ひとめぼれ
大好きなうさぴーへ
続けざまにごめんね、どうしても外食がしたくて、ずっと気になっていたカレー屋さんに入りました。バイトを始めたばっかりに金遣いが荒くなってきていて非常によくない。お給料日はまだで1円も入っていないのに。給料ってほぼきゅうりだから、ほぼ水だったりして。ふふ。
本当はもう書くつもりはないくらい満ち足りていたんですけど、カレーが出てくるまでの間だけね。秘密だよ。
入ったらカウンターに適当に座って、と指で合図されて、言うまでメニューももらえなくて、別に嫌な気持ちにはならないけれどそれほど気に入りもしませんでした。ベジタブルカレーを頼んで、辛さを聞かれてどこに書いてありますかと言ったらメニューをめくって教えてくれたんですけど、ネパール人の方かな、距離が近くておじさんの毛の生えた腕が触れて、これも特段嫌になりはしないもののちょっと引いてしまって。店員さんたちはマスクなしで近くで話してくるので、ちょっと心配になったり。
でも隣に座っていた女の人が食べ終わって私の真横の精算機でお会計をしていて、その時に店長さんらしきさっきのおじさんが「辛さどうでしたか?」と聞いていたんです。「美味しかったです」と答える女の人を聞きながら、そんなこと聞くんだ、とぼんやり思っていると、見ずともわかるくらい笑顔の滲んだ声で「ありがとうございます、いつもありがとうございます」、「また来ます」とやり取りがあって、思わず振り向いて店員さんを見つめてしまいました。そうしたら私にも笑顔が向けられてしまって、ちょっと恥ずかしくなりました。でもなんだか嬉しかった。
もうカレーが来たのにやめられなくて、食べながらこんなこと書いてたら、私にも「辛さどうですか?」と笑顔が飛んできて、考える間もなくお姉さんみたいに「美味しいです」と答えましたとさ。
女の人がお姉さんになったんですけど、ほんとにあの1往復のやり取りで、一気にこのお店の印象が良くなりましたし、同時になぜかそのお姉さんの生活に想像が及びました。このお店に1人で来るのを楽しみにしているのかな、今は土曜日の夕方だけど、ひょっとしてお仕事帰りかな。顔は見なかったけれど、律儀な子音の発し方から、奥ゆかしいけれど仲良くなったらよく笑う人だったらいいな、とか。目の端に写ったもちもちのナン、じゃなくて洋服の雰囲気からも、かわいいきちんとした人かな、とか。理由はわからないけれど、いきなりこのお店の外側のその人が様々に浮かんだのです。また来ます、という嬉しそうな声音から、大きな好感とともに。
さっきまでちょっと心配だったマスクなしも、優しい笑顔が見えて幸せだな、とまで思いました。私も接客は笑顔でしようっと。また来たいな、と思いました。最近はなんでもおいしいから、お店の気に入る理由がどんどん人間寄りになってきています。そして1人で来たからこそ気づけたことだと思うので、1人で来てよかったな、と。お財布が許してくれるなら、1人で通ってから友達を連れてきてみたいな。けちんぼなのでそんなことはほぼ絶対ないか、恐ろしく時間がかかるのが大概ですけど。
またひとめぼれしちゃいましたね。私はいわゆる「ひとめぼれしやすい」人間のようです。ひとめぼれってお米の名前みたいって思うの、私だけかしら。すきです。
2020/09/17
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