地位利用第三者児童虐待防止法案(通称)について
○ 先般、ジャニーズ事務所創設者による児童への性加害が報じられる
等、児童に対して、経済的又は社会関係上の地位に基づく影響力を行使
する立場にある大人が、その立場を利用して性暴力やわいせつ行為を
行うことがある。
○ もとより児童に対する性犯罪は、刑法や児童福祉法、各都道府県の健
全育成条例等で処罰の対象とされている。しかし、強い影響力を行使す
る立場にある大人からわいせつ行為を受けた場合、児童は他者に助け
を求めることが難しく、被害が発見されづらい傾向がある。
○ 児童虐待防止法は、「児童虐待」の行為主体を「保護者」に限定して
おり、上記のような第三者からの性暴力やわいせつ行為は「児童虐待」
に該当せず、同法に規定する施策の対象にもならない。
○ しかし、芸能事務所のみならず、一般企業や学校(部活動等を含む。)
など、児童を取り巻く環境において、その地位を利用した第三者による
性暴力等も、児童の心身を深く傷付けるものであることに変わりがな
い。
〇 このため、児童虐待防止法を改正し、経済的又は社会関係上の地位に
基づく影響力を有する第三者が行う児童に対するわいせつな行為等を
新たに「第三者による地位利用児童虐待」と定義するとともに、発見者
に警察への通報を義務付けること等により、これらの者が行う虐待の
未然防止・早期発見につなげるための措置を講ずる必要がある。
○ なお、地位を利用した第三者による性暴力やわいせつ行為を児童虐
待防止法が規定する通報義務や施策の対象とする本法律案の内容は、
児童に対する性犯罪の抑止や早期発見を促すものであり、現在国会で
審議が進められている、「性交同意年齢」を13歳から16歳に引き上げる
刑法改正案が成立した場合の実効性を更に高めることにも資するもの
と考えている。