料理(10)ミズナと豚肉サラダ
出身地・大阪から東京に引っ越した1984年頃、東京には「ミズナ」はありませんでした。いや、私が探せなかっただけ、かな。
大阪時代、我が家の鍋物には「キクナ」と「ミズナ」は付き物で、子供の口には少し苦いキクナより何となく爽やでシャキシャキしているミズナの方が美味しいと思っていました。
東京に引っ越してから、キクナは東京では春菊と呼ばれていて、割と東京の人にもポピュラーな野菜だと知りましたが、ミズナはあまり誰も知らないようでた。
大阪にいた頃も、ミズナをそれだけで食べると言うのはあまりないことでしたが、何かと混ぜたりすると、料理全体が「はんなり」するんですよね。
「はんなり」
子供の頃、この言葉は使いませんでしたが、なんとなくの意味は知っていました。周りの大人たちがごくごくたまに使っていたからかもしれません。
私の割と好きな関西弁の表現の一つです。
ところで、大勢の人が「はんなり」と言う関西弁をちょっと違えて認識していることに気がついていますか? これは関西人でも間違えている人が結構います。
はんなりとは:おっとりして、まったりして、柔らかい感じというか、世間でいうところの癒し系、みたいな風に使っている人が多いです。
が、はんなりとは、華やかで爽やかなことです。私のイメージでは、はんなりした美人とはイングリッド・バーグマン、富司純子さん、岩下志麻さん。
思い出すのは、人生で最も美味しいお茶を飲む機会があった時のことです。
台湾に仕事で行った時、ハリウッド映画に出てくるようなお茶屋さんに行きました。
まるで、奥から長い白髭の中国のおじいさんが出てきそうな、そして、ものすごい秘密のお茶を煎じてくれそうなお店でした。
実際に、接客してくれてお茶を入れてくれたおじさんは、怪しさなど全くなくて(映画の見過ぎだぞCHAKA!)たどたどしいけど十分通じる日本語で説明をしてくれながら、入れ方も教えてくれました。
そこでいくつか試飲させてもらった東方美人というお茶を飲んだ時「はんなりした最高に美味しいお茶」と思いました。
抜けるような爽やかさと、飲んだ後に鼻のあたりに漂うふくよかな感じが何とも言えず「あぁ、やっぱり本場は違うなぁ」と幸せを感じ、自分用とお土産用に買って帰りました。
今回はミズナです。
あまりメインの食材にはならないミズナが華やかか?と聞かれれば、そうではないかもしれない。どこか名脇役な感じですよね。
が、鍋に入れても、グリーンサラダに入れても、チョレギサラダに入れても、ミズナが入るとどこか爽やかになる。やっぱり私にとってミズナは「はんなり係」をまかせちゃう野菜です。
見た目も爽やかで、夏っぽいサラダにはいいんじゃない?と思って作ってみました。冷しゃぶサラダに飽きたら、こう言うのもね、って感じです。
材料と調味料の量は大体の目安なので、お好みで調節してくださいね。
【材料】
ミズナ:半束
豚肉:細切れ:200g
小麦粉:大さじ1.5ぐらい
ミニトマト:適量(これは彩りのためなのでない人はなくていいよ)
【タレ】
醤油:大さじ1
ごま油:大さじ1
焼肉のタレ:大さじ1
酒:大さじ1
すりおろしたしょうが:小さじ1〜2
いりごま:大さじ1
蜂蜜:小さじ2(焼肉のタレが甘口の場合はいらないかも)
【準備】
ミズナ:
4cmぐらいに切って
よく洗って、水気を切る
豚肉:
一口大に切る
ポリ袋に入れて、小麦粉も入れてフリフリしてまぶす
タレ:
混ぜておく
【作り方】
1:フライパンに油を少し入れて豚肉を焼く
(あまりほぐさないで、炒めると言うより焼く感じ。カリッとした感じがちょっとあるといい)
2:焼けた豚肉をサラダボウルに入れてタレと混ぜる
3:ミズナも加えてグルグル混ぜる
4:トマトを彩りとして乗せる
これ、ピーナッツやカシューナッツを細かく砕いたものをかけても美味しいような気がします