共同親権をめぐる報道まとめ(2024年7月上旬)ありしん@共同親権反対ですありしん@共同親権反対です2024年7月13日 21:48PDF魚拓






「共同親権」の導入を柱とする改正民法などが5月17日に、国会で成立しました。この共同親権の導入をめぐって、X(旧Twitter)上では「#共同親権を廃案に」「#STOP共同親権」のタグが連日トレンド入りし、多くの反対署名が集まっていました。



これらの「共同親権への反対」がどれほど深刻で切実なものか、場合によっては子どもの命にさえ関わる事情や背景を、実は理解できていないという方も少なくないのではないでしょうか。



今回は、元夫からのDVから生後3ヶ月の子どもを連れて逃げ、約5年かけて離婚を成立させた体験を漫画化している「ねこ★はち(@8FWktKqQjlp9cXU)」さんに、お話を聞きました。離婚後も元夫に長年苦しめられているというねこ★はちさんは、共同親権への反対を主張しています。



◆「自分は子どもを連れ去られた被害者だ」



――ねこ★はちさんは元夫のDVでお子さんを連れて家を出てから、離婚が成立するまでに、約5年かかったそうですね。



ねこ★はちさん(以下、ねこ★はち)「夫は世間体を気にするので、すんなり離婚はできないだろうなと思ってはいました。なので、離婚を決めてから、すぐに女性センター(※)と警察へ相談に行き、保育園探しや就職活動をしつつ弁護士探しをしました。一人で夫と戦う自信も気力もなかったからです。(※編集部注:都道府県・市町村等が自主的に設置している女性のための総合施設)



夫は一貫して『病気の嫁が子どもを勝手に連れ出した。被害者は自分』ということを主張していました。離婚調停を起こしたのですが、不成立となり離婚裁判となりました。離婚裁判で離婚が認められたのですが、夫が上告をしたので離婚が成立するまでに約5年かかりました」



◆弁護士にまでクレームの電話を入れる夫



――ワンオペで小さな子を育てながら、裁判所に通うのはかなり大変でしたね……。



ねこ★はち「離婚調停を申し立てたら、元夫から『夫婦関係調整調停』と『面会交流調停』を申し立てられました。



裁判ではなく調停なので夫は弁護士を立てず、お金も申立てに関わる最小限の数千円程度で済んだはずです。私はそれぞれの調停で弁護士費用がかかりました。何より、働いて子どもを育てながら、複数の調停を抱えて、裁判所に通うのはとても辛かったです。



それに弁護士を立てたら立てたで、弁護士事務所には義母と元夫の両方からクレームの電話が入ったそうです。さらに元夫からは『悪徳弁護士にだまされている』と何度も連絡が来ました。かなりの費用はかかりましたが、弁護士がいなければ乗り越えられなかったと思います。

離婚から数年経ってようやく、当時の話を少しずつできるようになりました。今でも思い出すと心と体が苦しくなって、動けなくなることがあります」



◆「お父さんは話を聞いてくれない、会いたくない」



――離婚したからといって、当時の辛さや苦しみの記憶が薄れるわけではないですよね。



ねこ★はち「面会交流調停の取り決めで、子どもは隔月に1回夫と会うことになっています。夫は子どもの気持ちを無視して『一緒に○○に行きたい』『○○をしよう』と自分の意思だけで連れ回そうとします。



子どもも物心がつくようになって、夫と会うことを拒否するようになりました。『嫌だといっても聞いてくれない』『僕の話は聞いてくれない』と言っています。それでも元夫は、子どもは父親である自分のことを慕っていると思っています」



◆赤ちゃんとの面会交流に、ビー玉とおはじきを持ってきた



ねこ★はち「子どもが生後まもない頃、元夫が面会の際にビー玉とおはじきをもってきたことがあります。誤飲などの事故につながるから、持ってくるおもちゃは事前に教えてほしいとお願いをしました。子どものリスク管理などに不安があったため、面会条件には私の父親を同席、としていました。



子どもが望めば、頻度や時間を増やすことは可能だとしています。今もずっと面会には私の父が同席しています。父は遠目で見守る程度ですが、子どもは『お父さんと2人では会いたくない』と話しています。



