性障害診療におけ る手術療法・ホルモン療法の保険適用」を要望してきました.また,認定医制度を創設し, 安全かつ有効な治療が行われるように努めてきました.これらの努力の結果,この度,一部 の手術療法の保険適用が認められることになりました. しかし,この保険適用に関しては,一定の基準を満たす医療施設(認定施設)に限定する こと,日本精神神経学会のガイドラインに従って診療が行われること,手術例を登録して, 本当に安全に行われたのか,有効であったのか,後悔する例は稀であったのか等を,今後, 示すことなどの条件が課せられています. また,日本においては,混合診療(保険診療と自由診療の併用)は原則として禁止されて おり,「混合診療は,全体について自由診療として整理される」(すなわち,自費扱いとなる) ことになっています.このため,性同一性障害に対する一連の治療として,ホルモン療法(自 費)と手術療法とが行われる場合には,手術療法は保険適用とはなりません.当然ながら, 認定施設においては,日本精神神経学会のガイドラインに従って診断が行われ,多くの場合, ホルモン療法の実施を含む望む性での生活(RLE: Real Life Experience)を行っている状 況を確認したうえで,性別適合手術(SRS: Sex Reassignment Surgery)の適応を判定して います.すなわち,ほとんどの手術希望例は,すでにホルモン療法(自費)を実施している こととなり,手術療法の保険適用とはならない状況があります.このため,乳房切除術をホ ルモン療法に先立って希望する例などを除いて,この度の診療報酬改定をもって,直ちに恩 恵をこうむる方は少ないかと思います. 性同一性障害のためにホルモン療法を行っている方が,それを中止したという状況があ ったとしても,手術が保険適用になることはありません.かえって,ホルモン療法を中止す ることによって,健康を害したり,望む性での生活(RLE)を行っていないと判断されたり することで,ますます性別適合手術を行うことへの承認が遅れる可能性があります.担当医 の指示のもと,適切にホルモン療法を続けて頂きたいと思います. 現在,このような過渡期ではありますが,この度,手術療法への保険適用の道が開いたこ とにより,性同一性障害診療が大きな一歩を踏み出したことは確かです.今後,GID(性同 一性障害)学会は,残された,もう 1 つの課題であるホルモン療法への保険適用の実現に向 けて引き続き努力いたします. 2018 年 4 月 14 日 GID(性同一性障害)学会理事長 中塚幹也

http://www.okayama-u.ac.jp/user/jsgid/seimsei%20180414.pdf
「性同一性障害診療における手術療法への保険適用」について







かや☆ぜろたそ
@0taso_kaya
·
2月28日
なんで性別違和に苦しんでるのに身体にメスを入れたくないんだろうか。持病でどうしようもないとなると逃げ場がなくて辛そうではあるが……
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かや☆ぜろたそ
@0taso_kaya
脱病理化してしまうと逆に移行が難しくなるようにしか見えない。。
午前0:16 · 2023年2月28日
·
61
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かや☆ぜろたそ
@0taso_kaya
·
2月28日
それねぇ……にっちもさっちもいかなくなるから、ここに支援入れるのが良いはずなんだけどなぁ

https://twitter.com/0taso_kaya/status/1630225359143862274




LGBTアムウェイG6、LGBTamwayG6
@SaburauWoman
今で言うLGBT活動家が、障害者や疾病者と同一視されるのをどれだけ毛嫌いしてきたか知らん人やろうな

WHOの疾患項目から同性愛が削除されました万歳🏳‍🌈(キリスト教影響下の西洋医学の話で、日本では病気の認識はあまり無かったらしい)

WHOの疾患項目からGIDが削除されました万歳🏳‍🌈

#差別とは?
引用ツイート
ウエキチ
@IEYtAzhTG0D1KEQ
·
3月5日
京都のトランス・クィアデモに参加してきました。たぶんデモ自体10年ぶりで懐かしかった!声の出し方とか覚えているろんやね。

昔は障害者運動で何回もデモに参加してたけど、今回が1番「しっくり」きた感じがした。
色んな差別、社会問題を訴えて社会構造そのものを変えるひ必要がある。 twitter.com/queerdemo_kyot…
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午後3:59 · 2023年3月5日


ウエキチ
@IEYtAzhTG0D1KEQ
むしろ、若い頃はトランス界隈で障害者ヘイトを、障害社会界隈でトランスフォビアやホモフォビアをよく目にして居場所の無さを感じていました。

今でも脱病理化には凄く複雑な気持ちでいます。
午後6:42 · 2023年3月5日

https://twitter.com/IEYtAzhTG0D1KEQ/status/1632315580488519680?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1632315580488519680%7Ctwgr%5E294936597a07daf57c6d4ad063e7f44105c6b1d8%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fnote.com%2Fnohate38306133%2Fn%2Fn42b474fad517