司法の暴走に対する警鐘 ~最高裁国民審査の結果について性同一性障害特例法を守る会性同一性障害特例法を守る会2024年11月1日 08:26PDF魚拓


性同一性障害特例法を守る会

私たちは性同一性障害当事者として、2023年最高裁における特例法手術要件(不妊要件)の違憲判断の責任を問うために、10/27に行われた衆議院選挙に伴う国民審査で、この裁判に関わった尾島明・今崎幸彦の両裁判官を不信任するように、国民の皆さまに訴えました。
https://note.com/gid_tokurei/n/n8df5421795af
残念なことに、国民審査の「不信任」は過半数という高いハードルが設定されているために、両裁判官の罷免には至りませんでした。しかし、国民審査の結果を見れば、

尾島明   11.00%
宮川美津子 10.52%
今崎幸彦  11.46%
平木正洋   9.97%
石兼公博  10.01%
中村慎    9.82%

と、私たちが不信任を呼び掛けた尾島明・今崎幸彦両裁判官の不信任率がトップ2,11%台と高いことが分かります。前回2021年の国民審査で一番高い不信任率は7.82%、前々回2017年では8.58%と、今回の国民審査ではどの最高裁判事も前回・前々回のトップの不信任率を越えた不信任率となっています。さらに言えば、最高裁長官としてもっとも責任ある立場である今崎幸彦長官がトップの不信任率であることについても、最高裁自体が国民から強い批判の目で見られている証拠でもあります。
また、今まで一桁後半で推移してきた平均の不信任率も、今回は10%を超えました。けして「不信任にならなかったから、信任された」と居直ることのできない深刻な不信任率であることを、最高裁は自覚すべきです。
https://www.asahi.com/articles/ASSBX3SB1SBXUTIL00MM.html
https://news.yahoo.co.jp/articles/97518686da267636646496756298c9c73dc6661f
このような事態を招いたのは、まさに最高裁自身です。私たちの立場からすれば「トランスジェンダー」を巡る裁判で、最高裁が暴走した結果がこれなのです。経産省トイレ裁判・特例法不妊要件違憲判断~差戻審で「男性器ある法的女性」出現という、女性たちに不安を与える、国民感情から遊離した判断を最高裁が繰り返したがために、このような「不信任!」の声が国民から突きつけられたと、私たちはこの結果を解釈しています。これを最高裁はしっかりと自覚すべきです。

これ以上性同一性障害特例法の形骸化を進めてはなりません。

最高裁に対して国民が強い警告を発したのが、この国民審査の結果です。

もちろん、国民審査という制度も形骸化している、という批判も以前から上がっています。何も書かなければ信任、不信任にはわざわざ✖を付ける必要がある、という投票形式にも問題があります。
さらに、特例法不妊要件に違憲の判断を出した大法廷では、宇賀克彦・三浦守・草野耕一の3裁判官は、外観要件にも違憲の少数意見を出しています。もし、今回この3裁判官が国民審査の対象であれば、必ずや今崎長官以上の強い国民の批判と不信任の声を受け、下田武三判事の国民審査(昭和47年)の15.17%を上回り、罷免の可能性もあったことでしょう。
このように一旦国民審査を受ければ10年間改めて国民の審判を受けないでいい、という憲法の規定もどうにかすべきです。毎回、全ての最高裁判事が審判を受ける制度の方が、より国民の良識に近い判断を最高裁ができる保証につながるのではないのでしょうか。

私たち性同一性障害当事者は、いわゆる「トランスジェンダー」の横車によって特例法がゆがめられ、私たち当事者と社会との約束であった特例法が、本来その対象外であったはずの「トランスジェンダー」たちに乗っ取られようとしていることを危惧し憂慮しています。女性たちは「女性スペースが奪われる」「女子スポーツが侵略される」と「トランスジェンダー」に強い警戒感を抱くようになり、その結果、特例法と手術要件によって社会と調和して生きてきた私たちも、「トランスジェンダー」と社会との対立に巻き込まれて多大な迷惑を被ることになったのです。
あの違憲判決以降、私たちに対する社会の目は格段に厳しいものになりました。私たちから「手術要件」という自らを守り、社会から信用される「盾」を奪い、女性たちの当然の権利を無視することで社会不安をかきたてた最高裁に対して、女性たち同様に私たちも強い怒りの念を抱いております。この責任を最高裁はけして逃れることはできないのです。

「人権尊重」「諸外国はずっと進んでいる」などとのキレイ事にそそのかされて司法が歪みつつあると、正確に状況を理解し始めた国民は、司法への不信の感情を不信任というかたちで表明したのです。海外の状況にも当事者の現実にも眼を閉ざして、イデオロギーに閉じこもっているのは、国民ではなくまさに司法の側なのです。

今回の国民審査の結果を、最高裁は真摯に受け止めて、過ちをこれ以上拡大しないように慎重な判断をするように、最高裁ならびに法曹界に当事者として警告いたします。

以上

司法の暴走に対する警鐘 ~最高裁国民審査の結果について

性同一性障害特例法を守る会

2024年11月1日 08:26


性同一性障害特例法を守る会

来る10月27日投票の衆議院選挙と同時に、最高裁判所判事の国民審査が行われます。私たちは性同一性障害当事者として、国民審査で尾島明・今崎幸彦両裁判官の不信任をするように、すべての国民に訴えます。

私たちの会は性同一性障害当事者が「特例法、とくに手術要件を守る」ことを掲げて作られました。署名活動などを通じて私たちは手術要件の維持を最高裁に対して訴えてきましたが、しかし、昨年10月26日の最高裁大法廷決定では、手術要件のうち「生殖能力の喪失要件」については十五人の最高裁判事の全員一致によって「違憲」の判断をしてしまいました。そして「外観要件」については3名の裁判官が「違憲」の意見を述べましたがそれを採用せず、広島高裁へ差し戻され、今年7月10日の差戻審決定では外観要件への憲法判断なしに原告の請求を認めてしまいました。