面会日の調整も父がしてくれているので、私が元夫と直接会うことはないのですが、それでも面会日が近づくと体調が悪くなります。距離が離れて落ち着いてはいますが、いつまでも逃れられない気持ちでいます」



========



元夫からのDVで家を出てから離婚するまでに約5年かかったねこ★はちさん。離婚後も気持ちが完全に元に戻ることはありません。ねこ★はちさんのようなケースで離婚をした場合、共同親権がどのような影響を及ぼすか、次回はその懸念点について聞いていきたいと思います。



<取材・文/瀧戸詠未 漫画/ねこ★はち>



【瀧戸詠未】

大手教育系会社、出版社勤務を経てフリーライターに。教育系・エンタメ系の記事を中心に取材記事を執筆。Twitter:@YlujuzJvzsLUwkB

DVで妻子に逃げられたのに「俺は被害者だ」という夫。離婚後も続く“地獄のような嫌がらせ”<漫画>

女子SPA! / 2024年7月2日 8時47分





「共同親権」の導入を柱とする改正民法などが5月17日に、国会で成立しました。共同親権が導入されると、離婚後も子どもの生活に関わる事を父親と母親が平等に決定できるようになります。 【漫画】「シングルマザーあるある~元夫が怖すぎます」を読む 「子どもの権利を尊重できる」とされる一方で、離婚の理由が配偶者のDVや子どもへの虐待である場合、共同で親権を持つことで子どもやDV被害者に危険がおよぶ可能性があります。導入をめぐっては、X(旧Twitter)上では「#共同親権を廃案に」「#STOP共同親権」のタグが連日トレンド入りし、多くの反対署名も集まっていました。 共同親権の導入がはらむ問題点について、DV被害を受け母子避難をした体験を漫画にしている「ねこ★はち(@8FWktKqQjlp9cXU)」さんにお話を聞きました。

DV離婚の夫婦、共同親権が導入されたら起こる問題は

――離婚後共同親権が導入された場合、ねこ★はちさんが懸念していることはありますか? ねこ★はちさん(以下、ねこ★はち)「共同親権になったら、学校行事への参加や子どもの進路決定、子どもの手術時などにも元配偶者の承諾サインが必要になります。父親と母親、両方のサインがないと、受験票が提出できなかったり、学校の行事に参加できなかったりする可能性があります。 つまり元夫の承諾がもらえないと、何もできなくなるんです。何かあるたびに元夫と話し合わなくてはいけません。私のようにDVを理由に離婚した夫婦や、意思疎通が困難な夫婦で『志望校を決めるのでサインをください』と、毎回確認しなくてはいけなくなったら大変です。 自分のケースでは婚姻中のように、『どういうことか説明しろ』と高圧的な態度をとられるでしょう。『お前の説明がわからないから認めない』と言われることまで想像できます」

“元配偶者の承諾”のために、再び支配下に置かれてしまうかも

――そもそも話し合いができなくて離婚をしたのに、お子さんについてまともな話し合いができるとは思えません。 ねこ★はち「一番懸念しているのは、承諾をする代わりに交換条件を出されることです。『承諾のサインを書く代わりに、子どもとの面会時間をもっと長くしろ』と言われる可能性もあります。承諾と引き換えに、例えばセックスを強要されるケースもあるかもしれません。夫からのDVからようやく逃げられたのに、承諾をたてに再び元夫の支配下に置かれてしまう女性がいると思います。 承諾のサインをもらいに行っても、どんなに必死に訴えてもまた鼻で笑われる……。婚姻中もそうだったように、会話が成立しなくて屈辱的なことを言われる。でも承諾をもらうために我慢をしなくてはいけません。元夫に弱みを握られているような気持ちです」
夫と離れてようやく自分を取り戻したのに

