姫路市立小学校の元教諭=懲戒免職=が、担当する特別支援学級の児童に暴言や体罰を繰り返していた問題で、被害を受けた2人の児童側が18日、市にそれぞれ1千万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁姫路支部に起こした。
原告は同小1年~4年のときに被害を受けた男児2人。校長を含む管理職が問題を把握しながら放置したとして、学校を管理する市に賠償責任があるとしている。
訴状によると、元教諭は平成30年度~令和3年度、特別支援学級の男児に「生きる価値なし」などと暴言を浴びせたほか、頭を机に押し付けるなどの暴行に及んだ。もう1人の男児には、無理やりプールに顔をつけさせるなどしたとしている。男児2人には心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状が認められたという。
提訴後の会見で、弁護団長の川崎志保氏が「被害児童への救済は置き去りにされてきた。実態を明らかにすることで、障害を持つ子供たちを守ることを考えたい」と述べた。
同席した男児の保護者は「(問題発覚前に)子供が『学校に行きたくない』と泣きじゃくったり、子供から『殺すぞ』などの言葉遣いが出るようになり、おかしいと感じた。今も後遺症が出ている」と述べた。もう1人の保護者も、学校の対応について「子供を守るよりも教師を守ろうとするように感じ、不信感しかなかった」などと振り返った。
問題をめぐっては、児童6人が被害を受けたとされ、市教育委員会の検証委員会が「管理職の不適切な対応が最も重大な問題点」などとまとめた意見書が公表されている。
姫路市の西田耕太郎教育長は「重く受け止めている。内容を精査した上で、真摯に対応してまいりたい」とコメントした。