「キナ臭い」「裏がある」公安調査庁HPから消えた国際テロ組織担当者に真意を聞いてみた.法相「明らかにおかしい」公安調査庁の「国際テロ組織」削除巡り在トルコ大使館も釈明.「国際テロ組織」ページ削除公安調査庁「誤解招いた」PDF魚拓MEGA


「ミャンマーの項目が消えたぞい」「PKKのページがない?」―。公安調査庁がホームページなどで公表する「国際テロリズム要覧」で「テロ組織」として挙げていた情報が大幅に削除され、X(旧ツイッター)で憶測を呼んでいる。同庁によると、11月24日にウェブ版を更新したことで、複数の「テロ組織」に関する情報がなくなったという。世界各地で紛争が相次ぐこのタイミングでなぜなのか。ミャンマーの少数民族ロヒンギャの取材を続ける上毛新聞も同国の治安情勢を注視しており、広報担当者に真意を尋ねた。

 国際テロリズム要覧は、国際テロリズムの潮流や組織の実態を把握し整理するため、公安調査庁が1993年から発刊している。今年9月下旬、通算で第20版となる2023年版を発行した。24日に更新されたのがこのウェブ版だ。

 最新版の内容を22年版と比較すると、「主な国際テロ組織等の概要及び最近の動向」と題した項目では、トルコでクルド人の民族自決を掲げる「クルディスタン労働者党(PKK)」やレバノンを拠点とする「ヒズボラ」の情報が削られた。「世界の国際テロ組織等」では、ガザを実効支配するイスラム組織「ハマス」を含むパレスチナの個別組織や、ミャンマーに関する項目が丸ごとなくなっている。

 これを受け、Xでは「キナ臭い」「なぜ消したのか」などの疑問が続出。「理由を問い合わせたが、説明がない」といった投稿もあり、「裏があるのでは」といぶかしむ向きもある。

 各地で紛争が頻発するこのタイミングでなぜ、「テロ組織」に関する情報が消えたのか。27日に同庁に電話取材を試みると「問い合わせが殺到し、回答には時間がかかる」とのこと。日を挟んだ29日朝に折り返しを受けた。

 広報はそもそも公安調査庁として「国際テロ組織を指定する制度はない」とした上で、大幅削除の理由について「情報出典元を改めたため」とした。23年版から記載内容を国連安保理決議第1267号に基づく制裁リストに準拠したという。従来は海外のシンクタンクのレポートなどを出典としていたが「どのような基準なのか」という問い合わせもあり、「基準を明確に分かりやすく、との方針の下で23年版を発行した。ウェブ版の更新がこのタイミングとなり、話題になったのではないか」(担当者)としている。

「キナ臭い」「裏がある」 公安調査庁HPから消えた国際テロ組織情報 担当者に真意を直接聞いてみた

政治行政 社会

公開:2023/11/29 17:00


公安調査庁がホームページなどで公表する「国際テロリズム要覧」を巡り、「テロ組織」として挙げていた情報が大幅に削除された問題で、同庁は6日、「政府の立場について誤解を一部招いた」として、該当ページを削除したことをホームページ上で明らかにした。「主な国際テロ組織等」については2022年版を参照するように呼びかけている。

【関連記事】

「キナ臭い」「裏がある」 公安調査庁HPから消えた国際テロ組織情報 担当者に真意を直接聞いてみた

 国際テロリズム要覧は、国際テロリズムの潮流や組織の実態を把握し整理するため、公安調査庁が1993年から発刊する。今年9月下旬、通算第20版となる2023年版を発行し、11月24日にウェブ版を更新。これに伴い、「主な国際テロ組織等の概要及び最近の動向」の項目からは、トルコでクルド人の民族自決を掲げる「クルディスタン労働者党(PKK)」やレバノンを拠点とする「ヒズボラ」が削除された。「世界の国際テロ組織等」の項目ではガザを実効支配するイスラム組織「ハマス」を含むパレスチナの個別組織の情報がなくなった。「地域別テロ情勢等」からはミャンマーの項目が消え、同国の少数民族武装勢力に関する情報も削られた。

