Dinno, A., & Whitney, C. (2013). Same sex marriage and the perceived assault on opposite
sex marriage.
PLoS One,
8(6), e65730. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0065730
(2)同性婚に対する偏見の減少
(Ofosu et al., 2019)
目的:同性婚の法律化が、反同性婚の偏見の減少に関連するかどうかを検証した。
結論:反同性婚のバイアスは、合法化後により急激に減少した。この減少率は、州が地元で
法案を可決したかどうかに影響した。つまり、法制化された州では、法制化後のバイアスの
減少が大きかったが、法制化されなかった州では、連邦法制化後に反同性婚のバイアスの増
加が見られた。
引用文献:
Ofosu, E. K., Chambers, M. K., Chen, J. M., & Hehman, E. (2019). Same-sex marriage
legalization associated with reduced implicit and explicit antigay bias.
Proceedings of the
National Academy of Sciences of the United States of America,
116(18), 8846-8851.
https://doi.org/10.1073/pnas.1806000116
(3)(同性婚を認められない場合の)メンタルヘルス
(Manning et al., 2016)
目的:同性カップルと異性カップルの安定性について、「不完全な制度化、マイノリティス
トレス、カップルホモガミー(同性カップルは安定性が低いという予測)、経済的資源(同
性カップルはより安定的という予測)」の観点から導かれる仮説を検証した。
結論:同性婚を憲法で禁止している州に住んでいる場合、同性・異性の同棲カップルの不安
定度がより高いことと有意に関連することがわかった。
引用文献:
Manning, W. D., Brown, S. L., & Stykes, J. B. (2016). Same-Sex and Different-SexCohabiting
Couple Relationship Stability.
Demography,
53(4), 937-953.
https://doi.org/10.1007/s13524-016-0490-x
3.同性愛者への影響-------------------------------------------------------------------------
(1)メンタルヘルス
(2)健康について(1)メンタルへルス
◆概要-----------------------------------------------------------------------------------------------
Teo(2022)は英国において、Chen(2022)はオランダにおいて、同性婚の導入が性的少数
者のメンタルヘルスの改善につながる可能性が高いことを述べた。Drabble(2022)は、特に
女性の性的少数者のメンタルヘルスについて述べ、同性婚に肯定的な地域や家族がいる場
合はうつ病との関連性が低くなったと述べた。さらに、LeBlanc(2018)は、同性婚の法的婚
姻関係がある場合はない場合に比べて、メンタルヘルスが良好であることを述べた。
—----------------------------------------------------------------------------------------------------
(Teo et al., 2022a)
目的:英国における同性婚の導入(2013-14 年)が性的少数者のメンタルヘルス機能に及ぼ
す影響を調査し、家族のサポートの低さが LGB 個人の同性婚のポジティブな効果を阻害す
る可能性があるかどうかを検討する。
結論:同性婚が LGB のメンタルヘルス機能を改善する可能性が高いという証拠を提供した。
家族のサポートが低い男性の性的マイノリティは最も恩恵を受けなかったため、メンタル
ヘルス格差の是正のためには、このグループに対する家族のサポートと受容を改善するこ
とを目的とした追加介入が必要である。
引用文献:
Teo, C., Metheny, N., & Chum, A. (2022). Family support modifies the effect of changes to
same-sex marriage legislation on LGB mental health: evidence from a UK cohort study.
European journal of public health,
32(1), 35-40. https://doi.org/10.1093/eurpub/ckab139
(Chen & van Ours, 2022)
目的:オランダにおける同性婚合法化が性的少数者の精神衛生にどのような影響を与えた
かを検証する。
方法:異性愛者を参照群とした差分分析
結論:同性婚の合法化は性的少数者のメンタルヘルスを有意に改善し、メンタルヘルスの性
的指向ギャップを大幅に減少させることがわかった。この有益な効果は、既婚・非既婚の性
的少数者の双方に存在した。
引用文献:
Chen, S., & van Ours, J. C. (2022). Mental health effects of same-sex marriage legalization.
