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【Jude File】Episode5.『出来すぎな夢物語』

弱冠19歳にしてマドリディスタとなったべリンガムの軌跡を定期的に振り返るためのコンテンツ ”Jude File” の第5編。

全編は下記のリンクから。


私は眠れぬ夜を過ごしている。ラリーガ第11節、今季一発目のクラシコを先程終えたばかりで、脳も体もホヤホヤである。

ベルナベウでもカンプノウでもなく、モンジュイックで開催された今回のクラシコは、間違いなく今を生きる我々だけでなく、後世のマドリディスタが最も興奮した90分間に挙げてもおかしくない。

それもそのはず。サッカー界では別格扱いされ、かつスペイン国内取って置きのビッグマッチで愛するクラブがレモンターダを起こしたのだから。

「バルセロナを噛みちぎったのは、レアル・マドリーだ」と言うと規模が大きすぎるだろう。「バルセロナを噛みちぎったのは、ジュード・べリンガムだ」が的確だ。


マドリー加入から4か月が経ち、いくらこれまで周りを驚かし続けてきたべリンガムでも、クラシコ特有の並大抵ではない雰囲気と威厳に「非日常」を感じるだろう――なんてことは全くなかった。

ルーキーにも関わらず、既に先輩をいじる側にも回っているべリンガムは大抵なことでは壁を感じない。彼の足は90分を通して常に地に着いており、初のクラシコとは思えぬ貫禄がそこにはあった。

前半の絶望的なスタッツ(シュート0本)を乗り越え、68分、マドリディスタはいきなり度肝を抜かれた。

既に体内に白い血が流れているべリンガムは大きく喜ぶ素振りを見せず、すぐさま自陣へ戻った。まさにこの後のマドリーの逆転を知っているかのようだった。そしてそれは空想で留まることなく、現実となる。


実は、ジュード・べリンガムはフットボーラーの傍ら、「出来すぎな夢物語」を十八番のテーマとする若手小説家なのかもしれない。