夏の夜の銭湯の日
夜、久しぶりに銭湯に行ってきた。
コロナでサウナも閉まってたし、引っ越してから歩いて行ける距離に銭湯がなかったから一年以上銭湯に行っていなかった気がする。
夜の八時。
クーラーで冷えて乾いた部屋の中から一歩外に出ると、ぬるっとした空気が肌を撫でた。
ああもう夏が来てるんだった、と思い出す。
見慣れない川沿いの道を歩きながら、記憶を頼りに銭湯に向かう。
生ぬるい空気と、湿っぽい土の匂い、日中陽に照らされて乾いた川の水。
それらが混じり合う独特の香りが、私に夏が来たことを知らせてくれる。
久しぶりの銭湯のあのレトロな感じは私をたまらなくわくわくさせる。
コロナで全然人もいなくて、サウナは貸切状態だった。
いつもの場所と違って、サウナの中は静かなクラッシック音楽が流れる空間だった。
騒がしいテレビやラジオよりもずっと静かで、じっとするしかないその時間が私の心と脳みそに余裕を与えてくれる。
それでも五分の砂時計がすっかり砂を落とした時には、もう体が暑くて出たくてたまらなくなる。
ひゃっっ。
と息を一瞬止めながら、とぷんと肩まで水に浸かればもうこっちのもの。
体の熱を、冷たい水がじわじわ溶かして行ってくれるのをただじっと待つ。
それからまた、サウナに戻る。
×3くらい。笑
宿まで歩いて五分くらいだからと、パジャマを持ってきてしまった。
銭湯から帰る道で、仕事帰りの人とすれ違うたびにパジャマ着るんじゃなかった、と後悔しながらも
ホカホカの体と頬を撫でる夏の風が、私をどこか浮つかせる。
銭湯の帰り道、冷たい夜風を浴びていたあの頃から季節もすっかり変化して、あの頃の私からもだいぶ変化したよなあ。
なんてぼんやり考えながら、ゆずシャーベットを食べる夏の夜でした。
今日の銭湯:稲荷湯 @石川台