文ふみ
私は手紙を書くようになった。母の影響で。
母は手紙を書くようになった。人生のどこかで。多分これは祖母の影響で。
祖母も母も、私の誕生日や就職が決まった時などは、お祝いと一緒に短い手紙を添えてくれた。
叔父も、成人した時に数冊の本と手紙をくれた。きっと、祖母の影響で。
昨年の初夏、祖母が亡くなった。私は祖母に感謝の手紙を書いた。
改まったものではなく、いつもの祖母と話す感じで。でも素直に。
手紙を棺桶に入れるとき、他にも手紙があることに、ふと気がついた。
姉も同じことをしていた。
手紙は祖母とともに天に送った。
手紙は、自分の時間の流れで、自分の言葉で、思いをつむいで書く。
その行為自体に、自分の気持ちと向き合いやすくなる効果がある気がする。
半永久的に保存できるデジタルではなくて、大切にしないと無くすかもしれない紙の手紙。
人の気持ちも、大切にしないとどこかへ行ってしまう。
面と向かって言いにくいことも、手紙なら伝わりやすいかもしれない。
年賀状をそんな感じに活用するのもありなんじゃなかろうか。
2023年が皆さまにとって素晴らしい1年となりますように。
追記
祖母の葬儀では、生前好きだったらしい「美しき青木ドナウ」を流した。なんか一気に気の抜けた感じになって、おもろかった。