LGBT法は16日の参院本会議で、自民党と公明党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決、成立した。「女性や女児のリスク」や「教育現場の混乱」「新たな公金利権スキーム」「皇室の危機」「米国の内政干渉」などが懸念されるなか、自民党議員3人が採決時に退席した。その一人、青山繁晴参院議員に思いを聞いた。
「私は記者時代、性犯罪の取材もしたが、被害者には『一生の傷』になる。立法府として(女性のスペースを守る)十分な備えができていない。学校現場の混乱も避けられない。女性のため、子供たちのため、LGBT当事者を含めた日本社会全体と、自民党が健全であるために賛成票は投じられなかった。正しい選択と考えて退席した」
青山氏は、こう語った。
自民党の山東昭子前参院議長と、和田政宗議員も退席したが、党内には当初、「行動をともにしたい」という議員が16、17人いたという。
青山氏は、党の部会で「賛成少数、反対多数」にもかかわらず、部会長らに一任という結論を強引に取り付けた手法について、「自民党の民主主義を内部から壊している」と指摘した。
十分な国会審議も行われないままに法制化へ至ったことについても、「推進派議員が『審議をしっかりやると、いろいろな問題が噴き出てきて手が付けられなくなる』と発言していた」と明かした。
自公案の「性同一性」という言葉が、英語の「ジェンダーアイデンティティ」と修正されたことも、「日本国民が今までほとんど使ったことがない言葉だ。わざわざカタカナに置き換えたことも『政治的ごまかし』に受け取られる」と懸念した。
自民党が、LGBT法の成立を急いだ背景には岸田文雄首相の意向があったとされる。岸田首相は13日、衆院解散について突然、「情勢をよく見極めたい」と〝解散風〟を煽り、15日に「今国会での解散は考えていない」と打ち消した。
青山氏は「党幹部からも『解散権をもてあそんだ』という批判が漏れている。LGBT法への対応も、党議拘束もあったから表面化していないが、党内に生じた岸田首相への疑念は深刻。すごく深くて大きいと思う」と語った。
今後、LGBT法にどう対峙(たいじ)するのか。
青山氏は「施行して、何事も(問題が)起きないということはほぼあり得ないと思う。いったん成立した法律を改正したり、その法律を無くしたりするのも立法府の務めだ」といい、チェックし続けることを誓った。