――それではいつまでたっても元夫から逃げられなくなってしまいますね。 ねこ★はち「元夫と暮らしている時の私は毎日のようにバカにされ、『病気だ』と言われて、判断能力もなくしていました。夫と離れてようやく自分で動けるようになったのに、子どもが大きくなるまで、また元夫との話し合いを続けないといけないと思うと絶望的な気持ちになります……。 学校行事や進路以外にも医療関係の承諾の手続きもとても大変になりそうだなと感じています。命に関わることは単独で決められますが、入院や手術となると都度、手続きが必要です。緊急時の延命措置をどうするか? どこまでするか? など、医療関係の書類はたくさんあります。それを全て元夫と話し合わなくてはいけません。それが現実的なことなのか? 国はそこまで考えているのか気になります」

共同親権のために、死人が出るかもしれない

――「共同親権が施行されたら、死人が出るかもしれない」という意見も出ています。 ねこ★はち「喧嘩になってどちらかが刺されるという話よりも、精神的に追い詰められて死を選ぶ方が出かねないと思います。夫からようやく逃げられたのに、子どものことを決める時にいちいちお伺いをたてて説明しないといけません。精神的な負荷に耐えられないのではないでしょうか。 私も元夫と再びやりとりをしないといけないとなると、過去の自分の気持ちを思い出して具合が悪くなります。『あの人からは逃げられない』と思うと、『死んだ方がマシだな』と思うこともあります。 物理的な暴力を伴うDVがあった場合、家庭裁判所が共同親権を配慮してくれるという話もありますが、どこまで配慮してもらえるかはわからず不安です。私の場合、夫に首をしめられた記録や証言、メールが残っていますが、5年以上も前の話です。何年も経ったし、その間に夫と子どもの面会交流もあって事件もなかった。だから大丈夫と言われる可能性もあります。 モラハラや精神的なDVもありますよね。それを家庭裁判所で証明するのはとても難しいし、何年経っても今どうであっても、その傷が癒えることはないと思います」
共同親権で「連れ去り犯がいなくなる」という意見のおかしさ

――絶望的な気持ちになりますね。 ねこ★はち「共同親権のメリットがわからないというのが正直な気持ちです。共同親権に賛成している人からよく聞くのは『連れ去り犯がいなくなる』という声です。でも、話し合える夫婦の関係性であれば、子どもを連れて逃げることはないと思います。その場合は共同親権がなくても、離婚後も子どもと会うことができます。 私の両親も離婚していますが、『共同親権はあったとしても、必要はないよね』と言っています。子どもである私も、両親の共同親権がなかったことで不便に感じたことはありません。法案も可決ありきで話が進んでいるように見えますし、養育費の問題が解決していないことも気になります」

共同親権の申し立てを何度もする嫌がらせも?

――話し合いができていれば、加害者から“連れ去り”と呼ばれるような「避難」も起きていない気がします。 ねこ★はち「他に、共同親権は何度も申し立てができるというのも気になっています。嫌がらせのために親権の申し立てを何度もする人は出てくると思います。これはリーガルハラスメントで何度も裁判所に呼び出される可能性もあります。 働いていると、一定の収入があり基準を超えてしまうため生活保護はもらえません。必死で働いて子育てをしても、元夫に何度も裁判所に呼ばれ仕事を休み、弁護士費用も重なり生活保護で暮らすよりも貧しい状況になりかねません。かといって仕事を辞めるわけにもいきません。 また、配偶者のDVから子どもと一緒に逃げた場合でも、共同親権が認められたら『連れ去り』とみなされ、刑事告訴をされてしまいます。 私の場合は運良く無事、夫から逃げられました。子どもも大きくなったので、子どもが誰と住むかには子どもの意思が反映されます。でも、これから配偶者から逃げようとしている方々は、共同親権の導入により、心身が危険な状況からの『避難』であっても刑事告訴されてしまう可能性が出てくるんです」