Health economics,
31(1), 42-56. https://doi.org/10.1002/hec.4441
(Drabble et al., 2022)
目的:性的マイノリティーの女性の同性婚合法化に対する認識が、1)人口統計学的特徴によって異なること、2)アルコール依存症、うつ病、自己認識健康になる可能性を検討した。
結論:1)合法化に対する認識について、交際状況や性的アイデンティティによって異なり、
家族支援のみや人種/民族によって差があった。2)同性婚を支持する家族の数が多い、地
域の社会風土がよりポジティブであると報告した性的マイノリティーの女性の参加者では、
うつ病のオッズが低かった。
引用文献:
Drabble, L. A., Mericle, A. A., Munroe, C., Wootton, A. R., Trocki, K. F., & Hughes, T.
L.(2022). Examining perceived effects of same-sex marriage legalization among sexual
minority women: Identifying demographic differences and factors related to alcohol use
disorder, depression, and self-perceived health.
Sexuality research & social policy : journal of
NSRC : SR & SP,
19(3), 1285-1299. https://doi.org/10.1007/s13178-021-00639-x
(LeBlanc et al., 2018)
目的:不公正な関係の認知が同性カップルのメンタルヘルスにどのような影響を及ぼすか
検証する。
結論:法的婚姻関係にあることは、不平等な関係の認知が低く、メンタルヘルスが良好であ
ることと関連し、法的婚姻関係にないドメスティックパートナーシップなどに登録されて
いることは、不平等な関係の認知が高く、メンタルヘルスが悪いことと関連した。
引用文献:
LeBlanc, A. J., Frost, D. M., & Bowen, K. (2018). Legal Marriage, Unequal Recognition, and
Mental Health among Same-Sex Couples.
Journal of marriage and the family,
80(2), 397-408.
https://doi.org/10.1111/jomf.12460
(2)健康について
◆概要-----------------------------------------------------------------------------------------------
King(2006)は、同性間の関係を法的・社会的に承認することで、性的マイノリティーの
人々の身体的・精神的健康の増進につながる可能性を述べた。Kail(2015)も、法的に結婚が
認められている州に住む同性カップルは、認められていないカップルと比較し、より高いレ
ベルの自己評価による健康状態を報告した。Kealy(2015)は、LGBT は一般集団と比較して
健康上の負のストレス要因や出来事に直面している。そのため、結婚の平等が健康上の改善
に関係するという証拠を示した。
—----------------------------------------------------------------------------------------------------
(King, 2006)
結論:同性間の関係を法的・社会的に承認することで、差別を減らし、同性間の関係の安定性を高め、ゲイやレズビアンの人々の身体的・精神的健康の増進につながる可能性があると
主張している。
引用文献:
M, K., & A, B. (2006). What same sex civil partnerships may mean for health.
Journal of
epidemiology
and
community
health,
60(3), 188-191.
https://doi.org/doi:10.1136/jech.2005.040410
(Kail et al., 2015)
目的:反同性婚の憲法改正がある州と比較して、法的に結婚が認められている州に住む同性
カップルは、より高いレベルの自己評価による健康状態を報告することを示した。
結論:結婚による同性関係の完全な法的承認が、同性カップルの健康を改善するための重要
な法的・政策的戦略である可能性を示唆するものである。
引用文献:
Kail, B. L., Acosta, K. L., & Wright, E. R. (2015). State-level marriage equality and the health
of same-sex couples.
Am J Public Health,
105(6), 1101-1105.
https://doi.org/10.2105/ajph.2015.302589
(Kealy, 2015)
目的:ニュージーランドとオーストラリアにおける結婚の平等について検討し、このような
法改正が健康に与える影響を評価すること
結論:LGBT は一般集団と比較して健康上のストレス要因や出来事に直面している。 一方、
結婚の平等が健康上の改善に関係するという命題を強く支持する証拠がある。多様な専門
家は、結婚の平等への法制化を提唱している。また、結婚の平等が異性間の結婚に害を及ぼ
すという証拠も発見しなかった。
引用文献:
W, K.-B., & L, P. (2015). Marriage equality is a mental health issue.