「男性器ある法的女性」を最高裁は認めてしまったのです!
この裁判で「生殖能力の喪失要件」に違憲判断を行った裁判官には、今回の国民審査によって国民からの「No!」が付きつけられなければなりません。
https://note.com/gid_tokurei/n/n4e576b228187
https://note.com/gid_tokurei/n/n7885ae90c264
https://note.com/gid_tokurei/n/n7c2ad12bb2ed
この決定から、すでに手術を済ませて戸籍性別を変えている性同一性障害当事者にとって、つらい日々が始まりました。

「トランスジェンダーなんて、女湯や女子トイレに侵入したがるヘンタイだ!」
「女になりたい、と主張して女性に近づくのも、性的な関係を強要するためでは?」

などなど、この決定に相次いで起きた、ススキノ首切り殺人、埼玉のNPOで起きた女装者暴行事件、さらに「トランスジェンダー」と言い訳する幾多の女湯突入事件などから、私たちの「評判」は地に落ちてしまったのです。

この責任は最高裁の決定にもあるのです!!

私たちは手術要件の維持を訴え、手術要件こそが私たちの立場を守る「盾」だと主張しました。しかし、その「盾」を「人権尊重」から最高裁はあえて破壊する暴挙に出たのです。「生殖能力喪失要件は違憲」と「外観要件をしっかり守る必要はない」という誤ったメッセージが、一部の不心得な人々を元気づけ、このような犯罪に走らせることに繋がった、という重大な責任が最高裁にはあるのです。
これは女性・女児たちを直接危険にさらすのと同時に、私たち平穏に暮らす性別移行者の立場を悪化させて、世論からの「新しい偏見」を生み出すことに繋がったのです。最高裁が国民世論から遊離し、「司法の暴走」とも評されるような「先進的に過ぎる過激な判断」を行ったツケを、今国民が払わされているのです!

また同時に、この判決は性同一性障害特例法の「改正」論議に火をつけることになりました。しかし、手術要件が緩和されたことによる、新しい条件を議論する基盤はまったく整っていません。ジェンダー医療に長らく携わってきた専門医の間でも、困惑の声が広がっています。今までは手術要件によって、性別移行の真剣な意思を確認できたがために、精神科医による「診断」は比較的緩やかなもので大丈夫だったのです。しかし、手術要件が緩和された場合には、精神科医に求められる責任は今までとは比較にならないほど強いものになります。

特例法を改正するのならば、どんな町医者にでも書くことができる現状の診断書ではなく、一定の専門資格をもった医師のみが診断書を書けるように資格を新設しなければなりませんが、この資格の議論もようやく専門医の間で必要性が議論されてきたばかりです。先走った最高裁の決定によって、社会のあらゆる場面で後手後手に回らざるを得ない、危険で無責任な状況が起きてしまったのです。

このような責任は昨年10月の最高裁決定を下した裁判官すべてに求められるべきです。ですので、今回の国民審査では、この判断を下した二名の裁判官、尾島明・今崎幸彦の二名について、国民からの「NO!」の声を突きつけましょう。

残念なことに、この決定の裁判長である戸倉三郎最高裁長官は定年により退官、さらに外観要件について違憲の反対意見を述べた三浦守・草野耕一・宇賀克也の三名の裁判官については、2021年に国民審査を受けているために今回の国民審査の対象ではありません。大変残念なことですが、現在も最高裁に席を置くこの三名の判事に、国民からの拒絶の声を直接届けることは今回はできません。国民審査の制度もどうにかすべきでしょう。

しかし、この決定に加わった尾島明・今崎幸彦の両名の不信任率が明らかに高ければ、三浦・草野・宇賀を始め他の裁判官に対しても強い圧力になることは予想されます。ですので、今回については、新任の裁判官である他の4名を含めた

・すべての最高裁判事に✖

ではなく、

・手術要件に違憲判断を下した尾島明・今崎幸彦の両名に✖

を私たちの国民審査での不信任の基準にしようと、すべての国民に対して訴えます。
女性たちの安全を明白に傷つけ、私たち当事者の状況を悪化させた、誤った司法の責任を追及して改善する責務は、国民自身にあるのです。
私たち性同一性障害当事者のこの訴えにぜひ耳を傾けてください。

以上

最高裁国民審査について訴えます~尾島明・今崎幸彦両裁判官に✖を!


性同一性障害特例法を守る会

2024年10月16日 15:37



「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」の「性別適合手術の要件」につき、性同一性障害の当事者による団体である当会「性同一性障害特例法を守る会」は、最高裁判所大法廷が違憲判決を下さないよう求めます。

特例法の手術要件について、違憲と判断して「男性器ある女性」を出現させないで下さい!

またこの件を最高裁に向けてアピールするために、署名を私たちは開始しました。皆さまぜひご署名ください。
https://voice.charity/events/534
2023年9月27日、最高裁大法廷は、性別適合手術をしていない男性の「戸籍上の性別の変更」について弁論を開き、その上で「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」の手術要件が憲法に違反するかどうかの判断をします。違憲だという論者は、法的な性別を変えるのに手術をしなければならないのは酷だ、「断種手術だ」といいます。事案は、性同一性障害と診断されている男性で、高額の手術費や後遺症への不安から、精巣の摘出手術さえ受けていないということです。

朝日新聞2023/6/27
https://www.asahi.com/articles/ASR6W3JM2R6RUTIL02Q.html
7月11日のいわゆる「経産省女子トイレ裁判」で下された最高裁判決において、性別適合手術なしの性同一性障害当事者に対して、当該職場の女子トイレ利用を容認する結論が出ました。法律上の「みなし女性」として扱われる条件は今まで「性別適合手術をしているか否か」によって判断されてきたのですが、その原則が特殊な状況下を理由にして緩めらる結果になり、これがそのまま「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」での、
四 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること

