日本的共創マネジメント017:「PMの日本化」~マネジメントとは~
「PMの日本化」~マネジメントとは~ :
われわれは日常的に「マネジメント(management)」という言葉を使っていますが、その意味するところを正確に把握しているかというと疑問です。おそらく、各人各様ばらばらな理解の下で、使用しているのではないでしょうか? 言葉に対しておおらか(ルーズ!)な日本人は、外来語の発音をカタカナ表記しただけで、その定義は曖昧なまま、日本語化したような気になってしまいます。
1.マネジメントとは
そこで改めて、「マネジメント(management)」という言葉を辞書で調べてみますと、
広辞苑では「マネージ(manage)」とは、
・ 経営すること
・ 管理すること
・ 対処すること
ジーニアス英和辞典で“manage”とは、
・ (事業など)を経営する、管理する
・ (人・物・事)をうまく取り扱う、うまく処理する
・ 管理運営する、監督する
OXFORD英英辞典で“manage”とは、
・ to succeed in doing sth(something ), especially sth difficult
・ to be able to solve your problems, deal with a difficult situation
・ to be able to live without having much money
・ to use money, time, information, etc. in a sensible way
・ to be able to do sth at a particular time.
・ to control or be in charge of a business, a team, an organization, etc
・ to keep sb(somebody )/ /sth under control; to be able to deal with sb/sth
また、広辞苑で「マネジメント(management)」とは、
・ (事業などの)管理、経営
ジーニアス英和辞典で“management”とは、
・ (事業・金などの)管理、経営、取り扱い
・ (人などに対する)管理、手腕、処理能力
・ (会社・施設の)経営(管理)陣
OXFORD英英辞典で“management”とは、
・ the act of running and controlling a business or similar organization
・ the people who run and control a business or similar organization
・ the act or skill of dealing with people or situation in a successful way
語源辞書(Etymology)で“manage”“management”とは、16世紀中ごろに現れ、「操作する(to handle)」特に「(馬を)手で御する(to control a horse)」がその原義だと言われます。
P.F.ドラッカーは、「マネジメントをその役割によって定義しなければならない」として、3つの役割を説いています。
① 組織に特有の使命、目的を果たすこと。
② 仕事を通じて、働く人たちを生かすこと。
③ 社会の問題について、貢献すること。
「組織の人たちを生き生きとさせ,高度な成果を上げる」ことがマネジメントであり、「マネジャーはオーケストラの指揮者に似ている」とします。
また、Peter Checklandは、「マネージとは、時間とともに展開し、相互に作用しあう、事象(events)と観念(ideas)の流れに対処していくこと」と定義しています。
更に、Joan Magrettaは、「マネジメントとは、組織を動かす思考とその実践の累積である」「人間の管理運営する能力、ある目的を持って組織する能力」と定義しています。
このようにマネジメント(management)については、各人各様、様々な定義があります。従って、ドラッカーの指摘するように、「マネジメントとは、その都度その役割によって、定義しなければならない」ということになるわけです。
2.Do the right things right
因果律の下では、「正しいことを、正しく行う(Do the right things right)」場合にのみ、「正しい成果(The right result)」を得ることができます。従って、マネジメントとは「正しい成果を得るために、正しいことを、正しく行うこと」と定義できます。この場合、「正しい成果とは何か?」ということが問題になります。「成果」とは、さまざまな場面で、さまざまな表現がなされます。アウトプット、ゴール、To-Be、ミッション、目的・目標、・・つまりはマネジメントの結果として創出される「価値」を意味します。これは人によって千差万別です。「正しい」ということもステークホルダーにとって千差万別です。株主にとっての「価値」と顧客にとっての「価値」は異なるでしょうし、経営者にとっての「正しい」と従業員にとっての「正しい」も異なるかも知れません。従って、ステークホルダー間で、「正しい成果」について「アコモデーション(accommodation:折り合い)」を得るところからスタートする必要がある訳です。
3.P3M
「正しい成果」ついてアコモデーションを得るということは、将来の「価値」について仮説形成することです。「価値」について“Why?”を問い続け、価値そのものを認識(問題発見)することです。これをプロファイリングマネジメント(Profiling M.)によって抽出(炙り出)します。ここで抽出された「価値」がプログラムマネジメント(Program M.)にミッションとして受け渡され、「正しいこと」としての問題の定義を行います。つまりは、どこまで解決する必要があるかを決め、問題を明確に決定するための“what?”を問います。そして定義された問題を実際に解決するのが「正しいやり方」としてのプロジェクトマネジメント(Project M.)で、“How?”を問う訳です。
“Why?”を問うプロファイリング (Profiling) 、“What?”を問うプログラム (Program)、“How?”を問うプロジェクト (Project) が三位一体となって、整合性を持って運用されるとき、「正しいマネジメント (management) 」が実行される可能性があります。従って、「マネジメントとは、P3M (Profiling, Program and Project Management)である」と定義することも可能だと思います。そして、より本質的で根源的な問題解決を行うには、中流より上流、更には源流へのアプローチが必要です。プロファイリングによって、マネジメントが実現すべき「価値」を抽出し、定義する必要があるという主旨です。皆さん方の抱える問題領域はどこにありますか? プロジェクト(中流)レベルですか?プログラム(上流)レベルですか、プロファイリング(源流)レベルですか?・・・その見極めが重要です。
下記のような言葉があります。
“The significant problems we face cannot be solved at the same level of thinking we were at when we created them.” (Albert Einstein)
このP3Mを推進するフレームワークとして、「日本的共創マネジメント(Syncreate Management)」を提唱しています。