子どもが両親の板挟みになる可能性

――そうなったら、より深刻なDV被害者が多く出てしまうかもしれません。 ねこ★はち「ここで立ち止まって、本当に子どもの利益になるための法案かを考えてほしいです。 子どものための法案のはずなのに、子どもが両親の板挟みになる可能性もありますよね。『パパにこのサインもらってよ』と母親に頼まれたり、子どもが使い走りにされたり利用されたりすることも考えられます。DVや虐待などから逃げたくて別れた夫婦なのに、また夫婦の嫌な部分を子どもに見せてしまうことになります。子どもも両親の顔色を伺うようになりかねません。 共同親権が施行されることで精神的に追い詰められる配偶者、子、がいることを配慮してほしいと思います」 ======== 改正法は2026年5月23日までには施行されることになっています。DV被害を受けた配偶者や、虐待を受けた子どもはどこまで守ってもらえるのか? 施行まであと2年。今後の動向を注視しなくてはいけません。 <取材・文/瀧戸詠未 漫画/ねこ★はち> 【瀧戸詠未】 大手教育系会社、出版社勤務を経てフリーライターに。教育系・エンタメ系の記事を中心に取材記事を執筆。Twitter:@YlujuzJvzsLUwkB

女子SPA!

「共同親権を導入したら死人が出ますよ」シングルマザーが語る理由。起こりうる“大きすぎる問題”は<漫画>

7/4(木) 9:02配信




父母双方に親権 協力して子育て





 離婚後も父母の双方が子どもの親権を持てる「共同親権」の導入を柱とする改正民法が5月に成立し、2年以内に施行される。夫婦としては別れても、親の責務を果たし続けるための仕組みで、離婚後の親権を巡る法改正は77年ぶりだ。変更内容も養育費や親子交流など多岐にわたる。年間16万人が親の離婚を経験する中、歴史的な転換となる離婚後の親と子どもの関係を考える。

■海外では主流



 親権とは、未成年の子どもの世話や教育、財産管理について親が持つ権利と義務のことだ。以前は子を戒める懲戒権も含まれていたが、「児童虐待を正当化する口実になっている」として、2022年の民法改正で削除された。

 現行は婚姻中が共同親権で、離婚後は単独親権で父母の片方が親権者になる。一方、1989年に採択された国連の「子どもの権利条約」は「児童の養育・発達について父母が共同の責任を有する」との原則を掲げており、海外では共同親権が主流だ。2020年の法務省調査では、米国や韓国など主要25か国中、単独親権しか選べないのは日本とインド、トルコだけだった。



 国の人口動態統計では、22年の離婚件数約18万件の半数(52・8%)に未成年の子どもがいた。ひとり親家庭の貧困、別居する親との関係断絶など、単独親権に伴う深刻な影響を指摘する声が高まり、約3年がかりの議論の末、改正法が成立した。

■合意が必要





 法施行後は、父母双方が合意すれば離婚後も共同親権を選べる。離婚届で単独か共同かを示す手続きになる予定だ。

 単独か共同かで父母の意見が異なる場合は家庭裁判所に調停を申し立てる。調停で折り合わなければ、審判や訴訟で裁判官が決定する。



 既に離婚済みの元夫婦にも適用され、一方が家裁に申し立て、認められれば共同親権に変更できる。ただ、法務省によると▽理由なく養育費を払っていない▽元配偶者を中傷している――などの場合は認められない可能性が高い。

■DV見抜けるか



 改正法は虐待やDV(家庭内暴力)の恐れがあれば、家裁は単独親権としなければならないと定める。一方の親からの圧力などで共同親権を選んだ後でも、「申し立てれば家裁の判断で単独親権に変更できる」と法務省は説明する。

 だが、密室での被害を家裁が適切に判断できるのかや、離婚後も関わりが続く共同親権では被害が継続しかねないという当事者らの懸念は大きい。そのため、改正法の付則に親権選択が「父母双方の真意」だと確認する措置の検討が加えられたほか、国会の付帯決議にも家裁職員の増員や専門性の向上に努めることなどが盛り込まれた。

子どもの気持ち向き合って 



立命館大名誉教授の二宮さん

 立命館大の二宮周平名誉教授(家族法)に共同親権導入の意義と課題を聞いた。





 ――改正民法の評価は

 離婚後は単独親権しか選べず、子どもの進学や医療など重要なことにもう一方の親が関わる法的根拠がなかった。改正法により、離婚しても子育てに協力したいと考える人に制度上も選択肢ができる。