五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律 第三条①

のいわゆる「手術条件」の廃止、変更につながるものなのか、という懸念が、女性たちの間、さらには自分の大切な女性や子供たちを守りたい広範な国民の間で広まりました。

特例法とは、身体違和が耐えがたい性同一性障害の当事者のうち、性別適合手術を終えた人が生きやすくするための法律です。当事者の立場で言えば、法的性別を変更したいから手術をするのではなく、望んで受けた後に生活のために戸籍の性別も変えるためのものです。過去、知的障害者らにされた非人道的な「断種手術」とはまったく違います。法的な性別を変更した私たちは、「手術要件があるからこそ社会から信頼される根拠・私たちが守られる盾」になっていると実感し、かつそれを公に主張します。
性別適合手術は非人道的なものではなく、この手術によって私たちが「救われた」と感じるような、私たちのアイデンティティにとっても大変重要な手術でもあります。

今回の弁論での原告が主張するようには、費用的にも極めて高額なものではなく「軽自動車一台分」と称される程度の費用です。身体的負担も「戸籍を変えるための条件」としては、さほど苛烈なものであるとは言い難く、術式も完成されており比較的「安全な」手術であるとさえ言えます。
真に性同一性障害であり「自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意志を有する」のであれば、けしてためらうほどの手術でもありません。この手術によって「自らが厭う身体的な性別」から解放されるのであれば、「安い買い物」であるとさえ思います。
けして「憲法違反」であるような非人道的な手術でもありませんし、それが強制されているという実態もまったくありません。私たちは自らが望んで受けているのです。戸籍の変更はただその副次的な効果に過ぎません。

しかも私たちは、この特例法によって私たちが社会的に「受け入れられた」という事実に責任をもって向き合う必要があります。

万一、特例法の手術要件が違憲と判断されると、男性器があるままの法的女性が現れます。
性別が変わった後でさえ「生物学的には父となる女性」「生物学的には母となる男性、出産する男性」もあることになります。さまざまな家族法がありますが、これらの法律との整合性に大きな矛盾がでるばかりではなく、「法的女性」となれば当然、女子トイレはもちろん女湯などあらゆる女性スペースに男性器のあるまま入れる権利が生じることとなります。
多くの女性たちと女児を持つ親はこのことに強い懸念を抱いています。安全であるはずの「女性スペース」において、性被害を受ける可能性を否定できなくなるのです。「性同一性障害」が専門医に認められる当事者であっても、性志向(つまり、どの性別の相手を好きになるか)は関係ありません。女性として男性を好きな当事者もいれば、女性として女性を好きだという当事者も珍しくはありません。つまり、「心は女性」として男性器を持ったまま、トランスレズビアンと称して女性を愛する当事者もいる、ということです。
ならば「トランスジェンダーを装った性犯罪者」を、どう区別して女性スぺースから排除できるのでしょうか。「男性器ある法的女性」を法が認めることは確実に性犯罪へのハードルを下げます。
ですから「女性専用スペース」での性的安全の保証がなくなる、という声には現実の性被害の問題に裏打ちされた切実さがあります。「男性器ある人はすべて入れない」とするルールには、防犯上の客観的な根拠があるのです。

この危惧する声を、私たちは当事者として無視することはできません。
「性自認によって性別を変えていい」などと客観的な基準なしに、あるいは緩い基準で性別変更を認めるようにした諸国では、現在社会的に大きな混乱が起きています。スコットランド・フィンランド・スペインなど緩和を導入した政権が強い批判を受けて退陣し、「客観的な基準を厳守すべきだ」とする「揺れ戻し」の動きが加速しています。
女子スポーツにおいても、トランスジェンダー選手を受け入れた方針を、多くの国際的競技団体ではあまりの弊害の大きさに、方針転換する団体が増えてきています。
もはや国際的な視点においても、今の日本の状況はけして「遅れている」ものではなく、「海外の轍を踏まずに済んだ」と喜ぶべき状況であるとさえ私たちは考えます。

またさらに、私たちは「女っぽいなら女になれ」「男っぽいなら男になれ」といった、ジェンダー規範に基づいた「安易な」決めつけによるステレオタイプの強制に傷つくことも多いのです。「LGBT理解増進法」も、性別(セックス)と「らしさ・社会的役割」であるジェンダーとを混同してはならないとすることを通じて、このようなジェンダー規範を弱めようとするための努力であり、ジェンダーにとらわれない「生き方の多様性」という理念を掲げたものであるはずでした。
このように「生き方の多様性」と、「法的性別の取扱い」とはまったく別々の問題です。この手術要件廃止が、安易に「男は男らしくしろ・女は女らしくしろ」という社会的なジェンダー規範を安易に私たちに押し付ける結果になり、安易な性別移行とそれに基づく本人のアイデンティティの混乱、あるいは周囲に対する迷惑という結果になるのならば、それはまったくの逆効果であるとさえ言えるでしょう。

「男性の多様性」「女性の多様性」を尊重しさえすれば、必ずしも「法的性別を変更しないとどうしてもやっていけない」人はそんなには多くはないのです。男性は男性なりに、女性は女性なりに、それぞれの「法的性別」の中でライフスタイルの多様性を追求すべきなのです。
一部の男性が、男子トイレで「トランス女性」に対して揶揄や時に暴力を振るうことがありますが、それこそが排除であり差別です。「性の多様性」を否定する態度であり、まさにこれが改めていくべき問題なのです。「女性装の男」「女っぽい男」が男子トイレを利用するにあたって、安全に遠慮なく使えることこそが、「男性の多様性」なのです。

このように「かわいそうだから」で法的性別の基準を動かすことで、さまざまな問題を引き起こし、また必ずしも当事者の利益にもならないという最悪の結果を引き起こしてしまった場合に、誰が責任を取れるのでしょうか。この問題については広範な国民の意見を確認した上で、慎重に対処すべき問題なのです。

よって、最高裁判所大法廷に対し、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の「性別適合手術の要件」につき、違憲判決を下さないよう求める署名を開始します。当会が窓口となり、「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」(性同一性障害特例法を守る会、女性スペースを守る会、平等社会実現の会、白百合の会、性別不合当事者の会、性暴力被害者の会、No!セルフID女性の人権と安全を求める会及び有志)による署名活動です。

