【政策】中国、サービス業への支援策を打ち出す
中国ではコロナ禍の影響を受けたサービス業界で閉店・倒産が相次ぎ、未だダメージから完全に回復していない。当局はこうした事態を改善すべく、業界の支援を主旨とした政策を発表した。その範囲は飲食業界や民間航空業界など多岐にわたる。
中でも、フードデリバリープラットフォームなどに対して、出店者へ徴収する手数料を引き下げるよう求めた項目が話題になった。政策が発表された当日に、中国フードデリバリー最大手・「美団(meituan)」の株価は一時10%の急落を見せた。
チャイトピは今回、飲食業界・小売業界・旅行業界の関連支援策に注目し、政策原文の一部をピックアップして翻訳しました。
中国語の原文はこちら:
https://www.ndrc.gov.cn/xxgk/zcfb/tz/202202/t20220218_1315824.html?code=&state=123
■飲食業界:
第十一項目
地方政府は原則として、2022年に飲食系企業の従業員へ定期的なPCR検査費用の50%以上に当たる補償金を給付すべき。
第十二項目
政府は飲食企業がコストを削減できるよう、フードデリバリーなどのネットプラットフォームに対して飲食店から徴収する手数料を引き下げ、コロナ情勢が厳しい地域の飲食企業に臨時的な手数料優遇を与えるように指導する。
第十四項目
政府は金融機関と飲食市場管理当局が情報共有を強化し、中小・零細企業と個人事業主の取引記録や事業用賃貸契約、及び関連当局が把握している信用情報などのデータを活用し、リスクプライシング(※)能力を引き上げることで、さらに融資額を拡大できるよう指導する。
そして、条件を満たす飲食企業が融資ルートの多様化を実現するために、社債などを発行することを支持。
※ここでのリスクプライシングとは、利益が不確かで将来損失を与える可能性があるリスク資産・危険資産の価格を確定することである。
第十七項目
政府は飲食系企業が年寄り向け食堂を開設するなど、高齢者へ食事面でのサポートを提供し、地方政府がこうしたシルバーサービスに適切な支援をするよう奨励する。
■小売業界:
第十八項目
飲食業界にある項目同様、地方政府が無償の定期的なPCR検査を提供するよう奨励する。そして、コロナ対策を実施している企業に対しては相応の手当を給付すべき。
第十九項目
財政当局がサービス業の発展資金を利用し、地方都市における商業化システムの構築を支援し、農製品の販売、地方都市におけるサプライチェーンや物流などシステムの構築を推進すべき。
第二十三項目
政府は政府系信用保証機関が条件に合う中小・零細企業に対して円滑な資金調達をサポートし、コロナ禍の影響を受けている企業の保証期間延長などを手助けすることを奨励する。
■旅行業界:
第二十四項目
2022年は旅行会社の臨時サービス品質保証金の臨時還付政策を継続していき、条件に合う旅行代理店に80%の保障金を一時的に還付する。
第三十項目
旅行業界、体験型観光コンテンツ(サーカスや劇場)業界などで条件を満し、成長見込みのある中小・零細企業に対して金融面でのサポートを強化する。
銀行などの金融機関が旅行関連のスタートアップや中小企業、零細企業、さらに民宿などの個人事業主への小口融資の提供を奨励。
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当局はコロナ対策で企業にかかる費用を一部負担し、さらに資金調達のハードルを引き下げ、関連手当の給付などを通して、苦境に陥る飲食・小売・旅行業界を支援している。
中でも中小・零細企業は重点的な支援対象となっており、同時にシルバー経済と農村振興への注力も見て取れる。
現在、中国ではコロナ情勢がまた不穏な動きを見せ始めており、こうした取り組みが効果を発揮するのか今後注目していきたい。
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