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謎の男。
僕は謎の男である。周りからすると、謎らしい。大学を卒業後、企業に所属せず、国内外を転々としているアラサー男子。
たしかに、謎かもしれない。
僕だって自分自分が不思議でならない。自分ですら、この先どこで何をしているのかわからない。僕が僕を謎だと思うのだから、僕以外の誰かが僕という人間を謎めくのは当然の流れ。
映画や小説の世界に浸っていると、僕自身もフィクションの一部のような気がしてくる。でも、僕は僕なのだ。
何者でもないから、何者でもある。僕以外のフィルターを通すと、何者かにみえている。時に陽気なお兄ちゃんであり、時に物静かな青年であり、はたまた近所の爽やかボーイなのかもしれない。
それぞれのフィルター越しに、僕という人間が仕分けされていく。僕という謎を残したまま。