 公安調査庁広報はこれまでの上毛新聞の取材に対し、「そもそも公安調査庁として国際テロ組織を指定する制度はない」とした上で、大幅削除の理由について「情報出典元を改めたため」と説明した。従来は海外のシンクタンクのレポートなどを出典としてきたが、23年版から記載内容を国連安保理決議に基づく制裁リストに準拠したという。

 日本政府として「国際テロ組織」を認定する制度の有無について尋ねると、「すべての法令に通じているわけではなく、コメントを差し控える」(担当者)とした。一方、警察庁のホームページによると、国際テロリスト等財産凍結法の「公告国際テロリスト」には、現時点でPKKとハマスがともに掲載されている。

 この問題を巡っては、トルコメディアが相次いで報じるなど、国外でも注目されていた。

「国際テロ組織」ページを削除 公安調査庁「誤解招いた」

政治行政

公開:2023/12/6 21:09

公安調査庁がホームページなどで公表する「国際テロリズム要覧」2023年版から昨年版まで「テロ組織」として挙げていた情報が大幅に削除された問題を巡り、小泉龍司法相は7日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するハマスがリストから外れたことについて「明らかにおかしい。大至急、正しい道に戻るよう方策を採ろうとしている」と参院法務委で語り、政府としての不備を認めた。一方、トルコでクルド人の民族自決を掲げる「クルディスタン労働者党(PKK)」に関する情報削除を巡り、在トルコ日本大使館は6日、公式ホームページで「日本政府は2002年以来、PKKをテロ組織に指定しており、その点について何ら変更はない」とするトルコ語の釈明文を掲載した。

【関連記事】

「国際テロ組織」ページを削除 公安調査庁「誤解招いた」

 国際テロリズム要覧は、国際テロリズムの潮流や組織の実態を把握し整理するため、公安調査庁が1993年から発刊する。今年9月下旬、通算第20版となる2023年版を発行し、11月24日にウェブ版を更新。これに伴い、「主な国際テロ組織等の概要及び最近の動向」の項目からは、トルコでクルド人の民族自決を掲げる「クルディスタン労働者党(PKK)」やレバノンを拠点とする「ヒズボラ」が削除された。

 「世界の国際テロ組織等」の項目ではガザを実効支配するイスラム組織「ハマス」を含むパレスチナの個別組織の情報がなくなった。「地域別テロ情勢等」からはミャンマーの項目が消え、同国の少数民族武装勢力に関する情報も削られた。

 一方、警察庁のホームページによると、国際テロリスト等財産凍結法の「公告国際テロリスト」には、現時点でPKKとハマスがともに掲載されている。

 小泉法相は、要覧からのハマスの情報削除を巡り、鈴木宗男参院議員の質問に答えた。PKKを巡っては、トルコ国内で相次いで報道され、日本の対応に批判が出ていた。公安調査庁は6日、該当ページを消去したことをホームページで明らかにした上で、「主な国際テロ組織」については22年版を参照するよう呼びかけている。

《7日の小泉法相の答弁要旨は以下の通り》
 全く申し訳ない。おわびを申し上げながら説明する。22年の要覧は従来の形で、232団体を掲示した。63団体は、国連安保理が設置したテロ制裁委員会の指定を受けている組織で、それに米国や欧州連合(EU)の理事会が指定する169団体を加え、計232団体だった。これに対し、「なぜテロ組織としているのか」あるいは「していないのか」といったさまざまな問い合わせが集中し、(公安調査庁の)事務方が基準の明確化を考えた結果、国連安保理指定の63団体のみ掲示するとの結論になった。その(外れた)中にハマスが入っていた。ハマスは日本政府が財産凍結の対象にしている組織であり、それが外れるというのは明らかにおかしい。とにかく今、大至急整備しながら、正しい道に戻るよう方策を採ろうとしている。

法相「明らかにおかしい」 公安調査庁の「国際テロ組織」削除めぐり 在トルコ大使館も釈明

政治行政

公開:2023/12/7 17:27