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【エッセイ】お手ができるトラ

先日、北海道札幌市内にある体験型動物施設「ノースサファリサッポロ」で激レア体験をした。

檻の中に入り、トラにエサやり(1,000円)

僕はこれまで、鯉を筆頭にワニ、クマ、カワウソ、アルパカ、カピバラなど数々の動物に餌やりをしてきた。生粋のエサやり好きだ。やらない理由がない。

おそらく、日本ではここだけしかできない体験である。トラは暴れることもなく、飼育員のサインに従い、お座り。

そして、トングで肉片を虎の口へ。虎との距離は数十センチ程度。鎖で繋がれているものの、スリル満点の景色だ。目の前の虎は、大きく口を広げ、肉片が口の中に吸い込まれて行った。

インドでは「人食いトラ」が現れるなど、時には人を襲うどう猛な動物。普通では、考えられないだろう。ましてや安全にうるさい「安全大国」の日本でだ。

なぜここではトラに餌やりができるのか?人が檻の中に入っても落ち着いているのか?

答えは虎の過去にあった。この虎は、幼少期に犬と同じ檻の中で暮らしていたという。当時、弱気な性格もあり、犬とケンカする度に負けていたという。

ケンカに勝てる力がありながら、メンタルで負けていたのだ。そんな「自分より強い犬」を手懐ける人間をみて、人間はさらに強い存在だと認識しているのだとか。

だからこそ、人間が檻の中に入っても、暴れようとしない。犬のようにお手もできる。もしかしたら、自分のことを犬だと思っているのかもしれない。

「見た目はトラ、メンタルは小型犬」なのだ。見かけによらないのは、人間だけじゃない。

一緒に過ごす家族や友人、恋人によってその人の性格や行動は大きく左右される。地球という檻の中で、僕たちは虎にも犬にもなれる。

お手ができるトラをみて、環境の重要性を再認識したのであった。

ちなみに、このトラ(メス)が繁殖のために一緒に暮らすオスのトラを探している最中だそうで、オスが見つかり次第、トラの餌やり体験はできなくなるとのこと。

期間限定のトラの餌やり体験、お試しあれ。





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