陰謀論者の大行進 春のトンデモ最前線反ワクチン・反LGBT・反ウクライナがデモでごった煮に…主催者・佐藤和夫氏の節操なき人脈で“悪魔合体”セックス教団が反ワクチン団体に…デモで「脱退!」連呼、陰謀論ラップユニットも参加.陰謀論集団Qアノンの日本版「Jアノン」に幸福の科学…反北京冬季五輪には杉田水脈議員がエールPDF魚拓




「世界で(新型コロナウイルスワクチンをまだ打たせている国は日本だけ。日本殲滅大作戦が、今始まっている!」



 今年1月、東京・銀座でデモ隊に交じって、池田としえ日野市議会議員がマイクでこう絶叫した。コロナワクチンは毒であり、何者かが日本を滅ぼすために日本でだけワクチン接種を推奨している、とする陰謀論だ。実際には、他国でもワクチン接種は続いており、日本だけではない。



 このデモは、各国間の感染症対策の連携強化を目指す通称「パンデミック条約」と、それを推奨する世界保健機関(WHO)への抗議活動だ。デモの前には霞が関の厚労省前の歩道を埋め尽くして、街宣も行われた。そこでは参政党関係者もマイクを握った。



■実質主催者は元自衛官の保守活動家



 実質主催者の佐藤和夫氏は、元自衛官の保守活動家。「英霊の名誉を守り顕彰する会」会長でもある。都内でさまざまなデモを実質主催してきた人物で、一昨年は安倍晋三元首相の国葬に賛成するデモも開催。昨年5月に開催したウクライナ支援に反対するデモで、佐藤氏はこうスピーチした。
「LGBTの(権利確立を求める)問題も、日本の文化を壊すための波。ワクチンもあります。ディープステート(影の政府)という闇の力が日本に押し寄せている。声を上げなければ日本は奴隷国家になる」



 この翌月、国会でLGBT理解増進法が成立した後に、同法に反対するデモを開催。旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の分派のサンクチュアリ教会(連載第3回で紹介)の信者も参加し、幸福の科学もユーチューブ用の「取材」としてデモに伴走した。Jアノン(第4回)の面々だ。神真都Q会(第5回)、人工中絶に反対してきた日本の保守系キリスト者の姿も。沿道からは「差別やめろ!」と罵声を浴びせられた。



 今回の反ワクチン・反WHOデモにもLGBT法に反対するプラカードがあった。しかしそこに、LGBTの権利を擁護してきたラエリアン・ムーブメント(第1回)関係者も参加。



 ラエリアンは反ワクチンと同時に改憲反対もデモで主張する。一方の佐藤氏は、2016年参院選に憲法改正を掲げる「日本のこころを大切にする党」公認で立候補しているのに、ラエリアン主催のデモでその姿が目撃されている。

反ワクチン・反LGBT・反ウクライナがデモでごった煮に…主催者・佐藤和夫氏の節操なき人脈で“悪魔合体”

公開日:2024/03/19 06:00 更新日:2024/03/19 06:00



デモ行進や街宣と聞くと、まず思い浮かぶのは反戦運動や右翼の街宣だろう。ところが最近は、陰謀論者やカルト集団などが、「何者かが世界を裏で操っている」「ワクチン反対」などと主張するワケのわからないデモを頻繁に開催。特に都内では、毎週のように週末に何かしらのトン“デモ”行進が見られる。



 そのひとつが、フリーセックス教団として知られる「ラエリアン・ムーブメント」(本部はスイス、教祖は沖縄在住)の反ワクチン運動だ。「人類は宇宙人の科学技術によって誕生した」と信じ、自由なセックスと平和を愛する団体だ。これが、コロナ禍が始まると、マスクやワクチンに反対して教育機関や自治体に申し入れを行うようになった。そして昨年11月、新宿でデモ行進も。