Australasian psychiatry :
bulletin of Royal Australian and New Zealand College of Psychiatrists,
23(5), 540-543.
https://doi.org/doi:10.1177/1039856215592318
4.周囲への影響-----------------------------------------------------------------------------
(1)社会全体
(2)家族
(3)子供
(1)社会全体◆概要---------------------------------------------------------------------------------------------
Drabble(2021)は、 同性婚が当事者を含め、当事者の家族や友人を含めた対人関係や性的
少数者のコミュ二ティに心理的・社会的にポジティブな影響を与えることを述べた。
Borelli(2022)は米国において、同性婚の合法化が認められてから、過去 20 年間で、同性結
婚に対する一般の支持は劇的に増加してることを述べた。ただ、同性婚が社会に与える影響
についての意見は、年齢、教育、さらには政党や宗教によって大きく異なることをまとめて
いる。
—----------------------------------------------------------------------------------------------------
(Drabble, 2021)
目的:1)性的マイノリティの成人やその周囲の人々において平等な結婚の権利の心理社会
的影響を特定すること、2)性的マイノリティの女性の平等な結婚の権利に対する認識と心
理社会的影響が性別によって異なるかどうかを探る
方法:2000 年から 2019 年までの査読付き英文出版物をレビュー。6 つのデータベース
(PubMed、PsycINFO、CINAHL、Web of Science、JSTOR、Sociological Abstracts)を検
索した。
結論:1)当事者、対人関係(家族など)、コミュニティ(性的少数者)、より広い社会の各
レベルにおいて、同性婚が心理社会的にポジティブな影響を与えることが分かった。さら
に、社会的受容の増加、スティグマの減少も確認された。 2)同性婚の影響は性的マイノリ
ティの女性と男性で違いがあることが指摘されるが、これについてはさらなる研究が必要
である。
引用文献:
Drabble , L. a. (2021). Perceived Psychosocial Impacts of Legalized Same-Sex Marriage: A
Scoping Review of Sexual Minority Adults ’ Experiences.
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0249125
(Borelli, 2022)
アメリカにおいて、同性婚の合法化が認められてから、過去 20 年間で、同性結婚に対する
一般の支持は劇的に増加してることを述べた。同性婚が社会に与える影響についての意見
は、年齢、教育、さらには政党や宗教によって大きく異なることをまとめている。 18 歳〜
29 歳の若者や学士号以上の学歴を持つ人が支持が高い傾向がある。
引用文献:
Borelli, gabriel. (2022). About Six-in-Ten Americans Say Legalization of Same-Sex Marriage
Is Good for Society. https://www.pewresearch.org/short-reads/2022/11/15/about-six-in-
ten-americans-say-legalization-of-same-sex-marriage-is-good-for-society/(2)家族
◆概要---------------------------------------------------------------------------------------------
Teo(2022)は英国において、同性婚の導入と家族支援が当事者にどのような影響を与えて
いるかを調査した。同性婚の法律変更に伴い、家族からの支援があった場合にのみメンタル
ヘルスが改善した。家族支援がなかった場合はその改善が見られなかった。
Chang(2022)らも台湾において、同性婚に対する家族の態度が性的マイノリティの男性の
メンタルに対してどのような影響を与えているかを調査した。家族が否定的な態度をもつ
場合、より高いストレスを抱える一方、肯定的な態度を持つ場合はストレスは軽減する傾向
があった。
同性婚に対する家族の支援や理解は、LGBT のメンタルヘルスに対して影響力がある。
—----------------------------------------------------------------------------------------------------
(Teo et al., 2022b)
目的:英国における同性婚の導入(2013-14 年)とそれに対する家族支援が性的マイノリテ
ィのメンタルヘルス機能に及ぼす影響を調査する。
方法:同性婚の導入前と導入後の LGB 参加者を対象とした。
結論:同性婚の法律変更に伴い、LGB の自己報告されたメンタルヘルスに改善が見られた。
しかし、この効果は家族からの支援があった場合に限定され、家族からの支援がなかった場
合には、メンタルヘルスに改善が見られなかった。つまり、家族からの支援が LGB のメン
タルヘルスに与える影響が非常に重要であることを示す。
引用文献:
Teo, C., Metheny, N., & Chum, A. (2022b). Family support modifies the effect of changes to
same-sex marriage legislation on LGB mental health: evidence from a UK cohort study.
