開始日
2018年9月25日
署名の宛先
厚生労働大臣 武見敬三と2人の別の宛先
この署名で変えたいこと
署名の発信者 染矢 明日香
(English petition)
■アフターピルにアクセスできない人がいる
アフターピル(緊急避妊薬)は、避妊に失敗した、レイプされたなどの緊急時に一定期間内に服用することで、100%ではありませんが高い確率で妊娠を防ぐことができる薬です。
女性を守る最後の手段となるとも言えるアフターピルですが、私が代表をしている若者の性の問題に取り組むNPOによせられるメール相談では、若者にはそもそも避妊についての知識がなく、アフターピルはかなり入手しづらいものだとわかります。
「避妊を失敗してしまった。どうしたらいいかわからない」という相談はとても多く、たとえアフターピルの選択肢を知っていたとしても、「人目も気になり、産婦人科には行きづらい」「仕事があって休めない」「土日や祝日(連休中)で病院がやっていない」「学生なので高額すぎて買えない」などの声があり、非常にアクセスのハードルが高いことがうかがえます。
国内で認可されているアフターピルは医療機関の処方箋が必要で、価格も6000円~2万円ほどにもなります。さらに、全ての婦人科・産婦人科で取り扱いがあるとは限らず、手軽に買えるような代物ではありません。そして、そのような状況の中、もし妊娠すれば、中絶か、出産かの選択を迫られます。
レイプをされた際、警察に届ければアフターピルの公費負担の制度がありますが、実際に警察に行く選択をする人はわずか3.7%(※1)です。そしてやっとの思いで警察に行ったとしても、警察にはアフターピルは常備されていません。早く服用するほど効果的(妊娠阻止率は、24時間以内の服用で95%、48~72時間以内の服用で58%)なのに、緊急避妊をするには医療機関を受診し処方してもらう必要があるのです。
性暴力被害者のためだけにアフターピルが必要というわけではありません。日本では約82%の人がコンドームによる避妊をしています(※2)。コンドームの年間避妊失敗率は2割ほど。きちんと避妊しようとしても破れるなど失敗してしまうことは往々にしてあります。その上、日本ではコンドームの使い方もまともに教えられていません。
一方で、ネット通信販売でアフターピルやピルを扱う業者が沢山あります。「安易な使用が広がる」と懸念する一方で、ネットの業者は野放しになっている現状はおかしいです。
私自身もかつて、思いがけない妊娠と中絶で傷ついた若者の1人です。
避妊の失敗は、遠い世界の話ではなく、だれもが当事者になり得ること。
それはあなたやそのパートナー、友人、きょうだいや子どもや親もです。自分の過去の経験をあえてオープンにしているのは、そのことを伝えたいという思いからです。
■アフターピルの市販化、市民の声は無視?
最近のアフターピルを巡る動きとして、市民の市販化への要望を受け、厚労省は2017年にOTC(医師による処方箋が必要なく、薬局・ドラッグストアで買える一般用医薬品)化を検討。パブリックコメントは348件中、賛成が320件、反対はわずか28件という圧倒的な世論の支持を受けたにも関わらず、検討委員会での「薬局で薬剤師が説明するのが困難」、「安易な使用が広がる」などの懸念からOTC化は不可となりました。
一体何のためのパブリックコメントだったのでしょうか?
■国際社会から取り残される日本のアフターピル
アフターピルは既に安全性が確認されたとして先進国に限らず約90カ国で処方箋なしに薬局等で買うことができ、19カ国でOTC(薬剤師を介さず店頭で買える薬)化されています(2020年6月現在ICECより)。多くの場合、薬局で薬剤師を介して買うことができ、価格帯も5千円未満のところが多く、更には若者には無料で提供する国も少なくありません。2018年のWHOの勧告では、「意図しない妊娠のリスクを抱えたすべての女性および少女には、緊急避妊にアクセスする権利があり、緊急避妊の複数の手段は国内のあらゆる家族計画プログラムに常に含まれねばならない。」とされています。
▼参考:#なんでないの。HP
https://www.nandenaino.com/know-the-truth-2
■アフターピルをすべての女性が入手しやすくしてください!
私たちの要望は以下の通りです。アフターピルをOTC化*してください。また、諸外国との価格差を無くしてください。
文部科学省と連携し、ピルや避妊についてしっかりした知識をつける性教育を充実させてください。義務教育である中学校までの教育で取り上げるべきです。
ネット通販業者がアフターピルやピルを売っている状況は危険です。経過的措置として、オンライン診療でのアフターピル、ピル処方は安全性を担保できるものであり、アフターピル希望時の初診の際に対面での診療を必要しないことを明確化してください。(⇒2019年7月、初診からの緊急避妊薬のオンライン診療が条件付きで解禁となりました。)
*本キャンペーンで求める「OTC化」は、緊急避妊薬を求める女性が、薬局の薬剤師の対面販売を通して購入できるようにするというものです。
集まった署名は、厚生労働大臣、日本産科婦人科学会理事長、日本薬剤師会会長等へ届け、上記対策を進めるように求めます。
また、NPO法人ピルコンでは、妊娠の不安を抱える全ての人に、適切な情報と支援先を届けるLINEボットの開発とクラウドファンディングによる支援の募集を行っています。
▼妊娠の不安を抱える全ての人に、適切な情報と支援先を届けるLINEボットを広めたい(CampFire)
アフターピルを必要とする全ての女性が安全に利用できる環境の実現にご賛同、ご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
キャンペーン呼びかけ人:
NPO法人ピルコン 理事長 染矢明日香(発起人)
#なんでないの。代表 福田和子
(※1)内閣府 平成23年度「男女間における暴力に関する調査」(※2)一般社団法人日本家族計画協会 2016年「男女の生活と意識に関する調査」
2020.6.15
・緊急避妊薬のオンライン診療解禁に伴い、署名の冒頭分及び要望部分を一部修正・加筆しました。
・緊急避妊薬のジェネリック薬発売に伴い、アフターピルの価格の表記を修正しました。
現在の賛同数:176,787次の目標:200,000
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