皆さまぜひ最高裁に私たちの声を届け、世論の多数が「手術要件を守ろう」であることを示しましょう!ぜひご協力をお願いいたします。



署名サイト「voice」の他に、署名用紙をダウンロードし、郵送やFAXで署名することも可能です。
紙署名PDFデータは以下にあります。

https://gid-tokurei.jp/pdf/shomei.pdf
郵送やファックスなどの送り先は、以下になります。

●郵送先: 〒242-0021 
     神奈川県大和市中央2-1-15-5階 大和法律事務所内
     女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会
●FAX : 046-263-0375

どうぞ、賛同署名の輪を拡げて下さい。 また、チラシでもある署名用紙をお知り合いに渡す、各戸にポスティングしていただくことも有効です。
その場合は200枚単位で無料で郵送もいたします。
ご協力いただける方は、送付先のご住所・お名前を下記あてにメールでお送り下さい。


●署名用紙受付:info@gid-tokurei.jp


署名サイトVoiceから署名する場合はこちらへ ↓↓

性同一性障害特例法の手術要件を廃止しないでください 最高裁への要望書

性同一性障害特例法を守る会

2023年8月13日 15:35


最高裁判所にあっては、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の「性別適合手術の要件」につき違憲判決を下さないよう求め、各政党にあっては、この要件を外す法案を提出しないように求めます。

提出先:最高裁判所戸倉三郎長官&各国政政党代表 担当者:女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会(性同一性障害特例法を守る会、女性スペースを守る会、平等社会実現の会、白百合の会、性別不合当事者の会、性暴力被害者の会、No!セルフID女性の人権と安全を求める会及び有志) ※担当者は提出先の機関内の担当者や関係者を想定しており、提出先を想定しています。本活動と直接関りがない前提でのご記載です。

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作成者:女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会

活動詳細
経過報告14
コメント3857

活動詳細

署名終了 2023年10月23日(月)23時59分→10/24提出します
2023年10月25日が最高裁の判決日と決定しました。前々日23時59分までで締め切りとし、翌24日に第一次集約分とともに、まとめて全ての署名を提出します。


★ 第一次集約分
2023年9月25日23時59分に集約し、合計14,935 名の署名を、2023年9月26日に最高裁裁判官宛に提出いたしました。秘書官を通じて、速やかに各裁判官へ資料とともに配布されました。(署名計14,935 名のうち、オンライン署名14,652名、用紙署名283名)

特例法の手術要件について、
違憲と判断して効力を失わせたり
これを外す法改正をして、
「男性器ある女性」を出現させないで下さい!


 2023年9月27日、最高裁大法廷は、性別適合手術をしていない男性の「戸籍上の性別の変更」について弁論を開き、その上で「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」の手術要件が憲法に違反するかどうかの判断をします。

 原告はこれを違憲だと主張し、その論者らは法的な性別を変えるのに手術をしなければならないのは酷だ、「断種手術だ」といいます。

 事案は、性同一性障害と診断されている男性で、高額の手術費や後遺症への不安から、精巣の摘出手術さえ受けていないということです。

―朝日新聞6月27日 https://www.asahi.com/articles/ASR6W3JM2R6RUTIL02Q.html


しかし、特例法は、身体違和が耐えがたい性同一性障害の人のうち、性別適合手術を終えた人が生きやすくするための法律です。法的性別を変更したいから手術をするのではなく、望んで受けた後に生活のために戸籍の性別も変えるのです。過去、知的障害者らにされた「断種手術」とはまったく違います。法的な性別を変更した当事者は、「手術要件があるからこそ社会から信頼される根拠になっている」と実感し、かつ公に主張しています。

 違憲の余地はありません。


 万一、特例法の手術要件が違憲と判断されると、男性器があるままの法的女性が現れます。性別が変わった後に「生物学的には父となる女性」「生物学的には母となる男性、出産する男性」もあることにもなります。

 法的女性となれば、女子トイレはもちろん女湯などあらゆる女性スペースに男性器のあるまま入れる権利があることになります。手術要件をなくしてしまった諸外国と同様に、社会的に大きな混乱が起きることは明白です。

 法を改正することは不適切です。


○ よって、最高裁判所にあっては、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の「性別適合手術の要件」につき違憲判決を下さないよう求め、各政党にあっては、この要件を外す法案を提出しないように求めます。


■ マンガですぐ分かる!
https://gid-tokurei.jp/pdf/comic.pdf
『今、目の前に迫る危機』手術無しで性別を変えられる?



■ 漫画チラシをポスティングなどしてみようという方は、ぜひご連絡ください。

漫画チラシをお知り合い等に渡す、各戸にポスティングしていただく場合は、200枚単位で無料送付もいたします。ご協力いただける方は、送付先のご住所・お名前・希望枚数を

save@womens-space.jp(女性スペースを守る会)

へメールでお送りください。「漫画チラシの送付希望」というタイトルでお願いします。

※局留めも可能です。希望される方は郵便局の住所と名称、それにご自身の氏名をお知らせください。局留めの場合は受け取りの時に身分証明が必要ですので、本名でないと受け取れません。

※頂いた住所・氏名など個人情報の秘密は厳守致します。


■ 郵送での署名も受け付けております。

署名チラシのダウンロードはこちらのURLから。

https://gid-tokurei.jp/pdf/shomei.pdf



■ 連絡先

女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会

 【E-mail】 info@gid-tokurei.jp

 【FAX】 046-263-0375

 【WEB】 https://gid-tokurei.jp

 【郵送先】 〒242-0021 神奈川県大和市中央2-1-15-5階 大和法律事務所内


■ SNS

性同一性障害特例法を守る会
 https://gid-tokurei.jp
 https://note.com/gid_tokurei

女性スペースを守る会
 https://womens-space.jp/
 https://note.com/sws_jp

平等社会実現の会


白百合の会
 https://note.com/morinatsuko

性別不合当事者の会
 https://note.com/ts_a_tgism/

性暴力被害者の会
 https://reliefkids.wixsite.com/---------victim-surv
 komaken602@gmail.com

