共同親権をめぐる報道まとめ(2024年8月)ありしん@共同親権反対ですありしん@共同親権反対です2024年8月30日 18:41PDF魚拓





2024年8月23日(金)

主張

離婚後共同親権

子どもの権利守る取り組みを

 多くの不安と批判を押し切って、離婚後「共同親権」を導入する民法の改定が先の通常国会で強行されました。2年以内に施行されます。子どもに被害を及ぼさないための取り組みが急がれています。

 離婚する父母が合意していなくても裁判所が離婚後の共同親権を定めることができるようにする改定には、「子どもの証言があるのに裁判所がDVを認定してくれなかった」「話し合って解決できないから離婚に至るので、離婚後に子に関わる問題を話し合うことができるとは思えない」などの声がよせられました。採決後もDV被害当事者や医療・福祉などの現場から怒りの声が上がっています。

 反対署名が短期間で24万人以上集まり、与党からも懸念が相次いだ法案を短期間の審議で採択したことは重大です。

■意見聴取の保障を

 改定民法が「子は親権に服する」という規定をやめ、親の責務として「その子の人格を尊重し」「自己と同程度の生活を維持することができるように扶養しなければならない」としたことは一歩前進です。しかし依然、「親権」の用語が残り、子どもの意見表明権の明記がありません。

 子どもの意向や心情を把握し子どもの福祉に向き合うために、「子どもの権利と福祉を実現する親と社会の責任・責務」という位置づけを法律で明確にすることが必要です。

 現状のままでは、裁判所が共同親権をすすめてきた場合、子ども自身や児童精神科医師・児童心理士など専門家の意見を踏まえる保障がありません。子どもの人権を保障するには、それらの意見を聞く場や公費による弁護士制度、政府から独立した子どもの権利救済機関が必要です。国による養育費立て替え払い制度も求められます。

 家庭裁判所の増員・物的体制の強化も必須です。全司法労働組合は業務激増の恐れを指摘しています。国家予算の0・3%の司法予算のもと、公務員削減で、現状でも家裁の業務はパンクしています。人員不足によって子どもやDV被害者の意見が封じられる事態があってはなりません。

 高校無償化など各種の子育て支援策で、親権者2人分の収入が合算され受給資格を得られなくなり、困窮するひとり親世帯がさらに追い込まれる事態は絶対に防がなくてはなりません。

■正しいDV理解を

 これまで、多くの離婚の背景にあるDVについて裁判所が十分に認識せず、面会交流が命じられるケースも相次いできました。裁判官や調停員がDVや虐待の実態を学ぶ研修を受ける体制が必要です。

 日本共産党国会議員団は身体的暴力に限らない圧迫や訴訟乱発の懸念を問いただし、一方の親が望むからといって「自由に共同親権になるわけではない」「さまざまなDVのおそれもないか検討され、少なからず(親権者として)排除されるケースもある」「どうしても合意ができない場合には単独でいくということだ」という小泉龍司法相の答弁を引き出しました。

 法施行に向けこれらの観点をガイドラインに反映させると同時に、日本社会にDVや虐待への理解を深めていく必要があります。

2024年8月23日(金)

主張

離婚後共同親権

子どもの権利守る取り組みを



離婚した後も父と母の双方が子どもの親権を持つ「共同親権」についてです。どちらか一方が親権をもつ「単独親権」に加え、双方に親権を認める「共同親権」の導入が決まりました。離婚しても両親がともに養育に関われるという面がある一方、さまざまな課題が残っています。
2024年5月、共同親権の導入を柱とする民法などの改正案が国会で成立しました。導入後は、父と母が協議して単独親権か共同親権かを決めますが、合意できない場合は家庭裁判所が判断します。すでに離婚している親が共同親権を裁判所に申し立てることもできます。この仕組みについて憲法学者は危機感を示します。


<東京都立大学 木村草太教授(憲法学)>

「どちらか、あるいは両方が共同親権は無理といっている場合であっても裁判所は強制的に共同親権を命じることができる。これは非合意強制型の共同親権で、協力関係にない父と母が共同親権という状態になっていると、子どもが手術を受けたりとか学校に進学したりする時に、父と母の意見がまとまらなくて結局決定ができない、子どもの利益を害することになる、これが1番の問題」

DVや虐待の恐れがある場合は裁判所が単独親権にしなければならないとされています。一方、共同親権になると、幼稚園や学校の選択、進学か就職かの選択、転居先の決定などについて父と母どちらの同意も必要になります。





離婚後も、両親の考え方が子どもの生活に影響を与えることになります。

<高校生(16)>
「なんか本当に記憶ない。記憶ない。もう、ほぼ他人のような人に、こうなんか言われるのはちょっと嫌だなっていう感じはします」

静岡県中部に住む高校1年生です。2歳の時に両親が離婚して以降、母親と暮らしていて、父親からの連絡はなく全く会っていないといいます。

<高校生(16)>
「今、進路とかで悩んでいるんですけど、そういうのも(父母の)同意がないと決められないとなると嫌だなって。親に左右されずに自分の人生生きたいっていうのが強い」





<シングルペアレント101 田中志保代表>
「ここはお子さんが4人いらっしゃるお宅なので、お子さんの人数に合わせて調整しているんですが、ちょっと多めにしています」

静岡県内で、ひとり親家庭の支援を行う団体です。相談会を開いたり食料を配布したりしています。代表の田中さんは共同親権がひとり親にもたらす影響を危惧しています。

<シングルペアレント101 田中志保代表>
「お願いだから別れてほしい、親権だけほしいって形で別れている夫婦が、またこれによって恐怖に引き戻されないといけないっていうのが、まず、すでに離婚した人たちは怖いっていうのと、我慢に我慢を重ねた上で離婚を選択している夫婦もこれによって、大事な子どものことで争わないといけない」

国は、2026年までの共同親権の導入に向けてどのような場面で両親の同意が必要なのかなど、具体的なガイドラインを示す方針です。

<シングルペアレント 101田中志保代表>
「真摯な合意がある元夫婦以外は(共同親権に)できないような運用にしていかないと、子どもが被害を受けると思うので、慎重に進めていくような運用であってほしいと思います」

共同親権が導入されると保護者の同意を得ることの多い学校や医療機関にも影響が出てきます。それぞれの現場の声を取材しました。

<全日本教職員組合 檀原毅也書記長>
「(父母の)見解が食い違うっていう時には家庭裁判所の判定といわれても、それなりに時間がかかるだろうし、本当に子どもたちの教育活動が停滞しかねない」

さらに、檀原書記長は高校の無償化制度について共同親権では父母2人の所得で判定を行うことになり、対象から外れる子どもが出る可能性を指摘します。一方、医療現場の懸念は。

<日本民医連 産婦人科医療委員会 舩山由有子委員長>
「やっぱり承諾書を求める場面、つまり手術とか検査に関することが1番心配されているんですけど、子どもが適切な医療を受けることができるようにする措置を許容してほしい」

<坪内明美 記者>
共同親権の運用に向けては当事者や現場の声をふまえた体制やガイドラインが不可欠だと感じました。

「親に左右されず自分の人生を生きたい」国会で成立した『共同親権』揺らぐ子どもの幸せ【現場から、】