監禁伝道に関与した牧師たちが利用したメソジストの方法とは岩本龍弘岩本龍弘2024年9月30日 13:28PDF魚拓


統一教会の信者を拉致監禁した上で強制改宗させる際、牧師たちは統一教会の「原理講論」の間違いを指摘しながら、信者を精神的に追い詰めていった。このようなやり方の根底には、メソジストの考え方がある。



メソジストは、ルターやカルヴァンのような宗教改革者たちの考え方を否定する。ルターやカルヴァンは、長期間の悔い改めの生活を強調した。特にカルヴァンは、悔い改めが生涯を通して続くことを強調した。ところが、メソジストはそうではない。



ルイス・ベルコフという改革派の神学教師は著書の中で、メソジストの説教の方法について、次のように述べている。



「メソジズムは福音の説教におけるすべての努力をただ次の一点に集中する。それはすなわち律法を説くことによって罪人をうち倒し、彼を、言わば、深淵のがけまで引っぱって行き、その心を恐れとおののきとでみたすことであり、次いで彼を突然贖罪の栄光ある福音の前に置き、彼に、信仰によってイエス・キリストを受けいれて、永遠の破滅から救われるように説くことである。このようにキリストを受けいれる罪人は一瞬の中に、最もひどい悲惨から最も歓喜あふれる恍惚状態に、また最も深い暗やみから最も素晴らしい喜びに移るのである。この突然の転換は、救われたというなまなましい確信をともなう。」(ルイス・ベルコフ『キリスト教教理史』赤木善光、磯部理一郎訳、日本基督教団出版局、1989年、p.240)



このようなメソジストの方法は、たとえば福音派の本田弘慈師のような巡回伝道者の集会を連想させる。おそらく、日本イエス・キリスト教団などのホーリネスの牧師たちは、メソジストの説教の方法に基づいて、統一教会の信者を一瞬にしてキリスト教徒に改宗させることができると考えたのであろう。実際に荻窪栄光教会は信者を増やして実績を上げていた。



私はこのような方法には違和感を覚える。ルター派や改革派は、たとえば「ハイデルベルク信仰問答」のような教理問答を使って、一年ないし数年かけて信者を養成してきた。そんな地道な努力を無視して、メソジストやホーリネスの牧師たちは信者を横取りしてきたのだろう。家庭連合・統一教会も、「原理講論」という読み応えのある本を使って、長い期間をかけて信者を養成することに取り組んできた。



私は母と一緒に催眠商法の集会に参加したことがある。母は催眠商法の会社から高額の布団を買っていた。いったい、どんな方法を使って母が布団を買ってしまったのか知りたかった。私は憤りを覚えたが、母はその布団を買ったことに満足して喜んでいた。このような催眠商法は、メソジストの方法を利用した伝道集会に類似している。霊感商法として糾弾されるべきなのは、統一教会の方ではなく、むしろ統一教会の信者を強制改宗させた牧師たちの方ではないだろうか。

監禁伝道に関与した牧師たちが利用したメソジストの方法とは

岩本龍弘

2024年9月30日 13:28