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私もコツコツ島の一員になれただろうか#82

こんにちは。

とうとう息子がインフルエンザになりました。
今季も”いつ来るのだろう”と思ってドキドキしていたら、クリスマスイブにあっさりと来てしまいました。

いつも思うのは家族の一員が病気にかかると、何の変哲もない1日がどれだけ幸せなのか、改めて知る機会になるということです。

すでに何度か書いていますが、私は現在、訪問看護ステーションとクリニックの両方で働いています。

看護師になりたての頃は、とにかく厳しい先輩が多く、辛い職場だったので、”こんなところでずっと働くのは無理…”と挫けそうになっていのたです。

しかし、ある先輩の言葉に背中を押されて何とか続けることができました。
「看護師は5年くらい経ってやっと一人前になるの。そこまでは辛抱よ。」

なんとか看護師という仕事にしがみついて、気がつけば8年の月日が過ぎていました。

ここ数年は育休からの復帰や、夫の転勤に伴う転職も経験しています。
前職でかなりダメージを受けていた私にとって、新しい環境に飛び込むのは不安でしたが、看護師という仕事が好きだったので勇気を出して一歩を踏み出してみました。

幼子2人を抱えているので無理はせず、正社員ではなくパートで仕事を再開しました。

実際に働きはじめてみると、体力的に大変な部分はあるけれど、私が抱えていた不安とは裏腹にとても心地よく、「看護師でよかった」と本気で思うことが増えてきたのです。

少し自信もついてきたので、クリニックでの仕事も並行して増やしてみたところ、ここでも”やっていけるな”と思うようになりました。

一つの道で5年以上というのは、確からしいと感じている私がいます。

日々、マジメに患者さんと向き合う先輩ナースがとても素敵で、それを横目に見つつ😅、自分が患者さんにできることは何かと模索しながらやってきました。
そうすると患者さんや職場の仲間から信頼されるようになり、職場はさらに心地よい場になっていくように思います。

今だから言えますが、来日して間もない時は「マジメ」という言葉の意味がわかりませんでした。

なぜなら北朝鮮は「計画経済」がベースの社会主義であるため、国から指定されたものはどんなものであっても不満を出さずに(不満を出すと捕まりますから🤢)やるというのが当たり前だったからです。

例えば、お皿を作る工場があるとしましょう。その工場が毎月作ることのできるお皿の数が100個だとしても、国が300個作りなさいと言われると作らないといけないのです。
そうするとどうなるか。1個作る材料で3個作ることになるので薄っぺらく、とても使えないものができるのです。また、不良品なども選別せずに完成品として数えられます。

その証拠に、ロシアへ大量に送られた武器や爆弾には不良品や不発弾が多く、ロシアの軍人からクレームが多発しているといわれています。
大砲を発射すると、ターゲット地点から程遠い場所に落ちることは日常茶飯事で、そもそも弾が発射できなかったり、大砲内で暴発して砲手が大怪我したりすることもあるそうです。

北朝鮮で軍を経験した人の話を聞くと、銃撃の練習をする際に引き金を引いても弾が出ず、銃の様子を確認している間に弾が暴発して思わぬ事故につながるケースがままあるとのこと。

こういった事情から、北朝鮮に住んでいる人は国産品をまず信用しません。外国産のものが高い価格で取引され、余裕がある人は日本産と聞けば値段を見ずに買うほどの信頼を得ています。
以前も書いた通り、表向きは反日を謳っていても、内心は親日派がほとんどだと私は確信しています。

北朝鮮における社会主義的な側面は個人が仕事に向き合う姿勢にも現れます。
人が見ている前では仕事を一生懸命がんばるフリをしますが、誰も見ていない時はやりません。働いてもサボっても給料がほとんど出ないのは同じで、賄賂を払う人だけが有利になる世界ですから。
もし、誰も見ていないところでがんばる人がいたら、良い人を通り越して気が触れてるとしか思えないような状況です。

来日して出会ったある脱北者は、北朝鮮で看護師をしていました。

以前、私が住んでいた家から程近い場所に看護師養成所があったので、てっきりそういう場所の出身だと思いましたが、違うようです。

高校を卒業した後、楽な仕事に就くため幹部に賄賂を払ったら病院に入ることができ、そこで看護師になったことを教えてくれました。
私も脱北者ですが、日本で3年かけて辛い思いをしながら看護師免許を取ったので、本当に信じがたい話でした。

仕事の内容を聞いてみても、特にこれというものはありません。
そもそも病院に来る患者さんがいないし、医師がほとんどやってしまうので看護師は隣に立っているか、必要な物品を持ってくる程度だそうです。

ふむふむ…このエピソードだけ見てもわかる通り、北朝鮮は吹けば飛んでしまう泡のような土台の上に建っている国なのです。
こんなシステムで、70年以上に渡り国家を維持してきたという事実に唖然としますね。

そういう国で育った私は、来日してから誰も見てない場所でコツコツ努力する人に対して、最初は穿った見方をしていたものです。
人道的な活動をしているNGOやNPO団体に対しても、”裏があるに違いない”と確信めいた疑念を抱いていました🤭

しかし、日本で暮らす時間が長くなるにつれて”ここは北朝鮮とは違う国なのだ”ということが骨身に染みてわかってきたのです。

日本人のマジメさは世界が認めていますね。
悲観的な論調が多い昨今ですが、資源に乏しい小さな島国が、コツコツ、コツコツ積み重ねて、ここまで来れたこと。誇って良いのだと私は思います。
気がついてみたら、いつの間にか私もその一員になろうとして、コツコツがんばっていました。

最近は”コツコツに勝てるものはないなぁ”と思うようになりました。

「ありがとう」と言ってくれる患者さんの笑顔を見ると、大変なことはありますが、またがんばろうという気持ちになります。

こういう気持ちを教えてくれたことに「日本、ありがとう」と思います。

いよいよ今年も残すところ数日。
さまざまな形で私を応援してくださった皆様に、改めて感謝の気持ちでおります。

今後ともよろしくお願いいたします。

子どもの看病に追われるのが確定しているため、来週の更新はお休みにする予定でいます。

例年より前倒しでインフルエンザの感染が広がっているそうなので、くれぐれも体調管理に気をつけてお過ごしください。

新年にまたお会いしましょう👋

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