 他方で養育費を払わない、子どもに会おうとしない親もいる。離婚後も父母双方に子育ての責任があると社会に浸透すれば、親の自覚を促すことにもなる。

 ――親権者の概念は社会情勢とともに移り変わってきた

 明治民法下では婚姻中から父親の単独親権だった。戦後、男女平等を掲げた憲法が制定され、婚姻中は共同、離婚後は単独親権になった。

 戦後すぐは「家の子」との意識が強く、離婚後の親権者は父親が多かったが、高度成長期に核家族化が進み、家制度が事実上崩壊。「夫は仕事、妻は育児」の性別役割分業が定まり、1960年代に親権者の父母割合が逆転し、今では8割以上が母親だ。

 離婚後の共同親権導入の背景には、共働きの増加などによる父親の育児参加もある。育休取得率が向上し、離婚後も子どもに関わり続けたいという父親が増えた。

 ――解決すべき課題は

 共同親権では、子どもに関する大事なことを父母が話し合って決める。離婚しても両親は自分を大切に思ってくれていると子どもが実感することで自己肯定感が育まれる。それこそが、最も重要な目標だ。

 そのためには離婚が子どもに与える影響について、家裁や自治体などが親に情報提供することが欠かせない。子どもと向き合えるよう、精神的なつらさを抱える親が相談できる場を用意することも大切だ。

 DVや虐待の見極めも重要で、家裁の認定が適切でないと、被害者は安心できない。海外で開発された様々な手法が活用できるだろう。役割が大きくなる家裁の人的・物的体制の強化は必須だ。これらのことに国は真剣に取り組まねばならない。

第1部 共同親権<上>

親の責任 新たな選択肢 

2024/07/04 05:00








これまで「離婚するとひとり親になる」という考え方が一般的であったため、離婚後に離れて暮らす親子の交流は30%、養育費の支払率は20%と低い傾向です。今回の民法改正により、「離婚後にひとり親となるのではなく、子どもの養育には親がふたり関わる」という価値観の大きな変化が期待できる一方で、父母の意見が食い違った場合に、家庭裁判所が正確な判断を下せるのかどうかといった点が課題となるでしょう。本記事では、共同親権の概要や導入の背景、課題についてまとめてみました。

離婚後の「共同親権」とは

今まで離婚後は父と母のどちらか一方が子どもの親権を持つ「単独親権」しかありませんでしたが、父と母両方に親権を認める「共同親権」も選べるようにする改正民法が2024年5月17日に成立しました。

【単独親権と共同親権のメリット・デメリット】

筆者作成

なお、原則として両者の協議によって「単独親権」か「共同親権」のいずれかを選ぶことになりますが、両者が合意できない場合は家庭裁判所が判断を下します。例えば、DVや子どもへの虐待が認められる場合は、その事実を家庭裁判所が踏まえたうえで単独親権になることもあるでしょう。なお、共同親権の導入は、2026年までに施行される予定です。

導入の背景

【画像出典元】「stock.adobe.com/fizkes」

共同親権が導入される背景には、主に以下の3つが挙げられます。養育費の未払いを防ぐため
面会交流が果たされないため
海外では共同親権を認めているため


冒頭でも述べたように、離婚後に養育費を継続的に受け取っている母子家庭の割合は、全体の約2割と少ないのが現状です。改正案では、養育費を支払わない場合に優先的に差し押さえができる「先取特権」や、離婚後に取り決めがなくても一定額の養育費を請求できる「法定養育費制度」も加わることが予定されているため、別居した親が養育費を払わないといったケースが減ると考えられます。

また、海外では単独親権だけでなく共同親権を認めているケースが多く見受けられます。2020年に法務省が公表した調査結果によると、日本以外の主要20カ国(G20)を含む24カ国のうち、「単独親権」制度をとっているのはインドとトルコだけでした。国際結婚をした後の子どもの扱いは「ハーグ条約」で定められているものの、日本人の親が配偶者の承諾なしに日本に連れて帰ってしまうケースが散見され、海外から批判されたことも導入のきっかけとなりました。

共同親権でなにが変わる?

