スウェーデン流! 性的同意実現の6ステップ
スウェーデンには『FATTA!』という、性的同意を広めるための団体がある。先にも触れたが、スウェーデンでは昨年から、積極的同意がないものは全てレイプという法律が成立したこともあり、現在は性的同意を文化として根づかせる活動が行われている。FATTA! はその中で、性的同意を実現するための6つのステップを提示している。(LET’S TALK ABOUT CONSENT BABY!キャンペーン 公式サイトより以下抜粋引用)
①まずは自分自身が、自由意志に基づく行為を望んでいるか自覚すること
同時に、性暴力や強制的行為がいかに人を傷つけるかを知ることも大切。
②相手が確実にその行為を望んでいるかを確認すること
相手の言葉、動作、声のトーンで推し量れる。Yes以外は全てNo!
③相手が自分の思いを伝えることができる安全な環境づくりをきちんとすること
相手が自分より弱い立場にある時は特に気をつける。また、人は考えが変わることもあるので、後からでもその思いを伝えられる環境作りも責任のひとつ。
④お互いが何を望んでいるかを基本に関係を築くこと
恋人、友人、家族など、特に近い関係性だからこそ、「相手のためになにかしなきゃ!」という思いで嫌でも我慢してしまうことがある。「彼氏・彼女だから◯◯してくれるはず」といった「期待」ではなく、「互いが何を望むか」で関係を築くこと。
⑤自分たちが本当にその行為を望んでいるか理解すること
傷つくようなことにYesと言ってしまうことのない、互いのバウンダリー(境界線)を尊重し、自分たちが望むことを分かり実行できる関係性を築くこと。自分自身を省みることも大切。
⑥以上5項目をセックスの際に確認。お互いが心から望んでいることを明確にすること
難しいけれど、これが一番大事。相手の思いを聞き、自分自身の立ち位置に責任を持つ。また、「◯◯だから」といった期待を捨て、自身の望みもきちんとわかり、互いが本当に望む行為をすること。それではじめて、尊敬、理解、思いやりのあるセックスができる。
いかがだろうか? 相手からの期待? 自分の気持ち? バウンダリー……? 日本ではちょっと聞き慣れない言葉が並んでいたかもしれないが、海外ではこういった動きが始まっていることを知っておくことも重要だ。
「Noが悲しくても、その感情処理は僕の責任」
「もし嫌なら、嫌と言ってね。確かに、キミに断られるのは悲しいけれど、その気持ちをきちんと処理するのは僕の責任だから。キミには関係ないし、負の感情をぶつけることもないよ。大人だからそういった感情のマネジメントくらいはいい加減できているから。それよりも我慢や嘘を言われる方が嫌だ」
日本在住のヨーロッパ出身の男性からお誘いを受けた際、私の顔はなんとなく曇っていたのかもしれない……。返答に困る私に彼はこう言葉をかけたのだ。そのときは、気乗りせず関係を持つことはなくお断りした。でも、23年生きてきたなかで、もっとも安心して本音を伝えられた瞬間だったと私は今でも思っている。
彼の言葉には、「これぞ本物のオトナ!」と感動したし、人としての信頼は急上昇した。そんな彼とは今でも友人として交流が続いている。
私はこのとき、これが「真の同意か!」と感動したのだが、その一方で、性に限らず、自分は今までどれほど心からの同意を提示しにくい環境にいたのだろうと愕然とした。「相手に不快な思いをさせてはいけない」「人を傷つけてはいけない」「人に嫌われてはいけない」……。
その思いはいつしか「自分も傷つきたくない」という思いの遥か上をいき、更に「友達ならこうあるべき」「彼女ならこうあるべき」という相手からの無言の期待にも絡めとられていた。そして、傷つく割に、自分のYes・Noなんて、伝えるどころか、見えなく、感じられなくなっていた。というより、相手からのサジェスチョンにNoと感じることに罪悪感すら感じていた。
彼の言葉を聞いたときに、「そんなのいらなかったんだ!」と目から鱗の思いがした。無意識のうちに抑圧されていた自分のYes・Noが、息を吹き返した瞬間だったと思う。