No!セルフID 女性の人権と安全を求める会
 https://no-self-id.jp/wrws/
 no.self.id.jp@gmail.com


【署名活動およびエール(寄付金)の経費精算についてのご報告】

2023年11月12日配信 経過報告

求署名にご協力いただいた皆様、こんにちは。
女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会です。
署名活動およびエール(寄付金)の経費精算についてのご報告をいたします。

このたびの署名につきまして、数多くの署名に加え、エール贈呈者様 813名、また、銀行振込9名と、たくさんのエールをありがとうございました。

【経費報告】
 エールは署名サイトからのほか、銀行振込も合わせて 計 1,557,400円をいただきました。
署名サイトの手数料を控除し、当連絡会へ1,142,136円が入金されました。
そのうち1,026,183円を経費として使用し、残金合計 115,953円となります。
残金についてはロビイング用の小冊子を作成し国会議員を中心に配布する予定となっておりますので、そちらの費用にも充てさせていただきます。

以下、署名活動の経費内訳です。

コピー代 ¥214,630
印刷代 ¥225,576
郵送費 ¥124,232
交通費 ¥293,094
通信費 ¥51,810
物品購入費・その他雑費 ¥116,841
合計 ¥1,026,183
残金 ¥ 115,953


【活動報告】
署名活動は、2023年8月10日から始まり、第一次集約を2023年9月26日、署名終了を2023年10月24日とし、最高裁には署名の2度の提出行動・要請行動を行いました。
また、これに基づいた記者会見を計3回、さらに政党あての活動を随時行いました。

署名数は、オンライン署名19,756名、紙署名346名を含め、合計で20,102名です。メッセージは非公開分も含め7,261名の方からお寄せいただきました。これも最高裁裁判官と、国政政党すべてに提出しました。

紙署名チラシ54400枚、漫画チラシ26400枚を希望者など各所に郵送し、ポスティングなどで配布して頂きました。また、有楽町の街頭で計3回、チラシの配布を行いました。これは世論を盛り上げるため、またその世論の動きを議員らに伝えるためです。


【活動の結果】
 最高裁あての署名の目的「手術要件を合憲とせよ」ということに至らず、思い通りの判断をいただくことはできませんでしたが、特例法の5号の外観要件については違憲と確定せず、高裁へ差し戻しとなりました。しかしながら、女性スペースの重要性は少しずつメディアにも出るようになり、この問題に気づいてくれる方が増えてきました。ようやく国民的な関心事になってきたと実感しております。

 連絡会は、こちらで見られる2023.10.30付の連絡会の声明にある考えであり、10個の活動などを提起しています。これからも国民的な議論を進めて参ります。

 様々なご協力を誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

2023.11.10 女性スぺースを守る諸団体と有志の連絡会

https://voice.charity/events/534
最高裁判所にあっては、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の「性別適合手術の要件」につき違憲判決を下さないよう求め、各政党にあっては、この要件を外す法案を提出しないように求めます。


すでに報道などで周知のことと思いますが、2023年10月25日、最高裁判所大法廷は、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(以下特例法)について、その3条4号の「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠くこと」(以下不妊要件)について違憲とし、また3条5号「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること」(以下外観要件)については憲法判断をせずに、審理を広島高裁に差し戻しました。

まったく不当な判決ですし、また、この結果だけ見る限り、違憲となった不妊要件と、現状では未判断の外観要件との間の整合性を考慮していない、異常な決定であると言えるでしょう。裁判官のうち三名は外観要件も違憲という反対意見を述べており、広島高裁で外観要件も違憲という判断が出かねない状況です。

まさに「司法の暴走」と呼ぶべき異常事態です。国民の間では、この手術要件の撤廃についてはいまだしっかりとした議論もなされておらず、女性を中心に「男性器のある法的女性が、女性の領域を侵略する!」という恐怖と危惧の声が強く上がってきています。最高裁には残念なことに、このような声が全く届いていないようです。

今までは手術要件があるために、特に男性から女性への性別移行者(MtF)については、「戸籍性別が女性なら、男性器はない。だから女性スペースに入ったとしても、性被害の可能性が少ない」というかたちで、性別移行者の立場の理解の上に黙認・容認されてきたわけですが、この決定は大前提を崩す、極めて過激な判決です。

問題は実のところ、性的少数者の権利だけの問題ではないのです。性的少数者とそうでない人々との、それぞれの権利の尊重と調整の問題なのですが、この判決では特に女性の立場を軽視する論調が目立ちます。公平と正義を旨とする裁判官が、こんな軽率な判断をしていいのでしょうか?

実際、女性スペース・女性の権利と、性別移行者の人権の間での、個々個別の調整に関する議論はまったく不十分なものに過ぎません。女子スポーツについては、国際的な競技団体では「少しでも男性の思春期を経験した者は女子スポーツに参加できない」という、戸籍性別とはまったく無関係の「性別基準」が設けられています。「法的性別」は「すべて完全に生得的女性と同じ権利」であるとはけして言えないものであり、その法的女性の権利とは、個々個別の問題についての丁寧な議論と同意を以てしてしか、しっかりと調整できないものであるのです。

しかし、このような丁寧で開かれた議論はいまだありません。そのような状況で「戸籍性別と、身体的な性別特徴」とを分離することを法が認めるのならば、今まで漠然と「法的女性は女性」としてきた「社会的区分」が、個々個別の合意として一つ一つ論を立ち上げていかなければ、到底女性の権利と法的女性の権利とを調和させることはできないのです。このような責任は、けして裁判官が負うことができるようなものではないのです。

現在の日本には、まだ「手術要件」を外す社会的条件は整っていないのです。同様に、今回不妊要件と外観要件を別途に扱う判断がなされましたが、これも性別適合手術の現実からは、かけ離れた空論です。

外観要件に従って、陰茎を切除したが、陰嚢がある状況は、「女性としての外観を備えている」と言えるのか?