共同親権を認める法改正により、離婚後の父母の関わり方に変化が生じることが予想されます。親権は「身上監護権」と「財産管理権」に分けられ、そのうち身上監護権は子どもの監護・教育に関する義務および権利のことであり、居所指定権や職業許可権が含まれます。

共同親権になると、進路や転居、重大な医療行為について両親の同意が必要です。ただし、緊急時や日常的な教育行為については、どちらか一方の親の判断で行うことができます。また、共同親権の場合でも、一方の親を「監護者」に指定し、子どもの日常的な世話や教育方針、住居の決定を任せることもできますが、強制ではありません。

共同親権のメリット・デメリット

単独親権の場合、親権者ではない親と子どもの関わりは制限されてしまいます。その点、共同親権であれば、離婚後も父母との関わりが続くため、良好な関係を築けるようになるでしょう。親権者だけに子育てに関する負担がかかることは少なくなるほか、面会するにあたって養育費の支払いもスムーズに行われやすく、経済的な安心にも繋がります。

一方、父と母それぞれとの生活となるため、生活環境が定まらずに不安定になる子どもも現れるでしょう。特に片方の親が遠方の場合、面会交流のたびに長距離移動が必要となり、子どもの負担が生じる点も懸念されます。

共同親権には課題も多い

【画像出典元】「stock.adobe.com/andranik123」

共同親権になると、離婚後も子どもの養育に関して父母のやりとりが必要となる場面が多く、父母の関係性によっては単独親権が好ましい場合もあるでしょう。

また、共同親権に対して反対の意見が多くある理由のひとつとして、子どもへのDV被害が続きかねないことが挙げられます。身体的なDVであれば証拠を提出できますが、精神的・経済的なDVの被害を認めてもらうのは難しいでしょう。目に見えないDVについて家庭裁判所がどう判断するのかが、大きな課題のひとつといえます。

父母が争わなくていいような離婚協議に向けた司法改革をはじめ、各種支援体制の強化など、まだまだやらなければならないことはたくさんあるでしょう。行き当たりばったりの法改正ではなく、子どもたちの幸せに繋がるような運用を期待します。

共同親権の導入で離婚後はどう変わる?養育費の未払いは減るの?

くらし 織瀬 ゆり

2024.7.5 06:00 更新



離婚後も父と母双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入を柱とした改正民法などの成立を受けて、法務省は、関係府省庁の連絡会議を初めて開き、制度を円滑に運用するため周知や広報のあり方を検討することなどを確認しました。

改正民法などでは、離婚後に父と母のどちらか一方が子どもの親権を持つ今の「単独親権」に加え、父と母双方に親権を認める「共同親権」を導入するなどとしています。

この制度が2年後に始まることから、法務省は、こども家庭庁や文部科学省、厚生労働省など関係府省庁の連絡会議を設け、8日、初会合を開きました。
この中で、議長を務める小泉法務大臣は「親権に関する民法の規定は、父母だけでなく子どもに関わるすべての人に正しく理解してもらう必要があり、政府一丸となって取り組むことが重要だ。子どもの利益を確保するため、ぜひ協力してほしい」と述べました。

会議では、制度を円滑に運用するため周知や広報のあり方を検討することや、課題を洗い出して各府省庁の取り組みを整理することなどを確認しました。

「共同親権」導入へ 法務省が初の連絡会議 周知や広報を検討へ

2024年7月8日 20時59分



離婚後も両親がともに子どもの親権を持つ「共同親権」の導入に向けた関係府省庁の連絡会議が初めて開かれました。  5月に成立した民法などの改正案では、離婚後の子どもの親権について、両親の合意が確認できた場合には、単独親権ではなく、「共同親権」とすることなどが盛り込まれています。  改正案は2026年までに施行される見通しで、関係する府省庁による会合が8日に初めて開かれました。  議長の小泉法務大臣は、「改正法を円滑に施行し、子の利益を確保するためには環境整備が必要」としたうえで、「政府が一丸となって横断的に取り組むことが重要」と強調しました。  法務省は今後、課長級の会議を開き、具体的な指針の策定などに向けて協議を重ねるとしています。

