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こころの脱北、からだの脱北#83
あけましておめでとうございます。
2025年が始まりましたが、みなさんの今年の抱負は何でしょうか?
私はもうすぐ引っ越しをするので、”新たな場所で落ち着いた生活を取り戻す”こと、(大袈裟かもしれませんが)今年最大の目標です。
来日して以来、私は本当にたくさんの引っ越しをしました。理由はそのときによって様々ですが、周囲から「引っ越しが趣味なの?」と呆れられるほどでした😅
改めて考えてみると、何か思いつくとすぐに行動に移す性格や年齢的に若かった点はありつつも、セカセカ、バタバタすることで”余計なことを考えないように自分を忙しくしていた”という側面が大きかったように感じます。
そして、新しい環境に身を置く度に”また頑張ろう”と私は思うのでした。新しい場所には新しい出会いがあり、そこで新たな学びがあるものです。
それが結構、好きでした。
現在の私を形づくってきたものを語る上で、引っ越しというものは案外大きなウェイトを占めるかもしえれません🤭
さて、ここまで書いてきたように、”引っ越し魔”といっても過言ではない私ですが、今回に限ってはとても及び腰なのです…
今は家族が増えて4人になり、身軽だった頃とはずいぶんと状況が変わっていますので。
子どもがいると、保育園や幼稚園はどうするか、荷造りや荷解きはどのタイミングで行えばよいか、テンションが上がって走り回る子どもが怪我をしないように誰が見守るのか、どうすれば今になるべく近い環境を作ることができるか…などなど、考えなければならない要素が爆発的に増えるのです💦
考えるだけで嫌になってきました😨
とはいえ、こういう時は引っ越しをたくさんこなしてきた”経験”というものが多少は強みになります💪
子どもという不確定要素はあれど、引っ越しという作業自体は変わりません。
相見積を取った上で業者さんは決めており、引っ越し日も確定しました。あとは少しずつ荷造りをしながら、当日を待つばかりです。
歳を重ねるにつれて、経験というものはとても強い味方だと感じるようになりました。「やってみてなんぼ」ということの大切さ。
まだまだ若輩の私ですが、脱北という珍しい経緯をたどり、日本でゼロからここまできた経験とその過程で味わったもろもろは、かけがえのない宝物だと思っています☺️
そうそう、引っ越しをする際に、業者さんからダンボールや紐、テープなどが届きますよね。
これって当たり前のことだと思いますか?
遠い世界からやってきたばかりの頃の私は、そういうサービスにいちいち驚いたものです。
ただ運ぶだけじゃないんだ😳
「資本主義ってどこまで人間中心の世界なんだろう」と一人で感心しきりでした。
「来日して何に一番驚きましたか?」
これはよく聞かれる質問ですが、いつも困ってしまいます。
あまりにも多くて、逆に浮かんでこない。
何とか捻り出した答えは、ささやかすぎて相手がポカンとしてしまう。
生まれながらにこの世界で生きている方は、大袈裟だと思うかもしれません。
しかし、私が幼い頃から刷り込まれてきたのはこういった価値観でした。
「金一家のための銃・爆弾になる」
北朝鮮の国民は、9〜10歳になると少年団というところに入団するのですが、毎日学校で宣誓するのがこのフレーズなのです。
意味はおわかりになると思いますが、金一家を守るために自分の命を捧げる、そのために私たちが存在するということです。
自由、平等、尊厳、そして人権。
見たことも、聞いたこともありませんでした。
生まれた時から脱北するまでの24年間、一度として。
日本では、信号がない横断歩道は、弱者である歩行者を優先しますね。
教習所でこういったルールを習った時も感動しました。
これこそが民主主義なのだと思うのです。
北朝鮮の道路では、そういった決まりがないので、車が来ないのかよく注意して歩くしかありません。まあ、”よく注意する”というのはちょっと大袈裟です。そもそも車がほとんど走っていないので。
民主主義のこういう細かいところで驚き感動するのです☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
あの国で生まれ育った私だから、このような当たり前のことでも感動し、幸せを感じるのでしょう。
こういう小さな幸せがいっぱいの私の人生は、そう悪くないと思ったりもします😍
少し話題を変えます。
日本の各メディアでもトップニュースに上がっていますが、ここ最近の韓国では、国を安定させ国民の生活を守るはずの大統領が問題ばかり起こして、大混乱の最中にありますね。
尹大統領は、12月3日に起こした戒厳令に対する調査に応じないのはもちろん、高位公職者犯罪捜査所(公捜所)の逮捕に関する動きに、SPと大統領官邸を警備する軍を動員して妨害行為を行いました。
結果、公権力でも尹大統領を逮捕できない実態が発生しています。
法治国家ではあり得ないように思うのですが…💦
現在、韓国の国民は、尹大統領を弾劾し逮捕したい「進歩(左寄り)」派と尹大統領を守りたい「保守(右寄り)」派とに2極化しています。
大統領官邸の前には両陣営の人々が大勢集まり、昼夜を問わずデモをやっているのです💦
当然、脱北者サイドにも同じような現象が起こっていますが、話によると脱北者における多数は保守派だといいます。
「は?脱北者界隈では、尹大統領の擁護派が多数?」
軽く衝撃を受けた私は、いろいろと情報収集を試みる中で、韓国在住のある脱北者YouTuberが投稿する動画を観て、彼の持論に深く共感したのでここで紹介します。
なぜ、脱北者の多くは保守派になりやすいのか。
それは「生まれ育った北朝鮮の教育のせいかもしれない」と彼は語りました。
私たちは生まれた時から、経済状態が悪化するなど何らかの危機が起こった際には、(国民を一致団結させるために)外敵であるアメリカと日本、韓国のせいだと毎日教わってきています。
こういった教育で育った脱北者は、せっかく北朝鮮を離れて自由な国で暮らしているにも関わらず、どこかに敵を作り、その対象へ抱く憎しみを自身の原動力にする傾向が強いそうです。
確かに…と深く頷きました。
もう一つの理由は。
私たちは幼い頃から、”国のためには自分の命を捧げる”と異常なほど愛国心を強要される教育を受けてきました(ここでは国=金一家のことです)。
もちろん、北朝鮮に対して、私は何ら良い感情を抱いていません。
国民が飢えているのに、ミサイルを打ったり、自国の兵を売ったりしている馬鹿な国など滅んでしまえと思っています。
しかし、ふと気がつくと、今も「愛国心」というワードに胸がジーンとしている自分に気づく時があるのです😱
私も北朝鮮の教育がしっかり刷り込まれているようだと、この程、自覚するに至りました。
かつては、深く考えもせずに最近韓国で問題になっている極右派のYouTubeを観ながら、頷いていた時もありました。
きっと私の脱北はまだ続いていて、精神的な意味においては、生涯終わることはないのだと思います。
教育って恐ろしいすね😅
そして、自分が興味を持つ情報に誘導されていく、YouTubeのシステムもまた恐ろしいですね…一度クリックすると、知らないうちにその方向に連れて行ってくれますから😅
どんどん思い込みが強化されていってしまうではないか…
小さい頃の教育が大人になっても大きな影響を与えると、我が身を以って知った今、子どもの教育に手を抜くことはできないと改めて思いました。
引っ越しまであと少し😮💨
寒い時期だからみなさん、体調に気をつけてください。
ではまた👋