本物の暴力団に対して暴力団対策法暴力団排除条例反社排除条項使って暴力団事務所を使えなくすることは有効。



2022年4月 8日 (金)

暴力団事務所としての使用禁止

福岡地裁久留米支部R3.2.5

<事案>
X:福岡県における都道府県暴力追放運動推進センターの指定を受け、国家公安委員会から適格都道府県センターとしての認定を受けた公益財団法人。
Y1:指定暴力団組長
Y2:本件マンション5階居宅の所有者でY1が取締役を務める会社

<主張>
X:マンションの居住者(本件委託者ら)から委託を受け、本件委託者らのために、本件物件が本件暴力団の事務所として使用されていることにより、本件委託者らの平穏な生活をする権利が侵害されている⇒本件委託者らの人格権に基づき、
Y1に対し、本件物件を本件暴力団の事務所として使用することの禁止を、
Y2に対し、Y1をして本件物件を本件暴力団その他の暴力団の事務所又は連絡場所として使用させることの禁止を、
それぞれ求めた。

<判断>
人格権による差止請求を認めた上で、
人格権に対する違法な侵害であるかについては、侵害行為の態様、侵害又は侵害の危険の程度、被侵害利益の性質及び内容等の諸般の事情を踏まえ、被害が一般社会生活上受忍すべき限度を超えるものであるかどうかによって決するのが相当。

本件暴力団の上部組織である・・・過去の対立抗争の経緯⇒今後も同様の事態に陥る可能性が高く、その場合、・・・傘下組織である本件暴力団が対立抗争に巻き込まれて、その事務所が相手組織からの攻撃目標となり、その周辺住民の生命・身体が深刻な危機にさらされることは明らか
⇒本件物件が、本件仮処分命令の発令後は暴力団事務所としての使用が停止されているとしても、将来的に、再び本件暴力団事務所として使用される蓋然性があると認められる
⇒Xの請求を認容

Yらは、本件仮処分命令の発令後、これに従って、本件物件の本件暴力団の事務所としての使用を止めている。
vs.
仮処分の執行により仮の履行状態が作出されたとしても、裁判所はこのような事情を斟酌せずに本案の当否を判断すべきである(最高裁)。

仮処分によるYらの仮の履行状態は、本案請求の当否を判断するについて斟酌すべきではない。

<解説>
人格権が差止請求の根拠となり得る(通説・判例)。

建物を暴力団の事務所として使用することが近隣住民の人格権の侵害に当たるとして、当該建物を暴力団の事務所として使用することを差止めの仮処分を認めた静岡地裁浜松支部昭和62.10.9は
何人にも生命・身体・財産等を侵されることなく平穏な日常生活を営む自由ないし権利があり
人間としての固有の権利である人格権が受忍限度を越えて違法に侵害されたり、又は侵害される恐れがある場合には、その被害者は、加害者の当該行為が外形的には権利行使の範囲内のものであっても、加害者に対し、人格権に基づいて、現に行われている侵害を排除し、又は将来の侵害を予防するため、その行為の差止、又はその原因の除去を請求することができる。

判例時報2508

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暴力団追放兵庫県民センターは21日、特定抗争指定暴力団神戸山口組の傘下組織「古川組」(兵庫県尼崎市)の事務所について、神戸地裁が使用差し止めの仮処分を決定したと発表した。仮処分決定は20日付で、兵庫県内では4例目という。

 事務所近くでは2020年11月に同組組長が銃撃される事件が発生。暴力団対策法に基づいて同センターが地域住民の代理となり、21年11月に地裁へ仮処分を申し立てていた。事務所への暴力団組員の立ち入りや会合の開催、組を示す看板の掲示などが禁止される。

 尼崎市は山口組(神戸市灘区)と神戸山口組(同市中央区)の特定抗争指定に伴う「警戒区域」で、そもそも組事務所への立ち入りが制限されている。一方で特定抗争が終結し、指定が解除されれば使用が可能になってしまうことから、終結後も使用を制限できる仮処分を求めたという。


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山口組分裂騒動
神戸山口組傘下の組事務所、使用禁止に 地裁が仮処分決定 尼崎




山口組分裂騒動



神戸山口組傘下の組事務所、使用禁止に 地裁が仮処分決定 尼崎


使用の禁止が命じられたのは指定暴力団・住吉会の東京 新宿区にある本部事務所で、申し立てた「暴力団追放運動推進都民センター」の弁護士が18日、発表しました。



ことし3月、事務所周辺の住民およそ40人の委託を受けてセンターが使用の禁止を申し立て、東京地方裁判所が先月、認める仮処分を決定しました。



そして18日、裁判所の執行官が本部事務所を訪れ、住吉会側に決定の内容を伝えたということです。



決定により、暴力団員の立ち入りや、定例会の開催などが禁止されます。



センターによりますと、住吉会は構成員の数が国内で2番目の多さで、暴力団の本部事務所で使用が禁止されたケースとしては、過去最大の規模だということです。



大野徹也弁護士は「暴力団をめぐる事件は各地で起きていて、いつトラブルが起きてもおかしくないという主張を、裁判所が認めてくれた」と話していました。

暴力団「住吉会」本部事務所 使用禁止の仮処分決定 東京地裁

2024年7月18日 17時33分


大阪市中央区にある指定暴力団「絆会」の本部事務所について、大阪地裁が使用差し止めを命じる仮処分決定をしたことが21日、関係者への取材で分かった。地裁の執行官が同日、事務所に公示書を掲示した。

 関係者によると、近隣住民らの委託を受けた大阪府暴力追放推進センターが、暴力団対策法に基づいて仮処分を申し立て、地裁が13日付で決定した。

 絆会は、特定抗争指定暴力団山口組から分裂した同暴力団神戸山口組の傘下組織の一部がさらに離脱して2017年に結成。両組織の対立抗争が繰り返される中、絆会が絡む事件も起きていた。

 本部事務所は兵庫県尼崎市にあったが県公安委員会は7月、大阪市中央区への変更を公示した。警察庁によると、絆会の構成員は昨年末現在で約70人。

絆会本部事務所、使用禁止に 暴対法に基づき仮処分決定―大阪地裁

2023年12月21日14時34分配信