スウェーデン「イエス」なき性交は犯罪 国内規定「さらなる改正必要」2020年2月18日 02時00分.DVシェルター苦境 活動20年 多摩の団体休止へ2020年1月14日 02時00分.娘に性的暴行 父親側が上告2020年3月16日 16時00分PDF魚拓



スウェーデンの法改正について説明する(右から)ヘドヴィク・トロストさんとヴィヴェカ・ロングさん=東京都内で

 2017年7月、性犯罪規定を大幅に変更した改正刑法が施行された。しかし同意のない性行為を罪に問うには、加害者の「暴行・脅迫」と、被害者の激しい抵抗が認められなければならないなど依然高い壁が残った。世界的に「同意のない性交は犯罪」が潮流となる中、18年に「性行為には積極的な同意が必要」と刑法を改正したスウェーデンの司法関係者が来日。この機に、性犯罪と法規定のあり方を考えた。 (小林由比)

 「『自発的参加』の有無で、有罪かどうか決定します」。一月下旬、衆院議員会館での集会で、スウェーデン検察庁の上級法務担当ヘドヴィク・トロストさんは一八年の刑法改正の核心をこう説明した。

 同国でも従来はレイプ罪の立証に、暴行・脅迫の存在や、酩酊(めいてい)や睡眠など被害者の状況を悪用して加害行為に及んだ証明が必要だった。しかし一八年改正で、被害者がノーと言えなかったり、抵抗できなかったりしても、自発的な参加ではないと客観的に認められれば加害者は有罪となり、二~六年の拘禁刑となる。トロストさんは「はっきりイエスと言うか、それに準ずる発言、何らかの身体的行動による表現などが必要」と解説した。

 同意の有無を有罪の判断基準にする国は増えている。ドイツなどのように「ノー」を示せばレイプとする国が多いが、スウェーデンは「イエス」という自主性を確認できなければレイプとしている。上下関係が一般的な教員など「監護者」による性暴力は、同意の有無に関わらずレイプ罪を適用。十五歳未満への性虐待なども同様だ。

 刑法改正で従来と異なり有罪になったケースも複数出ている。しかし、スウェーデン司法省の上級顧問ヴィヴェカ・ロングさんは「良い法があるからといって必ず有罪を得られるわけではない」と性犯罪の立証の難しさにも言及した。

 スウェーデン法に詳しい琉球大大学院教授の矢野恵美さんは「スウェーデンは被害者を守るため、国選弁護人による支援制度などがあり、性教育も進んでいる。日本でも取り入れるべき点が多くある」と話している。

 国内でも、同意のない性行為を処罰できる法を求める動きが高まっている。一七年、刑法の性犯罪規定が百十年ぶりに大幅改正された。「強姦(ごうかん)罪」を「強制性交等罪」と改め、男性も被害者に含め法定刑の下限を引き上げたほか、十八歳未満の子への親などからの性行為は暴行や脅迫がなくても罪に問える「監護者性交等罪」ができるなど、いくつか前進はあった。しかし、性暴力の被害者らでつくる団体「Spring」(東京)の岩田美佐さん(48)は「暴行・脅迫要件などが壁になり、被害をなかったことにされた人は多くいる」と指摘。同法は三年をめどに見直しが検討されることから、会は「不同意性交等罪」の創設などさらなる改正を求めている。

 若い世代も動きだしている。上智大生らのグループ「Speak Up Sophia」は、二人でピザを注文する際にトッピングやサイズなどの希望を擦り合わせるワーク体験を通じ、性行為での同意について考えてもらっている。共同代表の同大四年、横井桃子さん(22)は「性的同意というと堅いイメージを持たれるが、当たり前のコミュニケーションだという意識を広げたい」と話す。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/11839
スウェーデン「イエス」なき性交は犯罪 国内規定「さらなる改正必要」

2020年2月18日 02時00分



 東京・多摩地域でDV被害者の保護や自立支援に20年取り組んできた民間団体「多摩でDVを考える会」が、財政難から2019年度で活動を休止する。同会のような団体は「民間シェルター」と呼ばれ、十分とはいえない公的支援の下支えをしているが、DV被害の相談が増える中、財政難は全国的な傾向。NPO法人全国女性シェルターネットの北仲千里共同代表は「今後5年間で相当数が閉鎖に追い込まれる」と危機感を強めている。 (竹谷直子)

 「私たちも年金生活者。もう限界です」。同会のスタッフは苦境を明かす。

 一九九九年から活動を始めた同会は、被害者の一時保護だけでなく、自立までの長期的な支援をする入所施設「ステップハウス」を運営するなど先進的な取り組みで知られる。

 運営費の柱は、多摩地域三十市町村のうち十六市から受ける年間計三百十万円の助成金。だが、家賃などの費用は年間約六百万円で、スタッフは無償で働き、不足分は寄付や持ち出しで賄ってきた。助成金を受けていない自治体からの保護の依頼も引き受ける。「苦しむ被害者を放っておけない」(スタッフ)からだが、その自治体に助成を求め、断られたこともある。

 同じ多摩地域でDVの被害女性らを支援する国立市のNPO法人「くにたち夢ファーム」の遠藤良子さんは「市の支援や助成金は人件費に充てられない。みんなボランティアです」と指摘する。

 内閣府が昨年五月に発表した民間シェルターの実態調査(九十五施設)によると、85・3%が財政難と回答。一施設あたりの平均職員数は常勤二・〇人、非常勤四・〇人だったのに対し、ボランティアが最多の五・三人に上った。スタッフ不足と答えた団体も84・2%あった。

 DV被害者を保護する公的機関は、都道府県ごとに設置されている婦人相談所があるが、入所可能人数は合計で七百七十四人。警察庁のまとめでは、二〇一八年のDV被害の相談件数は、〇一年のDV防止法制定後、最多の七万七千四百八十二件に上った。相談所が受け入れられない被害者らを、全国に約百二十ある団体が運営する民間シェルターなどが支えている。

 相談所から委託を受けた民間施設は委託費が支払われるが、財政難で閉鎖された都内の民間シェルターの元スタッフ(68)は「『お願いします』の一言で委託料が支払われなかったこともある」と打ち明ける。

 内閣府は実態調査を踏まえ、二〇年度予算案に概算要求で民間シェルターの支援費として新たに二億五千万円を計上。しかし、担当者は「正直、毎年数億円規模を予算化するのは難しい」と説明。北仲さんは「きちんと給料をもらえる環境にしなければ人材不足は解決できない。民間シェルターへの支援の充実が急務だ」と強調する。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/18170
DVシェルター苦境 活動20年 多摩の団体休止へ

2020年1月14日 02時00分



二〇一七年に愛知県で抵抗できない状態の十九歳の実の娘に性的暴行を加えたとして、準強制性交罪に問われた被告の男(50)の弁護人は、一審名古屋地裁岡崎支部の無罪判決を破棄して懲役十年とした名古屋高裁判決を不服として上告した。高裁の受理は十四日。

 一、二審を通じ、抵抗が著しく困難な「抗拒不能」の状態だったかどうかが争われた。高裁は十二日の判決で「継続的な性的虐待の過程で抵抗する意欲や意思をなくし、精神的、心理的に抵抗できない状態だった」と判断した。

 控訴審判決によると、男は一七年八月に勤務先の会社で、九月にはホテルで、抵抗できない状態に乗じ、娘に性的暴行をした。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/17507
娘に性的暴行 父親側が上告

2020年3月16日 16時00分