【政策】中国、経済の回復に向けた対策を打ち出す
コロナ禍の影響で多数の企業は経営に苦しみ、市場の消費も冷え込んだ。これを受けて5月31日に、中国国務院(中央政府)が経済の安定を目的とした総合的な政策を発表した。財政、金融、消費促進などの面からいつくもの施策が打ち立てられました。
また、今回の経済安定の政策が発表された直前に、上海市政府も経済回復を推進する50カ条の政策を公開し、より具体的な措置に落とし込んでいました。
チャイトピは、これらの方針の中から消費・経済に関連深いものをピックアップして一部翻訳しました。
原文はこちら:
◆中国国務院が発表した施策
◆上海市政府が発表した方案
■国務院より発表された政策
【第17項】
プラットフォーム経済の健全なる発展を促進する。資本の無秩序な拡大を防ぐという前提で市場競争の秩序を守り、公正な競争をもってプラットフォーム経済の健全な発展を促進する。
また、プラットフォーム経済における就職促進の効果を十分に発揮させる。
さらに、プラットフォーム企業のAI、クラウドコンピューティング、ブロックチェーン、OS、CPUなどの分野での研究開発を奨励する。
【第18項】
自動車・家電などの消費を増加させる。各地区は自動車の購入制限措置を新たに設けてはならない。すでに制限を設けている地区は段階的に緩めるように。
また、EVにおける充電スタンドの投資・建設・運営のプロセスを最適化し、段階的に全ての住宅エリアおよび営利目的の駐車場で充電スタンドの設置を実現する。さらに、高速道路のサービスエリアなどでの充電スタンド設置を推進する。
【第25項】
段階的に市場における賃貸料の免除を推進する。国有の不動産を借り入れている小規模なサービス企業や個人事業主は3~6カ月の賃貸料の免除が可能。賃貸料を免除した賃貸人は同年における不動産税などの免除が可能。
中央政府は各地方政府が実際の状況に応じて、市場における賃貸料の免除を推進する効果的な措置をさらに打ち出すよう奨励する。
【第27項】
企業の生産再開政策を最適化する。コロナ感染リスクが高い地区の政府は、重点的な企業の操業再開を保障する「ホワイトリスト」制度の設立・運用に注力しなければならない。
また、コロナ情勢下で各地方政府は能力のある企業にバブル方式(外部との接触を遮断)による安定した生産を持続させることを支持し、原則上は操業を止めさせない。
■上海政府より発表された50カ条の経済刺激措置
【第5条】
非国有の不動産を所有する賃貸人が、賃借人である小規模な企業や個人事業主に対して6カ月の賃貸料を免除するよう奨励する。
また、条件を満たす賃貸人には免除総額の30%に当たる、最高300万元(約6,000万円)の手当てを給付する。
【第10条】
コロナ情勢に大きく影響を受けている飲食・小売・旅行などの業界で、リストラを行わない、もしくはリストラの規模が小さい企業に対して、従業員に1人で600元(約1万2,000円)、企業には1社で最高300万元(約6,000万円)の手当を給付。
また、3カ月以上失業状態にある人、もしくは2022年卒業の大学生と一年以上の労働契約を結んだ企業に対して、人数に応じて一人当たり2,000元(約4万円)の手当てを給付。
【第20条】
年内に新たに営利目的でないナンバープレートを4万枚発行する。国の政策に従って段階的に徴収する乗用車の固定資産税額を減らす。
2022年12月31日前に、個人が上海で登録し、基準に合う自動車を廃車・転売などした上でEVを購入した場合、1台ごとに1万元の手当てを給付する。
【第21条】
中古家電製品の新品交換計画を実施し、スマート家電、省エネ商品などへの消費に対して適切な手当てを給付する。
大型ショッピングモールやECプラットフォームなどが割引・手当てを用いて新品交換、スマート家電やデジタル製品の販促イベントを展開することを支持する。
【第45条】
就職へのサポートを全面的に強化し、雇用シェアなどを取り入れて短期間における雇用問題を解消することを支持する。
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政府が経済回復を加速させるために講じた施策を以下のようにまとめることができる。
GDP成長率低下、失業率増加など課題に悩む中国では、これらの対策は効果を発揮できるのか、注目していきたい。
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