テレビ朝日

共同親権導入へ関係府省庁の初会合開催「横断的に取り組む」小泉法務大臣

7/8(月) 20:22配信





離婚後の父母双方が親権を持つ「共同親権」の導入を柱とする改正民法が通常国会で成立したことを受け、9府省庁による連絡会議の初会合が8日開かれた。26年5月までの施行に向けて課題を共有し、学校や医療機関など関係する現場への周知を図る。改正法の理解を促すためのガイドライン策定も検討する。

 法務省こども家庭庁厚生労働省など9府省庁のほか、オブザーバーとして最高裁の幹部が出席。小泉龍司法相は「子を持つ父母だけでなく、子に関わるすべての方に理解してもらう必要がある。省庁横断で取り組むことが重要だ」と述べた。

 制度の導入をめぐる国会審議では、子の手術時の親の同意のあり方や、離婚後に家庭内暴力が継続するリスクなど幅広い分野で課題が指摘された。改正法の付則には、共同親権のもとでも一方の親だけで子に関することを決められる「日常の行為」や「急迫の事情」について周知することも盛り込まれた。(久保田一道)

共同親権導入へ、関係省庁が初会合 医療、教育…現場の課題を検討

久保田一道2024年7月8日 19時30分



 政府は8日、離婚後も父母双方が子の親権を持つ「共同親権」を導入する改正民法の2026年5月までの施行に向け、関係府省庁の局長級による連絡会議の初会合を法務省で開いた。学校や病院で生じる課題を整理し、円滑な運用のためガイドライン(指針)などを策定する方針。今後、課長級による幹事会を設置して具体的な検討を進める。

離婚後の共同親権可能に 26年にも導入、改正民法成立―DV・虐待の懸念根強く

 会合には内閣府、文部科学省、厚生労働省、こども家庭庁などの局長級が出席。議長の小泉龍司法相は「子の利益を確保するため、政府が一丸となって省庁横断的に取り組むことが重要だ」と強調した。

共同親権、施行へ議論 政府連絡会議が初会合

時事通信 政治部2024年07月08日19時54分配信



産党ジェンダー平等推進委員会 運動前へ国会論戦交流

国際人権問題 性暴力 女性の貧困 LGBTQ

 日本共産党国会議員団のジェンダー平等推進委員会は9日、国会内で会合を開きました。国際人権問題や民法、性暴力、女性の貧困、女性の政治参画、格差是正、LGBTQなど性的少数者、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の各分野について、通常国会での議員団の論戦や取り組みを交流し、今後の運動推進に向けて意見交換しました。








(写真)国会論戦などの取り組みについて意見交換するジェンダー平等推進委員会=9日、国会内

 責任者の高橋千鶴子衆院議員は、経団連が初めて選択的夫婦別姓を政府に申し入れたこと、岸田政権下で初の党首討論で田村智子委員長が首相に同制度の導入を迫ったことは、今国会の象徴的な出来事だったとあいさつしました。

 離婚後「共同親権」を導入する改定民法について、本村伸子衆院議員は、DV(配偶者などからの暴力)や虐待被害当事者の懸念の声を届け、反対を貫く共産党への信頼が強まったと報告。「#ちょっと待って共同親権プロジェクト」が、「共同親権」は原則ではなく単独親権を主張することができると広報していると紹介しました。

 仁比聡平参院議員は、「共同親権」の法改定後も運動が続いていることが大事だとし、2年後の施行に向けて政府が設置した関係省庁連絡会議などに当事者の懸念を伝えていく必要性を訴えました。

 紙智子参院議員は、旧日本軍が「慰安所」制度をつくったことをめぐる問題を、赤嶺政賢衆院議員は、沖縄で起きた米兵による女性への性暴力事件を政府が隠蔽(いんぺい)した問題について報告しました。

 各議員からは、公務員の3年目公募の廃止など非正規公務員の待遇改善、男女の賃金格差、都道府県の防災・危機管理部局への女性職員配置、包括的性教育の推進、パートナーシップ制度の広がりと逆ゆれなどについて報告がありました。

2024年7月10日(水)

共産党ジェンダー平等推進委員会 運動前へ国会論戦交流

国際人権問題 性暴力 女性の貧困 LGBTQ