こう考えてみれば、不妊要件と外観要件を分離すること自体、机上の空論であることは明らかです。このような空疎な議論は、海外の性別移行手術の「常識」に通用するようなものではないのです。もし、この決定通りに不妊要件と外観要件を分離するとしても、MtF (男性から女性へ)の場合には、現実的な手術の術式の問題として、「外観要件を満たすためには、不妊要件も自動的に満たすことになる」か、あるいは「外観要件も違憲だ」という主張の根拠に使われるか、どちらかしかないのです。

またさらに、「専門医による診断」も、現実には極めて大きな問題があります。「一日診断」と呼ばれる、患者の言いなりで15分ほどの形式的な診断で、性同一性障害の診断書を発行するというモラルを欠いた医療が横行しているのです。これでは、「自分は性同一性障害?」と悩む当事者の救いとはならないだけでなく、医療側の「儲け主義」から安易に手術を勧めたり、また本来のガイドラインから外れたような性同一性障害ではない人がホルモン療法や国内外で手術をしてしまい、数年後あらためて後悔するということさえ普通に起きています。
この「一日診断」が当事者の利害と一致するかに見えて、実は正反対の極めて危険な医療モラルの崩壊でしかないのですが、さらにこの診断書を「お墨付き」であるかのように振りかざす、女性に危害を加える犯罪者さえ登場している(注1)のが現実です。まさに「性同一性障害の診断書」の医学的な信頼性はまったくないのです。このようなモラルの崩壊を裁判所は肯定するのでしょうか?

診断書が信用されるためには、診断の厳格化が必須です。同時に性犯罪や暴力犯罪の過去歴がある場合には、性別移行を認めない。移行後に性犯罪を起こした場合などは、性別移行の取消を含む処分を新設する。あるいは、性犯罪傾向を見逃した専門医の責任を追及し処罰する制度など、しっかりとした診断と医療を保証する体制を作らないことには、そもそも自己責任な「美容手術」でしかないと批判されるほどの信頼性を欠いている現実を、野放しに肯定するだけになってしまいます。

このように、現実の性別移行の社会環境は、ハッキリ言って無責任なものでしかないのです。このような状況で性別移行条件を緩和することは、逆に真面目にガイドラインに沿った診断を受け、ガイドラインに沿って性別移行のプロセスを踏んで、その上で社会に埋没する善良な性別移行者も、「性犯罪者と変わらない異常な人々」とみなされるような、特例法以前の状況に逆戻りするのは、火を見るより明らかです。
今年に入って、この問題が少しづつ取り上げられるようになったことが悪い刺激になったのか、「女装して性犯罪を犯す」人たちの事件が多数報道されるようにもなりました。まさに「性犯罪者の言い訳」に、性同一性障害が使われるという、真面目な当事者にとっては不面目極まりない自体がすでに起きています。
まさに、この性別移行条件の緩和は、性別移行者の人権の尊重ではなく、逆に性別移行者への偏見と迫害を正当化するような、悪影響しかないとまさに当事者は危惧しています。実際、「特例法が諸悪の根源だ」として、特例法自体の廃止を叫ぶ団体も活動を始めています。私たちがせっかく勝ち取った「性別移行の権利」が、その権利を悪用する人たちと、「かわいそうだから」で無責任に緩和しようとする「善意の人々」によって、台無しにされる瀬戸際なのです。

このような「性別移行条件の緩和」を、現実的な法運用の場面で許さないように、引き続き私たち当事者は訴えていきます。どうか皆さま、私たちの立場をご理解いただき、引き続きご支援を賜りますよう、また異常な判決を下してしまった最高裁に対する強い抗議の声を上げていただきますよう、性同一性障害当事者としてお願いいたします。

以上をもって、声明とします。
2023年10月26日
性同一性障害特例法を守る会

参考
(注1) 振り袖に“墨汁” 被告の男が起訴内容認める 弁護側「性同一性障害で晴れ着に強い憧れ」 福岡地裁支部https://yotemira.tnc.co.jp/news/articles/NID2023042717580
本声明のPDF
最高裁の違憲判決への声明_2023年10月.pdf

最高裁の違憲判決への声明

性同一性障害特例法を守る会

2023年10月26日 13:23




性同一性障害特例法を守る会 美山 みどり

またもやおかしな司法判断がなされてしまいました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240710/k10014507081000.html
とはいえ、これは昨年の最高裁での特例法手術要件の不妊要件の違憲判断を受けて、広島高裁での差戻審の決定ですから「もう一つの手術要件である外観要件は、どうなるのか?」と私たちも注視してきた裁判なのですが…

ある意味「逃げた」決定になります。

さすがに「外観要件は違憲である」という判断まではしません(「違憲の疑いがある」とは言っています)が、性ホルモンによる治療を通じて、男性器が委縮しているから戸籍性別変更を認める、という決定を下してしまったのです。

事実審である差戻審において、改めて「外観要件を(異例ながら)満たしている」と判断したことによって、とりあえず私たちにとっての最悪のケースである「外観要件の違憲判断」をするだけの踏ん切りは、裁判官にもつかなかったようです。

当事者にとっても困った司法判断

もちろん、この判断には大きな問題があります。こんな玉虫色決着では、女性たちの「男性器のある法的女性が、女性スペースに侵入してくる!」という恐怖を鎮めるどころか、かえって女性たちに大きな脅威を与えることにもなります。まさに、更なる「文化戦争」を裁判所が煽ることになりました。

女性たちの心配はもちろんのことです。ですから、私たち今まで手術を受けて社会に受け入れられてきた戸籍性別変更組にとっても、

それじゃあ、戸籍性別というもの、身分証明書の性別というものの、信頼性がなくなる。自分たちも見た目があまり女性的ではないことから、「ホントは男性器があるのでは?」と疑われた時に、身分証明書の性別での証明ができなくなる!!

