民医連新聞 にじのかけはしPDF魚拓 2 chako 2024年6月10日 06:55 https://kirarikango.com/common/images/contents/TOP-lgbtq.pdfhttps://www.nagoya-cu.ac.jp/nurse/media/3275c1ad77586c6fc1f1958b99e380cd.pdfhttp://www.jikei.ac.jp/news/pdf/press_release_20220519.pdf日本の医学部・医科大学における LGBT 未教育の割合臨床前教育 30.5%、臨床教育で 47.2%~LGBT に関する医学教育の現状と国際比較~東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 臨床疫学研究部の研究生 吉田絵理子、松島雅人教授、同教育センターの岡崎史子准教授の研究グループは、日本の全医学部・医科大学を対象として LGBT に関する医学教育についての実態調査を実施しました。日本における LGBT に関する医学教育の詳細を、米国・カナダの先行研究 1)(2009~2010年に実施)と直接比較することは日本で初の試みであり、その結果、日本では LGBT に関する教育が圧倒的に不足していることが明らかとなりました。今回の調査では日本の医学部・医科大学の臨床前教育で LGBT に関して教えていた学校は 52.5%、全く教えていないのは 30.5%、教えている時間が不明と回答したのは 16.9%でした。また教育に費やした時間の中央値は 1 時間、平均値は 1.6 時間でした。さらに、臨床教育で LGBT に関して教えていた学校は 15.1%、全く教えていないのは47.2%、教えている時間が不明と回答した学校は 37.7%で、教育に費やした時間の中央値は0 時間、平均値は 0.3 時間でした。一方、本調査の 9 年前に実施された米国・カナダにおける先行研究においては、LGBTについて教えていなかった学校は、臨床前教育で 6.8%、臨床教育では 33.3%でした 1)。本研究の成果は、LGBT に関する医学教育の課題を明らかにし、今後改善を促進する上での基礎資料となるものです。本研究の成果は、2022 年 5 月 19 日午前 8 時 00 分(日本時間)に BMJ Open 誌(オンライン)に掲載されました。Eriko Yoshida, Masato Matsushima, Fumiko Okazaki. Cross-sectional survey of educationon LGBT content in medical schools in Japan. BMJ Open 2022;12:e057573http://dx.doi.org/10.1136/bmjopen-2021-057573*本研究は、東京慈恵会医科大学大学院研究助成をうけたものです。【研究成果のポイント】・日本全国のすべての医学部の医学部長あるいは医科大学の学長、卒前教育責任者を対象とした調査を実施し、日本の医学部・医科大学における LGBT の教育に関する量的・質的実態の詳細を明らかにした。・日本の医学部・医科大学における LGBT の教育の実態を米国・カナダの研究データと比較し、量的にも質的にも教育が不足していることが分かった。研究メンバー:・東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 臨床疫学研究部 研究生 吉田絵理子・東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 臨床疫学研究部 教授 松島雅人・東京慈恵会医科大学 教育センター 准教授 岡崎史子研究の詳細1.背景LGBT とは Lesbian レズビアン、Gay ゲイ、Bisexual バイセクシュアル、Transgender トランスジェンダーの頭文字からなる言葉で、その他のセクシュアリティも含むセクシュアル・マイノリティの人々の総称として用いられています。LGBT の人々はそうでない人々と比べ、精神的・身体的な様々な健康上のリスクにさらされていることが国内外で報告されています。さらにトランスジェンダーの人々を対象とした日本での調査では、医療機関の受診時に嫌な経験をしたことがあるか、体調不良時に医療機関の受診をためらったことがあるかとの問いに対し、それぞれ 40%以上の人があると回答しています 2)。医療者および医療系学生に LGBT についての教育を行うと、知識や態度が向上するという報告 3)もあり、医療現場で適切な対応を行うには適切な教育が不可欠だと考えられます。