Eur J
Public Health,
32(1), 35-40. https://doi.org/10.1093/eurpub/ckab139
(Chang, 2022)
目的:家族や周囲の人々が同性婚に対して持つ態度が、台湾の性的マイノリティの男性のス
トレス要因となる可能性があるかどうかを検討すること
結論:家族や周囲の人々が同性婚に対して否定的な態度を持っている場合、性的マイノリテ
ィの男性はより高いストレスレベルを経験した。一方、同性婚に対して肯定的な態度を持っ
ている家族や周囲の人々がいる場合、ストレスレベルは低くなる傾向があった。同性婚に対
して肯定的な態度を持つ人々が周囲に存在することは、ストレスの軽減に役立つことが示
唆された。
引用文献:
Chang, C. (2022). Perceived Attitudes of Family and Peers toward Same-Sex Marriage as a
Distal Sexual Minority Stressor for Gay and Bisexual Men in Taiwan.
BMC Public Health.https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-022-14604-9
(3)子どもへの影響
◆概要-----------------------------------------------------------------------------------------------
Manning(2015)は、同性親家庭で育った子どもの幸福に関する文献のレビュー論文を発
表した。子どもの幸福度や子どもの成績に悪影響を及ぼすという研究の科学的根拠を否定
したうえで、「学力、認知発達、社会的発達、心理的健康、早期の性的活動、薬物乱用」な
ど、子どもの幸福に関する幅広い指標において、同性の親家庭で育った子どもは、異性の親
家庭で育った子どもと同じようにうまくいくことを明らかにした。
Mazrekaj(2020)は、オランダにおいて、同性の親に生まれたときから育てられた子ども
は、異性の親に育てられた子どもよりも、初等教育、中等教育ともに良い成績を収めること
示した。Watkins(2018)も、異性婚カップルと同性カップルの子どもの成績留年率を比較し、
差がないことを示した。
Perrin(2013)は、子どもの幸福は、両親の性別や性的指向よりも、両親との関係や安心感、
家族への社会的・経済的支援の有無に大きく影響される、ということを示されている。同性
カップルが結婚する機会の欠如は、世帯員全員の健康と福祉にストレスなどの影響を与え
ることを指摘する。Crouch(2016)も、同性親家庭の生物学的関係、親の性別、親の学歴は、
その子どもの健康やウェルビーイングと有意な関連はなかったことを示した。
—----------------------------------------------------------------------------------------------------
(Watkins,2018)
目的:同性カップルと同居する子ども 4,430 人の大規模サンプルについて、学校進度の全国
代表分析を実施し、異性婚カップルと同性カップルの子どもを比較した。
結論:家族構成が似ている子どもを異性婚夫婦と同性婚夫婦で比較した回帰分析の限界効
果は、同性婚夫婦の子どもの方が成績留年率が有意に高いことを予測できなかった。
引用文献:
Watkins, C. s. (2018).
School Progress Among Children of Same-Sex Couples.
https://doi.org/10.1007/s13524-018-0678-3
(Crouch et al., 2016)
目的:オーストラリアの同性親家庭において、家族構成と社会人口統計学的特性が子どもの
健康とウェルビーイングに与える影響を明らかにすることである。
方法:2012 年 5 月から 12 月にかけて、オーストラリア全土において、同性愛者の親を対
象とした横断的な調査により、子どもの健康とウェルビーイングに関する情報を収集した。
結論:同性親家庭では、生物学的関係、親の性別、親の学歴は、子どもの健康やウェルビーイングと有意な関連はなかった。一方で、親の収入、地域、安定した親との関係は子どもの
健康とウェルビーイングと関連していた。同性親家庭の子どもにとって、安定した二重親家
庭は良い結果をもたらし、家族のプロセスが最も重要であることを主張する。
引用文献:
Crouch, S. R., McNair, R., & Waters, E. (2016). Impact of family structure and socio-
demographic characteristics on child health and wellbeing in same-sex parent families: A
cross-sectional survey.