「脱退脱退脱退脱退脱退脱退脱退脱退脱退脱退脱退!」



 ラエリアン日本支部の代表を務める女性が、デモの最初から最後までこう連呼する。感染症対策で各国の連携を強化する通称「パンデミック条約」を推奨するWHO(世界保健機関)から、日本は脱退すべきだというのだ。しかし「脱退脱退!」の連呼では、沿道の人たちには何のことやらわからないだろう。
このデモには、他団体のデモや街宣にも顔を出す陰謀論ラップユニット「韻暴論者」のメンバーも参加。新作の反パンデミック条約ラップを大音量で流していた。しかし音は割れ気味。デモリーダーがトラメガで「脱退脱退!」を連呼しっぱなしのため、せっかくのラップはほとんど聞き取れない。



「(韻暴論者メンバーから)曲を作ろうと言われたけど、パンデミック条約のことはあまり知らなかった。だからユーチューブを見て勉強しました」(作曲者のベノム氏)



 世の中のことを勉強するなら、ニュースや本ではなくユーチューブ。陰謀論者の間では、これが“常識”だ。



ワクチン接種済みの記者に「死亡宣告」



 ラエリアンは、もともと宇宙人を招く大使館の建設を主張する展示も全国で行ってきた。昨年、千葉県内での展示に足を運んで、宇宙人について話を聞こうとしたが、まず言われたのがこれ。



「マスクは着けないほうがいいですよ」



 ワクチンを打ってしまったが、まずかったか?と尋ねると……。



「ああ、もう死にますね」



 死亡宣告を受けた記者だったが、今日も元気に、おかしなデモを追いかけている。(つづく)

セックス教団が反ワクチン団体に…デモで「脱退!」連呼、陰謀論ラップユニットも参加

公開日:2024/03/12 06:00 更新日:2024/03/12 06:00



前回、トランプ前米大統領を支持する陰謀論集団のQアノン教団「サンクチュアリ教会」を紹介した。2020年の大統領選をめぐっては、日本でもトランプを支持するデモが全国で開催されたが、それを主導してきたのが、この宗教の信者たちだ。当時、複数の宗教勢力などもこれと共闘し、「Jアノン」(日本版Qアノン)と呼ばれた。



 そのひとつが、幸福の科学だ。教団公式ではなく、有志活動としてデモを繰り返した。デモ出発前には、主催者が信者であることを明かし、トランプのために祈りを捧げる。その上で、デモ後に東京・銀座の数寄屋橋交差点でQアノンのようなスピーチも。



「アメリカでトランプが今、ディープステートと戦っている。私たち日本人もまた戦わなければならないときに来ています」(幸福の科学職員・与国秀行氏)



 幸福の科学信者とサンクチュアリ教会は、互いが主催するデモにも参加し合った。両者がデモを共催することもあったがそんなときですら幸福の科学信者は、教祖である故・大川隆法総裁を称えるシュプレヒコール。
「ウィズ・セイビア!(救世主とともに!)」



 幸福の科学は、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の創始者の文鮮明が存命中にその霊を大川が呼び出し、地獄にすむ蜘蛛扱い。統一教会から何度も抗議を受けた。にもかかわらず、当時は統一教会信者で、いまなお文鮮明を崇拝するサンクチュアリ教会の信者たちに、大川礼賛を叫ばせるのだから、すさまじい。デモの関係者によると、どちらの教団とも犬猿の仲であるはずの統一教会の信者までデモに参加していたという。



 教祖を冒涜した相手との宗教対立すら乗り越える。それが陰謀論者のデモ活動だ。



■「新中国連邦」も便乗



 一連のデモには、中国で弾圧されている法輪功や、反中国共産党の中国出身者らで構成される「新中国連邦」も便乗。トランプ応援とともに中国政府批判を叫び、参加者たちの会話が中国語だらけという場面も。



 トランプの落選確定後、Jアノンはテーマを変えて活動を継続。サンクチュアリ教会信者も主催者側だった21年の反北京冬季五輪集会には、杉田水脈、三ツ林裕巳、山田宏、和田政宗といった自民党国会議員が応援メッセージを寄せた。



 11月の大統領選が迫っている。Jアノンの活動が再び活発化しそうだ。 =つづく

陰謀論集団Qアノンの日本版「Jアノン」に幸福の科学…反北京冬季五輪には杉田水脈議員がエール

公開日:2024/03/15 06:00 更新日:2024/03/15 06:00