という新しい脅威が生まれてしまったのです! 今までは戸籍変更組は「男性器がない」ということを戸籍性別によって証明することができたのです。それが今後は保証されないことになります…。これは由々しい事態です。これによって困るのは、見た目に男性的な部分を残す手術済の MtF なのです。まさに一番「苦労する」人たちを、さらに生きづらくするトンデモない判断なのです。

実際、今までは手術さえしていれば、女性たちもそれほど強く女性スペースの利用を拒みはしなかったのです。しかし、見た目が男性的な「女性」が女性スペースに侵入して、性加害の不穏な動きをした時に、身分証明書の「女性」を提示して女性たちを黙らせようとするのならば、女性スペースは崩壊してしまいます。そのとばっちりを受けるのは、手術済の「パス度の低い」MtF なのです。そうなれば、

少しでも見かけが男性的だったら、即通報!

が女性たちにとって女性スペースの安全を守るために取らざるを得ない手段になります。荒んだ空気すら生み出しかねないですが、女性らからすれば致し方ない面があります。

難しくなった特例法改正論議

さらに言えば、現在不妊要件の違憲判断を受けて、特例法の改正論議が始まりつつあります。しかし、この判断はその中途半端さゆえに、事態を複雑化させ、収拾をつけることを難しくしています。

「どこまで男性機能を無効化したら、戸籍性別変更を認めることができるのか」のライン引きがない。

もちろん今まで、こんな医学的研究はなされていません。どこまでホルモン治療したら、不可逆的に機能が無効化するのかを研究するのは「非人道的な研究」と誹られても仕方のないことでしょう。研究もされていないことを、誰が判断できるのでしょうか?

私(美山)の経験から言えば、女性ホルモンによって言うほど男性器が委縮したか…というと、そんなこともありませんでした。個人差が大きいものでありますが、女性ホルモンを長年投与していても、全然勃起しないわけでもありませんし、男性機能が完全になくなる、というのも難しいものがあるというのが正直な印象です。ましてや、一旦女性ホルモンを止めたらどうなるか、どこまで復活するかという面でも、なかなか難しいというのが実体験からの意見になります。

誰がそのラインを判定するのか?

泌尿器専門医でしょうか? 確かに現状でも、特例法で戸籍性別を変更する際には、泌尿器科医による診断を経て、性器が「異性に近似する」ものであることを確認することになっています。これは私(美山)のケースですが、実は手術証明書を持って行っただけで、紹介された泌尿器科医は診察せずに診断書を書いてしまいました。現在かなり診断さえも形骸化しています。
そんな状況下では、手術なしで認めろ、とするケースでは、診断と共に写真による判断も必要となるのではないのでしょうか。その場合、裁判官はどのような基準で判断するのでしょうか?

誤った判断をした場合にどうするか?

もし、戸籍性別を変えたあとで、女性ホルモンの投与をやめ、あるいは男性ホルモンの投与を受けることで、男性機能が復活させることは、その「女性化の程度」によっては可能であるかもしれません。そして男性機能を使った性犯罪を起こした場合に当人が処罰されるのは当然ですが、そんな審判をした責任を誰が取るのでしょうか? 診断をした医師でしょうか? 審判を行った家庭裁判所の裁判官でしょうか? ライン引きについて誰が責任を取れるのでしょうか?
私たちは当事者として、戸籍性別変更の取消などの制度が必要ではないか、という提言をしようと考えております。その場合に、誤った診断を行った医師の責任追及も可能にすべしと考えています。

「性同一性障害」の診断書

さらに言えば、現在、戸籍性別を変更するために家庭裁判所に提出する性同一性障害の医師の診断書は、医師であれば誰でも書けてしまいます。なんら専門的な知識のない町医者であっても、家庭裁判所に出す診断書が書けてしまうのですね。
今までは事実上、手術という事実に基づいて審判がなされてきたと言っても過言ではないのです。手術という事実があるからこそ、さほど診断書を書く資格が重要視されていなかったとも言えるのです。
ここで手術要件がいい加減になってしまえば、診断書の重要性は格段に上がり、そのために厳格な運用が求められるのです。しかし現状ではまだそのような体制は、性同一性障害の専門医を集めた日本GI学会(旧GID学会)でも作られていません。ならば、この体制ができるまでは、現実的な特例法の運用として、手術済の人については従前どおり
手術をせずに戸籍変更したい場合には、複数の専門医による厳格な診断と移行状況についての専門的な検討の上、学会での倫理的な審査による承認の元にしか、診断書を発行してはならない


というようにでもしなければ、公平な運用は不可能と思われます。

女性スペースの利用

女性スペースの運用については、現在「女性スペースについての法律」が検討されており、それによって身体ベースでの女性スペースの運用がなされるべきです。言い換えると、戸籍性別が女性であったとしても、手術していなければ女性スペースは使えない、という大原則は動かさないように、法の上で明言すべきです。

ですので、事実上、この戸籍性別変更の使い道は、

同性婚にならずに元の同性パートナーと婚姻できる

という程度しかないことになるでしょう。もちろん女子スポーツについては、各競技団体の判断にゆだねられますが、多くの国際的な競技団体が「少しでも男性思春期を経過していれば、女子スポーツへの参加は認められない」という合理的な基準を採用していますので、これは戸籍性別とはそもそも無関係です。

以上のように、この高裁決定は、特例法の改正論議を複雑化させ、問題をややこしくしています。かなり慎重な議論とあらかじめの医療・診断体制の確立がない状況では、特例法の改正を難しくし、さらにはその運用をほぼ不可能なものに変えてしまいました。