Journal of paediatrics and child health,
52(5), 499-505.
https://doi.org/10.1111/jpc.13171
(Manning, 2015)
目的:同性親家庭で育った子どもの幸福に関する文献のレビュー論文
方法:過去 10 年以内に出版された研究、レビュー、書籍に焦点を当て、文献の評価を行う
結論:同性の親世帯で暮らすアメリカの子どもたちは、学業成績、認知発達、社会的発達、
心理的健康、早期性行動、薬物乱用といったさまざまな幸福指標において、異性の親世帯で
暮らす子どもたちと同様に良好であるという明確な合意が存在することを結論付ける。子
どもの幸福に存在する差は、社会経済的環境と家族の安定性によるところが大きい。
引用文献:
Manning, W. d. (2014).
Child Well-Being in Same-Sex Parent Families: Review of Research
Prepared for American Sociological Association Amicus Brief.
https://doi.org/10.1007/s11113-014-9329-6
(Perrin, 2013)
結論:30 年以上にわたる膨大な研究データから、ゲイやレズビアンの親に育てられた子ど
もたちは、経済的・法的格差や社会的スティグマにもかかわらず、社会的・心理的・性的健
康に関して回復力を発揮していることが明らかになっている。そして、多くの研究が、子ど
もの幸福は、両親の性別や性的指向よりも、両親との関係や安心感、家族への社会的・経済
的支援の有無に大きく影響される、ということを示されている。一方、同性カップルが結婚
する機会の欠如により、家族のストレスに拍車をかけ、世帯員全員の健康と福祉に影響す
る。
引用文献:
Perrin, E. c. (2013). Promoting the Well-Being of Children Whose Parents Are Gay or
Lesbian. https://doi.org/10.1542/peds.2013-0377
(Mazrekaj, 2020)
目的:同性の親に育てられた場合の子どもについて大規模なサンプルを用いて追跡する。方法:オランダの行政縦断データを用いる。これらのデータには、同性の親を持つ子ども
2,971 人(レズビアンカップル 2,786 人、ゲイ男性カップル 185 人)と、生まれたときから
追跡調査した異性の親を持つ 100 万人以上の子どもたちを含む。
結果:同性の親に生まれたときから育てられた子どもは、異性の親に育てられた子どもより
も、初等教育、中等教育ともに良い成績を収めることが判明した。
引用文献:
Mazrekaj, D. (2020).
School Outcomes of Children Raised by Same-Sex Parents: Evidence
from Administrative Panel Data. https://doi.org/10.1177/0003122420957249
5.その他----------------------------------------------------------------------------------------
(1)家族規範の影響
(2)性行動リスク
(1)家族規範の影響
(Trandafir, 2015)
目的:同性婚や代替制度の法的承認が異性婚、離婚、婚外子出生に及ぼす影響を検証する。
方法:OECD 加盟国に限定し、1980 年から 2009 年までの期間のデータを使用。
結論:同性婚や同性パートナーシップの法的認知が、結婚制度や家族形成に大きな負の影響
を与えるものではなく、むしろ家族形成を促進する可能性があることを示した。
引用文献:
Trandafir, M. (2015).
Legal Recognition of Same-Sex Couples and Family Formation.
https://doi.org/10.1007/s13524-014-0361-2
(2)性行動リスク(性的健康、性的問題など)
同性婚の合法化が性的健康や性的問題に対して明確に負の影響を与えるという研究は現時
点では見つからなかった。むしろ、実際に、同性愛者が法的に結婚できるようになった国々
では、性感染症の発生率が減少したというデータもある。
「医療機関における影響」の項目でも述べているが、Hatzenbuehler(2012)は、同性婚の法
制化により、健康保険の適用範囲が拡大され、性的マイノリティーの男性が医療機関にアク
セスしやすくなったことを述べている。さらに、性感染症だけでなく精神疾患(抑うつ、不
安障害など)の受診も減少したことを示した。
重要なのは、この結果は、パートナー関係にある性的マイノリティの男性に限定されていな
いことである。同性婚の合法化は幅広い公衆衛生にも影響を与える可能性があることを示
している。
引用文献:Hatzenbuehler , M. l. (2012).
Effect of Same-Sex Marriage Laws on Health Care Use and
Expenditures in Sexual Minority Men: A Quasi-Natural Experiment.
https://ajph.aphapublications.org/doi/full/10.2105/AJPH.2011.300382
(社会調査支援機構チキラボ)