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2024NPO 法人女性医療ネットワーク ©️ 2024 一般社団法人社会調査支援機構チキラボ
FACT on SRHR
FACT References
中絶が合法である国の約 5 割で中絶は公費負担されてい
る
Grossman D, Grindlay K,
Burns B. Public funding for
abortion where broadly legal.
Contraception. 2016; 94(5):
453-60.
SRHR 市民調査 2022(楽天インサイトを用いたオン
ライン横断調査。研究参加に同意した者のうち、性
別、年代、地域、で割り付けた 18-74 歳の 3005 名を
対象)公費負担について、避妊は必要とするすべて
の人に必要と回答した者は440%、経済困窮者に必
要が 27%学生など若年者に必要が 7%、不要が 14%
だった。中絶についてはそれぞれ順に 40%、32%、
5%、10%だった。
第 82 回公衆衛生学会 P0512-
1P0512-1 池田裕美枝「性
と生殖に関する健康と権利に
ついての行動・意
識調査」
FIGO は SRHR に関する個々の選択と、SRHR サービス
へのアクセス改善を求めて数多くの国際的な提言を発して
いる
https://www.figo.org/resource
s/figo-statements
合法中絶に配偶者同意を要件としている国は日本を含め数
少ない
State of World Population
2021
フランス公衆衛生法典第5部第1冊第 3 題(薬事法に相
当)第 4 章「避妊薬」L5134-1 条
未成年者への避妊薬の処方、発行、投与には、親権者また
は該当する場合は法定代理人の同意は必要ない。
https://www.legifrance.gouv.f
r/codes/article_lc/LEGIARTI0
00031927644#:~:text=%2DL
es%20sages%2Dfemmes%2
0sont%20habilitées,des%20c
onditions%20définies%20par
%20décret.
フランス公衆衛生法典第 2 部第 2 冊第1題第2章、
L2212-7 条
女性が未成年者である場合、親権者の一人又は法定代理人
の同意を得る。この同意は、女性が医師または助産師に提
出する依頼書に添付される。
未成年者が秘密保持を希望する場合、医師又は助産師は、
未成年者の利益のために、親権者又は該当する場合には法
https://www.legifrance.gouv.f
r/codes/article_lc/LEGIARTI0
00031930097
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定代理人に相談することについて未成年者の同意を得るよ
う努めなければならない。
未成年者がこの措置を望まない場合、または同意が得られ
ない場合、第 1 項に規定する条件の下に、本人の希望に
従って中絶およびそれに伴う医療処置およびケアを実施す
ることができる。この場合、未成年者は、本人が選択する
成年一人に付き添われなければならない。
パリ在住社会学者 安發明子さんがパリ市副市⻑へあてたの質問の回答(メール)
パリ市副市長 Anne-Claire Boux (アンヌ=クレール・ブ ー)
*写真はホームペ ージ から使ってよい https://www.paris.fr/pages/anne-claire-boux-7931
質問
1. パリ市内には 25 カ所の性に関する相談センターがあると聞きました。このような施
設 を運営する意義についてどうお考えか、お聞かせください.
2. 性的健康センターが匿名で原則誰でも利用できるようにしているのはなぜ でしょう
か?
3. それぞれ年間どのくらいの予算がかかっていますか?
4. ⺠間はなく公が担う意義や根っこにある理念を教えてください。
回答
1. 性的健康にはさまざ まな分野があります。性教育、リスクがなく満足なセクシュアリテ
ィの 促進、自分の体について持つイメージ に関する問題、関係性とパートナー関係に関す
るも の、ジ ェンダ ーアイデ ンティティと性的指向、HIV と性感染症予防、避妊と中絶、性
的トラ ブ ルと性的不能や性の問題について、暴力と差別の根絶です。
性的健康に関するフランスでのサービスの提案は複雑でいくつも分立しています。その背
景には 3 つの歴史の流れがあります。伝染病やバ クテリアなど疫病の管理、そして強化支
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援対象となっていた人々への社会的管理の歴史、女性が自分の体と生殖について自分で管
理する権利に関する歴史、HIV への戦いと性的少数派への差別との戦いの歴史です。
家族計画センターは各県に義務付けられているもので す。バ リは市で あり県で もあ
ります。 家族計画センターは 2022 年から性的健康センターに改名しました。バ リには
24 箇所あり ます。センターによって特徴が あります。6 箇所はバ リ市の直営で す。
8 箇所はバ リ市立病院 (APHP)の運営で す。10 箇所はプラニング・ファミリアルという
⺠間の運営です。この団体 は女性が 中絶を受ける権利を求め戦い実現し、歴史的に中心
的な役割を担ってきました。
性的健康はパブ リックヘルスの中心的な目的をなしています。同じ く、パブ リックヘルスの
担うものとして、各県に義務づ けている PMI (保健所、妊産婦幼児保護センター)、CeGIDD
(情報、検診、診断センターcentres gratuit dʼinformation, de dé pistage et de diagnostic)もあ
ります。
2022 年 2 月の児童保護の法律で家族計画センターは性的健康センター(CSS Centres de
Santé Sexuelle)へと改名し、性的健康国家戦略が策定されました。国の研究機関 IGAS の報
告書も新しく出て、性的健康はパブ リックヘルスの中心的な目的であると改めて規定して
います。
2. 性的健康センターへの受け入れは無条件です。誰でも利用できます。年齢、滞在許可の
有無、 性別、性的指向などに関わらず 利用できます。匿名での利用もできます。これらす
べて法律 で定められています。
これらは特に、未成年が避妊や中絶を希望したり、検診を受けることを可能にします。家族
もかかりつけ医も健康保険も、その人が利用していることを知ることがないからです。 無
条件であることが、利用者のプ ライバ シーを守り、プ ライベ ートに関わる相談ご とを安心
してすることができることにつながっています。
3. 直営のセンターはパリ市と ARS(健康保険)から費用が出ています。直営の 6 センターに
か かる費用は年間 2 900 000 €です。
パリ市は病院と⺠間に委託している 18 のセンターに年間 1 900 000€を払っています。これ
らは、運営費や人件費にあたる費用です。さらに、ケアや薬剤などの医療費として 345 000
€です。 予防ケアにかかる費用は医療的にも経済的にも⻑期的に見ると効率がいいと考えら
れてい ます。
4. 性的健康センターへの受け入れは無条件で温かい見守りを前提とします。良い悪いの価
値 判断はせず 、相手の人生とセクシュアリティを尊重します。性的健康センターは安全を
感 じ 、安心し、信用して受け入れられる環境でなければなりません。パリ市は人々それぞ
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れの アイデ ンティティを尊重し、女性の中絶へのアクセスを守り、子どもと若者のセクシ
ュアリ ティ教育へのアクセスを守ります。 性的健康センターの重要な目的の一つは暴力の
ある状況を見つけ出しサポ ートすることです。
なによりも本人が決め、本人の選択を尊重することが土台となります。HIV と性感染症か
らの予防、望まぬ妊娠の予防などすべてに関わります。 哲学としては「最善の予防は、そ
れぞれに合った方法をそれぞれに合ったタイミング で利用できること、そしてそれはいつで
も変えることができること」です。
健康予防へのアクセスを保障するのは公的サービスの役割です。健康に関するリスクを減
らすことができ、問題により早期に対応することができ、重い病気が発生するのを防ぐ こと
ができるので、結果的に公的費用を少なく抑える効果があります。