日本の医学教育においては、文部科学省の発行する医学教育モデル・コア・カリキュラムが平成 28 年度に改定され、初めて「ジェンダーの形成並びに性的指向及び性自認への配慮方法を説明できる」という学習目標が示されました 4)。2019 年に日本の医学部を対象とした LGBT の教育に関する調査報告がされていますが 5)、教育の詳細に関しては調査されておらず、どの程度 LGBT の健康問題を網羅した教育が行われているのかは明らかになっていませんでした。また直接的な国際比較もなされていません。今回、私たちは日本全国のすべての医学部の医学部長あるいは医科大学の学長、卒前教育責任者を対象として、LGBT に関する医学生への教育について質問紙による調査を行い、教育に費やしている時間や教育内容の現状を明らかにし、すでに報告がなされている米国・カナダ(2009~2010 年に調査を実施)1)およびオーストラリア・ニュージランド(2015~2016 年に調査を実施) 6)で行われた先行研究と比較し、日本の医学部での LGBT 教育における課題を明らかにしました。2.手法日本の 82 校の医学部の医学部長または医科大学の学長あてに質問紙を郵送し、2018 年 7月から 2019 年 1 月に回答を集めました。回答しない場合には白紙の封筒を送るよう依頼し、回答が得られなかった場合には、さらに2回質問紙を郵送し、1回電話で回答を依頼しました。学校名の入った封筒と、回答用紙とは分けて扱い、回答は匿名化しました。質問紙は、米国・カナダで実施された LGBT の医学教育に関する先行研究 1)で用いられた質問紙の 13 項目を英語から日本語に翻訳し、さらに 5 つの新たな質問を加えた 18 項目から構成されています。(主要質問項目:学校の属性、LGBT の教育に費やしている時間数、LGBT の健康について教えるファカルティ・ディベロップメントの提供、性行為の病歴聴取の際に同性との関係についても情報を得るよう教えているか、LGBT の内容を全体的にどの程度カバーできていると評価しているか、教育の効果の評価法、LGBT の教育内容を増やすための戦略、医学生・教員の中に LGBT であることをカミングアウトしている人がいるか、LGBT の教育に関心のある教員がいるか)82 校のうち 60 校(73.2%)から回答を得られ、18 問中11 問に回答しなかった 1 校を除く、59 校(72.0%)のデータを解析対象としました。臨床前教育で LGBT に関して教えていた学校は 59校中 31 校(52.5%)、全く教え て い な い の は 18 校(30.5%)、教えている時間が不明と回答したのは 10 校(16.9%)でした。また教育に費やした時間の中央値は 1時間(25 パーセンタイル*-75%パーセンタイル:0-2 時間)、平均値は 1.6 時間(±標準偏差(以下 SD):2.4 時間)でした。臨床教育で LGBT に関して教えていた学校は 53 校中 8 校(15.1%)、全く教えていないのは 25 校(47.2%)、教えている時間が不明と回答した学校は 20 校(37.7%)で、教育に費やした時間の中央値は 0 時間(25 パーセンタイル-75%パーセンタイル:0-0 時間)、平均値は0.3 時間(±SD:0.6)でした。一方、米国・カナダにおける先行研究においては、LGBTについて教えていなかった学校は、臨床前教育で 132 校中9 校(6.8%)、臨床教育では 44校(33.3%)のみでした 1)。また、教育に費やした時間の中央値は臨床前教育、臨床教育でそれぞれ 4 時間(25 パーセンタイル-75 パーセンタイル:2-6時間)、2 時間(25 パーセンタイル-75 パーセンタイル:0-3時間)でした 1)。このように臨床前教育、臨床教育ともに、日本は米国・カナダ 1)と比較して、LGBT について教えていない学校の割合が多く、また教育の時間数も短いことが分かりました。さらに今回の調査では、LGBT の健康について教えるファカルティ・ディベロップメントを実施している学校は 59 校中 5 校(8.5%)に過ぎませんでした。また性行為の病歴聴取の際に、学生に同性との関係についても情報を得るように教えている学校は 13 校(22.0%)でした。しかし、LGBT に関する教育についてどの程度カバーできているかという評価は、57校中 45 校(79.0%)が、「乏しい」または「とても乏しい」と返答しており、多くの大学が教育の不足を認識している実態が明らかとなりました。http://www.jikei.ac.jp/news/pdf/press_release_20220519.pdf ダウンロード copy #LGBT理解増進法 #包括的性教育に賛同します #男女に加えその他の項目の必要性 #GIDGDTG当事者の医療アクセスの現状2020 2