私たちの提言

なので、私たちはこのように提言します。女性スペースを守る法律を早急に作り、身体ベースでの女性スペースの利用を明言して定めよ。
GI学会は、手術なしでの男性→女性への戸籍変更のための診断書発行を、ちゃんとした診断基準ができるまでは停止する。そして、正規の専門医資格制度ができるまでは、GI学会で個別に検討されて認められたもの以外の診断書を、家庭裁判所は有効な診断書として受け付けないように求めよ。
GI学会は、いわゆる「一日診断」として、専門医でもない開業医が商業的に真っ当な診断もなく発行している性同一性障害の診断書について、効力を持たないことを宣言せよ。


私たち当事者の願いは、性別移行を後悔なく、周囲と協調しつつ行えることです。

戸籍性別の変更を簡易にすることは、一見それが当事者の役に立つように見えて、実は自分の周囲の人々や社会との軋轢を生み、また「気軽に」性別変更をしてしまって後悔する人を量産し、また性犯罪者に口実を与える危険な行いです。

さらにこの簡易化が「じゃあ、医療なんてどうでもいい」とタダの美容手術化を推し進めることを助長して、私たちが求めるようなエビデンスを重視した充実したジェンダー医療を、専門医が追及することを阻害する可能性が高いのです。そうなればこの判決は「いい加減なジェンダー医療」を蔓延させるきっかけにしかならないのです。

このような愚かな未来を選択しないように、皆さまに成り行きを注意するように訴えます。

以上

広島高裁差戻審決定を批判する
性同一性障害特例法を守る会

2024年7月10日 18:46


手術要件の撤廃に反対派「強く抗議」

性別変更における手術要件の撤廃に反対している「女性スペースを守る会」は「女性ホルモンの影響で萎縮などしていても『男性器ある法的女性』であり、強く抗議する。ただ外観要件は維持されたので、何ら医療的な措置をしない男性が法的女性になる道はない。その点はよかった。何より重要なのは、特例法とは別に男性器がある限りは女性スペースの利用はできないとする法律を作ることだ」とコメントしています。

また、性同一性障害の当事者でつくる「性同一性障害特例法を守る会」は「私たちは心から手術を求め、それゆえに法的な性別の変更は世論から信頼されてきた。この判決の基準のあいまいさが社会的混乱を引き起こし、今後の特例法の改正論議に悪影響を及ぼしそうだ。すでに戸籍上の性別変更をした当事者の声を聞くべきだ」とコメントしました。

男性から女性 戸籍上の性別変更 手術なしで認める決定 高裁

2024年7月10日 17時46分


27日に行われた最高裁裁判官国民審査について、総務省が28日、結果を発表した。対象の裁判官6人は全員信任され、解職はなかった。【特設サイトはこちら】2024年最高裁判所裁判官国民審査


 約5572万人の投票があり、投票率は53・64%(前回55・69%)だった。×印が有効票の半数を超えると解職され、何も書かなければ信任と扱われる。×印の割合(罷免(ひめん)率)が最も高かったのは最高裁長官の今崎幸彦氏、最も低かったのは9月に就任した中村慎氏だった。2003年以降の国民審査で罷免率が10%に達した裁判官はいなかったが、今回は4人が超えた。国民審査は今回で26回目。罷免率がこれまで最も高かったのは15・17%で、半数を超えて解職された裁判官はいない。

 最高裁裁判官は、任命後初めての総選挙の際に審査を受けると憲法で定められている。今回対象となった6人は、前回衆院選があった21年10月以降に任命された。(遠藤隆史)

「×」印がついた票の数

※()内は有効票に占める割合。告示順、敬称略

①尾島明(66) 裁判官出身 598万11票(11・00%)

②宮川美津子(64) 弁護士出身 571万5535票(10・52%)

③今崎幸彦(66) 裁判官出身 622万9691票(11・46%)

④平木正洋(63) 裁判官出身 541万9857票(9・97%)

⑤石兼公博(66) 行政官出身 543万9056票(10・01%)

⑥中村慎(63) 裁判官出身 533万5897票(9・82%)

https://www.asahi.com/articles/ASSBX3SB1SBXUTIL00MM.html
最高裁裁判官の国民審査、解職なし 長官ら4人が「×」10%超

国民審査

遠藤隆史2024年10月28日 20時44分


27日投開票の衆院選と同時に行われた最高裁裁判官の国民審査の投票結果で、対象の6人全員が信任された一方、有権者が罷免を求める「不信任率」が10%を超えた裁判官が4人いた。10%を超える裁判官が出たのは平成12(2000)年以来、約四半世紀ぶりで異例。4人のうち2人は、性同一性障害をめぐる訴訟での重要な判断にかかわっていた。 中央選挙管理会の28日の発表によると、不信任率が10%を超えたのは今崎幸彦長官11・46%、尾島明氏11・00%、宮川美津子氏10・51%、石兼公博氏10・00%。近年はひと桁台で推移しており、10%超えは12年の1人以来、24年ぶりとなった。 このうち、今年8月から長官を務める今崎氏は、最高裁が昨年7月、性同一性障害により女性として暮らす経済産業省職員に対する省内の女性用トイレの使用制限について、使用を制限するのは「違法」とする判断を示した際の裁判長だった。 また今崎、尾島両氏は、最高裁が昨年10月、性同一性障害をめぐり戸籍上の性別を変更する場合、生殖能力をなくす手術を必要とする法律の規定について、裁判官15人が全員一致で「違憲」との初判断を示した際の裁判官だった。 国民審査の不信任率をめぐっては、令和3年の前回衆院選と同時実施された際、対象裁判官11人のうち、夫婦別姓を認めない法の規定を「合憲」とした4人に罷免を求める「×」の票が多く投じられたが、最高でも7・82%だった。 国民審査は有権者が辞めさせたい裁判官の欄に「×」印を書き、有効投票の過半数となった裁判官は罷免される仕組み。今回で26回目で、昭和24(1949)年の第1回以来、前回までに延べ190人が審査を受けたが、罷免された裁判官はいない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/97518686da267636646496756298c9c73dc6661f
最高裁裁判官「不信任率」異例の10%超え4人 国民審査、2人は「ジェンダー裁判」関与

10/30(水) 11:42配信